本屋ロマンス錯覚戦線 ― 天使、You Are shock! ―
放課後の風が、ちょっとだけ夏の匂いを運んでいた。
購買の前で、タクミが妙に真剣な顔をしていた。
タクミ「……駅前の本屋、行ったことある?」
ユウ「ん? あの静かなとこ?」
タクミ「そこに、いたんだよ。めっちゃ可愛い子が。」
杏仁豆腐、同時に動揺。
ダイキ「恋だァーー!!」
カズ「お前が恋って単語使う日が来るとは。」
ユウ「観測史上、初の恋対象。」
タクミ「黒髪で、白シャツ。笑ったとき、目が少し細くなる感じでさ……本屋の光で髪が透けてた。」
ダイキ「え、詩人?」
カズ「いや、もう恋の被害者だよ。」
ユウ「天使、観測完了。」
──後日、全員で現地調査。
駅前の本屋。
文庫コーナーの陰に、野次馬集団(杏仁豆腐+三柱+マナティ)。
レイナ「いたいた!ほんと可愛いじゃん!」
アイカ「天使、確認。観測、継続。」
マナティ「“妄想”じゃなかったのね。よかった。」
ミナミ「……なるほど。これは確かに“熱”。」
カズ「どうする?」
ユウ「決まってる。行くしかない。」
タクミ「……行ってくる。」
ダイキ「いけー!伝説つくれー!」
レイナ「勇者、出撃ー!」
マナティ「努力の見せ場、開始よ。」
──そして運命の会話。
タクミ「あのっ、こんにちは。いつもここにいるんですか?」
店員「え、はい。よくシフト入ってます。」
タクミ「そ、そうなんだ……雰囲気いいね。」
(全員:おぉぉぉ!? 会話が続いてる!?)
タクミ「えっと、学年とか……?」
店員「同い年です。」
ユウ「同級生設定きたぁー!」
タクミ「……名前、聞いてもいい?」
店員「ケンシロウです。」
全員「え?」
店員「北斗の拳の。親がファンで。」
──時が、止まった。
レイナ「漢……!!」
マナティ「破壊的ギャップ。」
アイカ「タクミ、顔がフリーズしてるわ。」
ミナミ「……青春の光、乱反射。」
店員「じゃ、上がりなんで!」
颯爽と去っていく天使(♂)。
残された杏仁豆腐、沈黙。
ダイキ「お前、恋のケンシロウに破壊されたな。」
タクミ「うん……完全に北斗百裂パンチ。」
カズ「愛を取り戻せ、だな。」
ユウ「恋も錯視も、どっちも光の加減だよ。」
ミナミ「……バカでいい。錯覚も、青春の一部だから。」
夕陽が街の看板を照らして滲んだ。
それが涙か笑いかは、もう誰にも分からない。
でも確かに、そこに“恋の残光”だけは残っていた。




