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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
記憶
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理不尽な都合

 

「あのな、晃」

村上君が静かに語り始めた。

晃が雅ヶ丘、通称・M校に受かったこと、

私と琴音と会った時のこと、

山本さんのこと、

私の声の事、

私達が付き合ってたこと・・・。

晃は黙って真剣な表情で、村上君の話に耳を傾けていた。


「どう?思い出せた?」

日向さんの問いかけに、晃は・・・

「やっぱ知らねぇ。

 大体、俺、推薦通ってたんだ?」

「まーね」

ショックだった。

少しは思い出してくれるかなって・・・心の何処かで期待していた。

「っつ・・・」

突然、晃が頭を抱えた。

「晃?!どうした?!」

悟さんが俯く晃の顔を覗きこむ。

「・・・頭・・・イテェ・・・」

「本で読んだことある!」

琴音が興奮気味に言う。

「確か、記憶喪失した人が記憶を取り戻す際に、脳の血管が異常な働きをするから、すっごい頭痛に襲われるんだって!!」

「まじか?!晃、なんかわかったか?」

お母さんが目を輝かせる。

晃は顔に片手を当てて、

「・・・部屋戻る・・・」

とだけ言って、ゆっくり立ち上がった。

そのままふらふらとした足取りで部屋に向かう晃を、一人にできなかった。

「私、部屋まで付いて行きます!!」

私は彼を追った。


「・・・」

「あの・・・大丈夫?・・・じゃないよね」

部屋の入り口に来た時、晃が急にガクッと座り込んだ。

「!あき、」

「触んなっ!!」

すぐに駆け寄ったけれど、私の手は、晃に拒まれた。

「何なんだよ・・・お前」

頭痛に顔をしかめながら、指の隙間から私を睨む。

私は折れそうな心を奮い立たせ、もう一度晃に近づく。

「私はね・・・貴方に忘れられたくないの」

「はぁ?」

「恐ろしく理不尽だってことはもう十分承知してる。

 それでも・・・」

私は言葉を続けた。

「貴方を愛しているから、忘れられたくないの」

晃は何も言わずに立ち上がった。

「そんなの、お前の勝手な都合だろ」

彼の冷たい眼差しは、氷よりも冷たく感じた。


だからこそ。

私はある決心を固めた。





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