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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
記憶
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吉凶


「瀬尾さーん!!さっきの続き!!」

「はいはい」

晃が戻ってきた。

瀬尾さんは、みかんを食べながら晃の話に耳を傾けていた。



「それじゃ、また!!」

「また聞かせてくれよ」

瀬尾さんが晃の病室を去った。

「ふー・・・」

晃は満足そうにため息をつく。

「あのね、晃、」

「クリスマス、何か欲しい物とかある?」

・・・。

え・・・・??

「・・・」

「や、ないんなら・・・勝手に買うけど??」

照れくさそうに枕を頭に乗せる晃は、すごく可愛い。

「いいの??」

「・・・いいよ」

私は、嬉しすぎて涙が出てきた。

「ちょっと、トイレ・・・」

「お、おう」

晃は振り返らずに言った。


「はぁ・・・」

悲しいことの後には、必ず福が来る。

誰かの教訓は、本当に正しかった!!

“彼は君に興味を持っていて、特別な感情を抱いている”

その感情って・・・。

“だが、明確にするのも、今ではない”

瀬尾さん、待ちきれないよ。

あんなこと言われたら、誰だって期待しちゃうよ。

手洗い場の鏡の前で、私は自分を見つめる。

「メイク・・・しよっかな??」

「何浮かれてんの?」

冷たい声が聞こえた。

鏡をちゃんと見ると、出入り口のドアにもたれかかった穂乃夏がいた。

「い、いつのまに・・・?」

「いたわよ、あんたが来る前から」

晃がいる時とは全く違う、氷のように冷たい声。

「へ~いいことあったんだ」

にやにやしながら、ゆっくり私のほうに歩み寄ってくる穂乃夏。

“南ってさぁ、めっちゃ怖いんだよ!!”

村上君の言葉が蘇る。

私はゴクリ、と唾を飲む。

「そんな風に見える?」

「調子乗るのも、あんたの自由だけどさぁ・・・」

一層距離を詰めてきた穂乃夏。

あまりの近さに、私は思わず後ろの洗面台に手をついてしまった。

穂乃夏はキスでもするのか、と思うような距離で止まった。

「柳瀬君ね、もう思い出してるよ」

「えっ・・・?」

思い出してる・・・・?

「なんだぁ、知らなかったんだ?

 看病してるくせに??」

穂乃夏の言葉が、嫌なくらい頭の中に響いてくる。

「それなのに告白しないって・・・。

 これって、フラれる兆候じゃない??」

「っ・・・そんなの、わかりっこないじゃない」

私は強気に返す。

「あらら~??

 現実逃避??」

私は耐えられなくなって、穂乃夏を押した。

穂乃夏はそれでも余裕の笑みを浮かべている。

「真相を知るのも、時間の問題ね」

「・・・」

何も言い返せない。

「あ、それから」

穂乃夏はドアを開きながら、

「“看病してくれるのは嬉しいけど、人殺しがそばにいるのは怖い”

 って言ってたよ」

残念でした、とでもいうように、穂乃夏は閉まりかけのドアの隙間から、私を嘲笑った。

バタン

私はその場で座り込んでしまった。






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