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嵐の前の静けさ
「・・・でな!」
「まだあるのか・・・」
「もぉ~ヤキモチ焼くなよぉ!!」
「・・・別に」
「お前モテるんだしぃ、ねぇ!!」
「・・・・・・」
もう手遅れだ。
コイツの頭は末期だ。
「村上っ」
来た。
「こーとーね!!!」
長い手を広げて、藍川に抱きつこうとする敦也。
その手を軽々と避ける藍川。
「-っ!!あっぶねー!!」
「ひ、人前でだきつ、くなんて、ば、ば、ばっかじゃないの!?」
おーい。
朝からラブラブ見せ付けんな。
「あー!!琴音ー!!」
置いてかれた。
ざまーみろ。
「め、芽衣!」
藍川は忘れ物・泉川を取りに戻ってきた。
「琴音ー!!」
「ばかーーー!!!」
また避けられてるし。
泉川、今日も可愛いな。
・・・・。
ちょっと待てー!!
え?え?
俺なんで泉川のこと考えてるの?
ん??
俺はシャツの袖口を引っ張られてることに気づいた。
見下ろすと・・・。
うるうるの綺麗な目と、目が合った。
「い、ずみかわ・・・おはよ・・・」
頷く泉川。
「めーい!!」
あっという間に泉川は藍川に連れ去られた。
「泉川といい感じじゃん?」
「・・・・・」
「おや?おや?」
見なくてもわかる。
コイツニヤケてる。
この時、俺は幸せだったんだ。
これから起こる嵐に、俺達は誰も気づかなかった。




