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潔癖症の俺は、どうしても彼女に触れたい  作者: 四条 葵 


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第31話 side 澪



 涼が帰って一人になっても、澪の心臓はバクバクと大きな音を立て、身体は熱いままだった。


 キスしてしまいそうなほど近くにあった涼の顔を思い出すと、また動悸が激しくなる。


(……皐月くんから電話が来なかったら、私たち、どうなっちゃってたんだろう……!?)


 涼の気兼ねない話し方からして、電話を掛けてきたのは皐月だろう。椿姫にはあんな話し方はしないだろうし、土日の夜はよく二人でゲームをしているみたいだ。


 電話が鳴る直前、涼は澪に手を伸ばしていた。

 潔癖症の涼が澪に触れるとは思えないのだが、あの手は一体なんだったのだろうか。


「私に……触れようとした……?」


 口に出してみると、ますますそんなわけがないように思ってしまう。けれど今日の涼の様子は少しおかしかった。澪の服装をやたら注意したり、両親がいないことを咎めるように眉間に皺を寄せていた。


「もしかして、ちょっとは私のこと、意識してくれたのかな……?」


 澪にしては今日はかなり大胆に攻めたつもりだ。いつもはこんなに生足を晒したりはしないし、上だって冷やさないようにもっともこもこと着込んでいる。しかし少しでも涼に意識してもらいたくて、薄着になったり、やたら涼との距離を詰めてみたりしたのだ。


(高校生の私なんかじゃ、色気なんか全然ないかもだけどっ)


 涼が潔癖症になってから一番仲の良い女子は自分だと自負している。涼は女子に耐性がないだろうとも思っているのだが、少しはドキドキしてくれたのだろうか。


「……ちょっと……はしたなかったかな……?」


 それでも、涼がなんとなく澪を見て顔を赤らめていたような気がして、嬉しかった。強引ではあったが、食べ物のシェアの練習と言って、間接キスまでしてしまった。


「そうだよ……、涼と、間接キスしちゃったんだ……!」


 また澪の体温が沸騰しそうなほどに熱くなる。


「今度会うとき、どんな顔したらいいんだろう!?」


 涼と顔を合わせたら、きっと今日のことを思い出して、真っ赤になってしまうに違いない。


(ううん! そんなこと言ってられないよ! もっと押して押して押しまくらなきゃ! じゃないとあの鈍い涼は私の気持ちに気が付かない!)


 涼も潔癖症に対して一歩踏み出した。きっと椿姫だって、なにか理由はあれど一歩踏み出して涼に声を掛けたのだ。それなら。


「私だって、一歩踏み出さなきゃ……!」


 澪はぺちっと自身の頬を叩いて、気合を入れ直した。





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