怒声
久々の晃side
バタバタバタ・・・
足音が聞こえる。
「晃!!泉川は?!」
「芽衣っ、芽衣っ・・・」
敦也と藍川。
誰よりも早く来たのは、やっぱりこの2人。
「ねぇ、柳瀬!!」
泣きながら俺の肩を揺さぶる藍川に、いつもの自信などない。
ただひたすら、嘘でもいいから安心したい、そんな感じだ。
「何で・・・何で芽衣が・・・」
「すまなかった」
深々と頭を下げる瀬尾さんが言った。
「何があったんですか?!」
瀬尾さんに食い下がる藍川。
やめろ、その人に罪はない。
「実は・・・。
わたしが芽衣ちゃんを支えていたんだが・・・。
気を緩めてしまって・・・」
「アンタのせいで芽衣は落ちたの?」
震えた藍川の言葉を聞いた瞬間。
「んなわけねぇだろぉっ!!」
反射的に俺は怒鳴ってしまった。
でも、瀬尾さんのせいになりそうで、すごく怖かった。
芽衣のように、自分を責めるかもしれないと思うと・・・。
ついかっとなってしまった。
「じゃあ・・・なんで芽衣は落ちたのよっ?!
それも・・・屋上なんて・・・高いところから・・・」
言いながら藍川は、泣き崩れた。
「琴音・・・」
そんな藍川を慰める敦也は、何を考えているんだろう。
こういう事態になると、意外に冷静に対処する。
「ぐすっ・・・大丈夫よ」
「でも・・・」
藍川は立ち上がって、俺を睨みつける。
「いつ記憶が戻ったの??」
やっぱ、そこか。
確かに、俺の記憶が戻っているということは、敦也しか知らない。
恐らく、瀬尾さんも薄々気づいている。
「山本が来た日」
その言葉を放った瞬間。
藍川に胸ぐらを掴まれて、
「ふざけてんじゃねぇよっ!!」
と怒鳴られた。
俺も負けじと
「ふげけてねぇよっ!!」
と怒鳴り返す。
「何よそれ・・・。
芽衣がどれだけ傷ついてたか、アンタわかってんのっ?!」
わかるよ。
ほんの少しなら、俺にだってわかった。
「何か言いなさいよっ!!」
「落ち着けよっ!!」
俺と藍川は、その怒鳴り声に驚いた。
「今は・・・そんなくだらねぇことしてる場合じゃねぇだろ」
静かに言う敦也には、いつもの和やかな雰囲気がない。
静かなる怒り、とでもいうのか。
俺達はうなだれる他なかった。
藍川も、納得いかない様子で唇を噛みながら、俺の服を放す。
力強く握られていた服は、思ったより伸びていた。




