悲しみの雨
「ねぇ、何か雨降りそうぢゃん?」
「あ~最悪!
かさ無いんですけど」
とある女子の会話で、俺は空の荒れ模様を知った。
「晃、俺カラオケ行きてぇんだけど」
勇人が楽しそうに言う。
「行けば?」
「やややや!!
晃も一緒に、」
「今はそんな気分じゃねぇし」
「俺も」
翔と敦也がダルそうに言う。
「何だよお前ら!
それが健全な男子高校生の言う言葉か!!」
名言っぽく言い放つバカ。
そんな時。
トントン。
不意に誰かに肩を叩かれた。
振り返ると・・・
「っ・・・」
芽衣がいた。
「い、泉川・・・」
勇人がガバっと起き上がる。
「ちょっといい・・・??」
思いつめた様子だ。
「わりぃ」
心配そうな敦也たちを残して、俺は芽衣について行った。
屋上では、生暖かい風が吹き抜けていた。
雨の予兆だ。
「話って・・・?」
俺は話を切り出した。
芽衣は、俺に背を向けたまま言った。
「私と別れて」
衝撃的だった。
こんなにも大好きな君から・・・
そんな言葉を聞くなんて。
「っ・・・」
俺は絶句した。
「そういうことだから・・・」
立ち去ろうとする芽衣。
俺は、やっとの思いで芽衣の細い腕を掴んだ。
知らない間に、華奢だった腕はもっと細くなっていた。
「・・・んでだ」
掠れた声しか出ない。
「このままだったら、お互い傷つくから」
知らない間に痩せていた君。
知らない間に結論を出していた君。
知らない間に遠のいていった君の心。
「俺は別れたくない」
「私は別れたい」
対照的な二つの言葉。
「もぉ・・・嫌いなのっ!!!」
俺の手を振り払った芽衣。
どんな出来事よりも、1番辛かった。
そして芽衣は、怯えたように俺に言った。
「大っ嫌い・・・」
そのまま芽衣は、走り去って行ってしまった。
初恋だった君。
誰よりも綺麗だった君。
俺を理解してくれた君。
俺に愛を囁いてくれた君。
柔らかな唇、艶やかな黒髪、白い肌、華奢な体、漆黒の瞳・・・。
芽衣の全てが、鮮明に頭の中に甦る。
芽衣に振られた俺に、ポツポツと雨が降ってきた。
やがてそれは、打ち付けるように強く、量を増していった。
「芽衣・・・愛してるよ・・・」
俺は、芽衣を想って呟いた。
「うっぅ・・・うっくぅ・・・」
涙が止まらない。
「あらら♪
泣いちゃったの??」
アンタのせいよ。
「でも、これで気が晴れたね♪
アナタも彼も♪」
私は未練たっぷりよ!
「分かれたんなら・・・」
私を見下す彼女。
「もう手ぇ出すんじゃねぇぞ」
悔しい。
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい・・・




