君にしか捧げられない愛
「おい、晃!」
「あ?」
授業中にも関わらず、馬鹿でかい声で俺に話しかけてくるコイツ。
敦也とは、もうすでに席替えで席が遠くなっている。
「お前、坂田と付き合ってんの?!」
その一言で、周りがざわついた。
「え?まぢで!?」
「坂田って、このクラスの坂田麻耶?!」
「どうなの?麻耶?」
「ホント」
可愛らしい照れたような声。
場は一気に熱を増す。
「柳瀬君、授業中です」
きりっとした英語教師に睨まれた。
俺なんも言ってねぇ。
「罰として、放課後生徒指導室に来なさい」
まぢかよ。
「ど~んまいっ!」
元凶のくせして、腹立つコイツ。
「晃、坂田とした?」
「何を」
「キ~ス」
「するわけねぇだろ」
俺ではなく、偽という事を知っている翔が口を挟んだ。
「翔、なんでお前がわかんだよ」
「でも晃、奥手だしな」
「うっわ!
ピュアな奴だな、お前!」
「柳瀬」
久しぶりに聞くこの声。
相変わらずのツンツンっぷり。
「何」
「アンタ、まぢであの女と付き合ってんの?」
藍川だった。
「まーな」
「芽衣は?」
芽衣の為だよ。
「俺、アイツに振られたし」
「はぁ?
寝言は寝て言えっつーの」
信じてないようだ。
それ以前に、知らないのか?
「本人に聞けよ」
「あたしが聞いてるのは、まぢであの女と付き合ってんのかってこと」
「さっき言ったろ」
「それ、正直に言ってんの?」
正直
その言葉が、俺の心臓を刺した。
「・・・あぁ」
「そう。
それならもう、芽衣には近づかないでね」
この言葉、案外傷つく。
確か、入学当初にも言われたような。
「琴音~!
俺にはなんかないの??」
敦也がデレデレし始める。
「ない」
「うっそ~!!」
敦也の声が、部屋にこだました。




