神隠しフィット☆参道ランウェイ
◆ 午前11時・某神社前。
人混み。甘酒。お守り。
そして、杏仁豆腐の姿があった。
ユウ「うわ、人多っ……正月の渋谷かよ」
カズ「いやここ神社な。年越し参拝の常識だろ」
ダイキ「甘酒飲み放題らしいぞ!!」
タクミ「お前、参拝より飲み放題目的かよ」
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ユウはふと見上げる。
賽銭箱の前、何かが煌めいた。
ギャル三柱。
レイナ「ちょ、待って!あの参道、映えすぎじゃね!?」
アイカ「うわ、人だかりできてるし……もうランウェイ状態じゃん」
ミナミ「ふふ、なら歩いちゃおっか。初詣ランウェイ」
金髪ミルクティーが陽を反射し、
朱の鳥居がスポットライトのように三人を照らす。
通りすがりの男子A「尊い……!」
女子B「え、天使……?」
カズ「……降臨したな」
ダイキ「三柱参拝キターーーー!!」
タクミ「ありがたや……」
ユウ「(……まぶしっ!)」
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◆ 賽銭箱前
ミナミ「じゃ、ひとりずつ願いごとしよっか」
レイナ「え〜、ウチは恋愛成就!」
アイカ「金運。現実的に」
ミナミ「……青春の熱が冷めませんように、かな」
(この瞬間、たまたまユウが通りかかる。)
ユウ「っ……!」
(耳に残った“青春の熱”という言葉に、魂が震えた)
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◆ そして事件は起きる。
甘酒スタンド前。
ダイキ、満面の笑みで一気飲み。
「おかわりくださぁぁぁい!!」
次の瞬間、ユウが消えた。
カズ「……あれ?」
タクミ「ユウ?」
ダイキ「おーい、ユウーーー!?!?!?」
レイナ「ちょ、待って!今なんか“ズボッ”って音しなかった!?」
ミナミ「……したね」
アイカ「まさか……」
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参道脇の側溝(細め・深め)。
そこからユウの声。
ユウ「……ミラクルエンジェルフィットしてるぅぅぅぅ!!!」
レイナ「フィット感の表現!!」
アイカ「抜け出せないの!? てかなんで落ちるの!?」
ダイキ「神隠し現象発生〜〜〜!!」
タクミ「てか“エンジェルフィット”ってなに!?」
ユウ「寒い!痛い!でもちょっと包まれてる感じ!!」
ミナミ(吹き出しながら)「……あーもう、バカすぎて好き」
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◆ 救出作戦開始
カズ「引っ張るぞ!3、2、1!」
(ズルッ)
ユウ「ぎゃあああっ!?!」
タクミ「なにこの滑り具合!」
レイナ「笑いすぎて腹筋痛いんだけど!!」
アイカ「待って、写真撮っとこ」
ミナミ「#初詣神隠し #青春ギャラクティカ #エンジェルフィット」
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やっとの思いで救出。
ユウのズボンは泥まみれ。
でもその笑顔だけは、やけに清々しい。
ユウ「……俺、神とフィットした気がする」
カズ「意味不明だけど名言感あるな」
タクミ「そのうちTシャツ化されそう」
ダイキ「神様〜今年もよろしくお願いしまーす!!」
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ミナミ「……ねぇ、やっぱり青春って、バカと奇跡が紙一重だね」
アイカ「笑ってるけど、あんたも相当バカ側よ」
レイナ「ギャル神、見届けちゃったね〜!!」
朱の鳥居の向こう、冬の光がきらめいた。
神様も笑ってた。
たぶん。




