せっかく参加したカウントダウンパーティーで、お義兄様に見つかって連れ帰られてしました
少し遅めの年越しです
今年も年の瀬だ。
帝国も新年のお祝いは盛大にされる。
でも、今までは大晦日はそれほどでも無かった。
私は年越しのカウントダウンがされるという、仮装パーティーの話をセッシーやシャロットから聞いて、
「行きたい! 絶対に行きたい!」
一も二もなく行くことにしたのだ。
「ええええ! でも、それはレオンハルト様が許してくれないんじゃない?」
セッシーが聞いてきた。
「黙っていたら大丈夫よ。私は学園に行くまでは年末はさっさと寝ていたから」
そう、前世の記憶が戻るまでは大晦日は静かにしていたのだ。
記憶が戻ってからは毎年、皆でカウントダウンパーティーをしていた。自分達のレストランで!
それが大盛況で、年越しの時は机も椅子も取っ払って、中庭まで使って盛大なカウントダウンパーティーをしていたのだ。
「というか、それ、そもそもあなたのレストランでやるんでしょ」
セッシーが指摘してきた。
「勝手にレストランなんか帝都に作って運営しているんだから信じられないわ」
セッシーが文句を言ってきたんだけど……
「えっ、セッシーもウェイトレスとかやりたいの?」
私は聞いた。
そう、ウェイトレスの制服を可愛いのにしたら、従業員の募集で大人気になったのだ。
倍率が10倍を超えて、お陰で優秀な人が集まった。
私はそのレストランをサンタルから来た友人達に任せて、運営してもらっていたのだ。
そして、今日は年末記念ということで会員制の仮装パーティーを開くことにしたのだ。
「うーん、まあ、私が制服着たら皆の人気者になるかもしれないけれど」
「でしょ。じゃあ、やってみようよ」
セッシーに私が言うと、
「ええええ! 私だけやるの?」
「何言っているのよ。当然、私達もやるわよ」
「えっ、そうなの?」
「エリ、本当に良いの? また、レオンハルト様に見つかって怒られない?」
シャロットが心配して聞いてきた。
「大丈夫よ。お義兄様は今はチエナの後始末に忙しいから」
そうなのだ。このところお義兄様は仕事に忙殺されていて、夜の食事も一緒に取れていなかったのだ。
ということで私は私のレストランの仮装カウントダウンパーティにやってきた。
「皆、今日はご苦労様。私がこのレストランのオーナーの一人のエリです。今日は千人以上と多くのお客様を迎えることになっているけれど、頑張ってくださいね」
私は今日動員された50人のウェイトレスを前に挨拶したのだった。
コックとコック見習い30人は今日は朝から料理に必死で今も作っているはずだ。
レストランは日頃四人がけのテーブルが50入るのだが、全て取っ払って立食形式にしたし、広い中庭にテントも張って千人を収容できるようにしたのだ。
会費制でやっているので、変な人は居ないと思うけれど、最悪の時は私の護衛のセドリック等を配置しているので、問題は無いだろう。
そう、この時は思っていたのだ。
「エリ! こんなミニスカートはくの?」
セッシーが驚いて言うんだけど、
「足は白いタイツで隠しているから問題ないでしょ」
ピンクのミニスカートに白いタイツで可愛くしているのだ。
まあ、前世で言う所の魔法少女タイプと言えないことも無かったけれど。
今日は大晦日。仮装パーティーなのだ。
私も赤い目元を隠すマスクで変装しているから問題は無いはずだった。
19時になってパーティーが始まったんだけど、
「でも、なんか、体の大きな人が多くない?」
私は不思議に思ってセドリックに聞くと、
「そうですか?」
セドリックの目元が泳いでいる。
変だ! 絶対におかしい!
私が更に睨むと、その瞬間セドリックがビシッと直立不動になったのだ。
「エリ! 何がおかしいんだ?」
そこには氷のような低い声が響いたんだけど……
後ろを振り返ると怒りのオーラ満載のお義兄様が、貴族の着崩した風の格好で銀のマスクをして立っていたのだ。
「あら、お義兄様。いらっしゃいませ」
私は普通にお客様にするように頭を下げたのだ。うーん、なんか怒っている。これはまずい雰囲気だ。
「お前、その破廉恥な格好は何だ!」
お義兄様が文句を言ってきたが、
「破廉恥とは失礼な。帝都で有名なデザイナーに依頼したんだから。問題は無いはずよ」
「しかし、お前、皇太子の婚約者がその格好って」
「お義兄様、ここでは身分は言いっこなしよ」
「母上が天国から嘆いていらっしゃるぞ」
「それはないわよ。絶対に」
そう、お母様は基本的に私の好きなようにいつもさせてくれていたのだ。
「キャーーーー」
ガチャン!
私の真横でウエイトレスの悲鳴とお皿の割れる音がした。
「おい、この店は虫の入った食事を客に出すのか?」
なんか、気の狂った馬鹿が叫んでいるんだけど……機嫌の悪いお義兄様の横でこのようなことするなんて、自殺願望を口にするようなものだ。
「誰だ、こいつは?」
お義兄様の注意が私から横の馬鹿に移った。
「さあ、どこかのヤクザ者では無いか?」
こちらは他人の事をいえないヤクザみたいな格好のトマスさんが答えた。
「な、何だ、貴様らは、この天空一家のビリー様を知らんのか」
「知らん! どこにその事務所があるんだ?」
「セカンドアベニューの二丁目の材木問屋の横にあるんだよ」
馬鹿な男は自慢して話したのだ。
「ゴーチェ」
「了解しました」
さあっと私の護衛のゴーチェがあっさりとお義兄様の命令で一隊を引き連れて出ていくんだけど……
護衛対象の私を放って置いていくなと私は言いたかった。
「貴様、何をする気だ」
「あ、兄貴、ま、まずいですって、恐竜です……」
横の子分の一人がお義兄様が誰か気づいたみたいだ。
「はっ、何だ? 恐竜?」
お義兄様がぎろりと睨み付けた。
「ひ、ヒィェェェェェェェェェェェェェ」
兄貴分は地面に転がり落ちて後ずさった
「あ、あのチエナの王都を一人で破壊したって言う恐竜皇子!」
男は恐怖に震えて後ずさろうとして、ジェミリーさんにぶつかって止まった。
「で、貴様は死にたいというのだな」
お義兄様が冷たい視線で男を見ると、
「そ、そんな、新しいレストランが出来たから、みかじめ料を取ろうとしただけで、そこに恐竜皇子が居るだなんて……」
「ジェミリー、この男達をしょっ引いて、今までの余罪を全て吐かせろ」
「了解しました」
「そんな」
「ここで死にたくなかったら、すぐに来い」
「そんな旦那。俺たちは恐竜様に逆らおうなんてこれっぽっちも……」
男達はジェミリーさん達にしょっ引かれていった。
「さあて、邪魔な奴らも消えたし、私は仕事に、戻ろう……きゃっ」
私はお義兄様の前から逃げだそうとして、お義兄様に捕まってしまった。
「どこに行くつもりだ、エリ?」
「えっ、いや、お仕事に」
「そんな破廉恥な格好でうろうろするのは許さん」
そう言われると私はお義兄様のマントを上から掛けられたのだ。
そして、次の瞬間にはお姫様抱っこされていた。
「えっ、ちょっとお義兄様」
「帰るぞ」
「そんな、ちょっとセッシーたら」
私は親友に助けを求めたが、あっさりと親友に手を振られて、見すてられたのだ。
そして、そのまま馬車に連行されたのだ。
「お義兄様、ひど……!」
馬車に乗るやお義兄様に文句を言おうとした私は唇を塞がれた。
そして、馬車で宮殿に帰る間中、唇をお義兄様にむさぼられたのだ……
文句を言う暇も無く……
宮殿に帰り着いた時はもう息も絶え絶えで、カウントダウンどころでは無かった。
ここまで読んで頂いて有難うございました。
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