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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
記憶
62/76

コート


窓の外では、コートを羽織った人ばかりが目に入る。

というか、コートを羽織ってない人なんかいない。

それくらい外は寒い。

私は暖房の効いたこの病室で、クリスマスをどう過ごすか考えていた。

「あの・・・」

晃が珍しく私に話しかける。

嬉しい!!

「芽衣って呼んで」

なんてわがままを言ってみたりする。

「は?」

晃はぽかーんとしているだろう。

でも、無視無視。

「や、あの・・・」

無視無視。

「無視すんなっ!!」

無視無視。

「あーもう・・・・芽衣っ・・・」

呼ばれた瞬間、体中が火照ったことがわかった。

名前呼ばれるのって、こんなに嬉しかったっけ。

「何?」

できるだけ平常心を装って答える。

「外・・・出たい・・・」

外か。

一応身体の方はなんともないし。

退院はしてもいいけど、柳瀬夫婦の希望で入院中。

ま、個室代払うすっごいお金があるってこと。

晃にはまだこういう設備が必要。

こんなに限られた人だけ忘れるなんて、異例らしい。

「わかった。

 コート出すからちょっと待って」

晃は満足そうな顔を見せた。


「はい、どーぞ」

「ありがと」

私から自分のコートを受け取りながら、つぶやく晃。

「は?」

「え?」

晃が私のとった行動に驚く。

「え?アンタ・・・芽衣、・・・も行くの?」

「当たり前よ」

病人を一人にできるわけないじゃない!!

私は白いダッフルコートを手に、晃を外に連れ出した。





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