表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
潔癖症の俺は、どうしても彼女に触れたい  作者: 四条 葵 


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/51

第19話 二つ結びの小さな女の子


 翌日木曜日の放課後。今日は一日朝から雨が降っていて、どんよりとした空模様だった。まだ日が沈むにはかなり早い時間だというのに、外は真っ暗だ。


 涼が廊下にある自身のロッカーに教科書をしまっていると、ちょうど皐月と椿姫が一緒に教室から出てきた。なにやら楽しそうに話しており、美男美女とあってとても絵になる。


「お、涼!」


 皐月が涼に気が付き、手を振る。


「部活か?」

「おう! バスケ部は体育館だからな。雨でも関係なし! 行ってくるわ!」

「ああ、頑張れ」


 皐月が颯爽と階段を駆け下りていく。椿姫はそれを見送って、涼に向き直った。


「北白河さんは帰り?」

「はい」

「そうか、雨酷いから、気を付けて帰れよ」


 涼としては何気なく言っただけの言葉だったが、椿姫は嬉しそうに微笑む。


「ありがとうございます。今日はバスで帰るので大丈夫です! 藤沢くんも、お気を付けて」

「ああ、ありがとう。……えっと、また明日」


 明日の放課後は椿姫との勉強会の約束をしている。気恥ずかしくも「また明日」なんて友人間のような言葉を使ってみると、椿姫はまた嬉しそうににこりと笑う。


「はい! また明日。放課後、楽しみにしています」


 そう微笑んでこれまた美しい所作でぺこりと頭を下げた。


(北白河さん、本当にいい子だよなぁ……)


 涼が椿姫の後ろ姿を見送っていると、ふと教室から出てきたクラスメイト達の視線が自分に向いていることに気が付く。


(あ、やば……、見られてたか? 俺と北白河さんが話しているのを気に喰わないやつもいるよな。北白河さんはものすごくモテるみたいだし……)


 平凡な涼と、誰もが認める超絶美人の椿姫。釣り合わないにもほどがある。


 変に周りの反感を買うのは面倒だ。しかし、椿姫も勇気を出して涼に話しかけてきたのだろうと思う。それを無下にはできない。


(あまり人目のあるところで話すのは控えた方がいいかもな……)


 そんなことを思っていると、一際熱い視線が涼に向けられていることに気が付く。


 涼がそちらを思わず振り返ると、ちょこんと二つ結びを首元で結った女子生徒が慌てて教室に引っ込んでいった。


「…………?」


 おそらくクラスメイトなのだろうが、涼になにか用でもあったのだろうか? それとも彼女も他の生徒と同じように、涼が椿姫と話しているのが気に喰わなかったのだろうか……?


 涼が首を傾げていると、「涼~!」と澪が手を振りながら廊下の端からこちらにやってきた。


「澪、どこか行ってたのか?」

「うん! 今日は掃除当番! 生物室の掃除だったんだけど、即行終わらせてきた!」

「そんなに慌てなくても、ちゃんと待ってるつもりだったよ」

「そうだけどさっ! なんだか早く涼に会いたくて!」


 澪の言葉に、涼は一瞬ドキッとしてしまった。


 ただ今日も一緒に【潔癖症さよなら大作戦】を行うというだけのことだ。


(会いたい、だなんて、紛らわしいこと言うなよな。恋人でもあるまいし)


 澪としては大した意味はないのだろう。涼は無駄に忙しなく動いてしまった脈を落ち着かせるように、深呼吸する。


「さあ、今日もやるか」

「うんっ!」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ