決断
「記憶が戻るまで、晃の看病するぅ?!」
晃の記憶が消えた次の日。
私は柳瀬一家に申し出をしていた。
記憶が戻るまで、病院で安静にすると聞いて、すぐにお願いした。
「め、芽衣ちゃん、正気?」
「はい」
このまま晃が記憶を取り戻すまで、黙って待ってられない。
「晃は仕方ないけど・・・学校はどうするの?」
「休みます」
晃がこうなってしまったのは、私のせい。
責任は取るべきだ。
「そんな・・・もうすぐ12月になるし、楽しみなよ!」
「彼なしで、クリスマスを楽しく過ごすなんて、私にはまだできません」
そう、私は強くない。
晃がいなければ、思い出してもらわなければ、正直別れも受け入れられない。
「君の保護者は?」
「叔母には、ちゃんと断って来ました」
私がこの話をした時、
“あっそ”
とだけ言ったあの人。
本当に好きになれない。
「放課後来てくれるだけでいいんだよ?」
念を押すように日向さんが言う。
「いいえ。
午前もちゃんと看病させてください。
お願いします」
私は価値のない人間だ。
こんな私が頭を下げたところで、何が変わるわけでもない。
それでも。
たった1%でも可能性があれば。
どんなことでもする。
「本気なんだね?」
お父さんの鋭い視線に、覚悟を確かめられているような感覚にされる。
「はい」
本気です。
「ならば、必ず週に1度は学校に行きなさい。
もしも成績が下がるようであれば、すぐに看病を中断しなさい。
それでもいいなら、こちらは構わない」
「親父・・・」
悟さんが驚いたように目を見開く。
「ありがとうございます。
誠心誠意、彼の看護をします」
私は目を逸らさないように断言した。




