ガンダーラ王国王太子の独り言 後悔先に立たず、恐竜王子に良い所を見せようとしたら、敵中に孤立してしまいました
俺は完全に恐竜王子の怒りをかってしまった。
どうしよう?
俺は呆然としていた。
でも待ってほしい。
俺は決して恐竜王子とエリーゼ様の間を喧嘩させようとしたのではない。
そもそも俺をけがさせたのは皇太子でそれを看護してくれたのがエリーゼ様なのだ。
元々俺をけがさせた皇太子殿下が悪い……そんなことは口が裂けても言えなかったが……事実だ。
でも、この怒りを買ったままでは下手したら国が滅ぶ。
俺は恐怖した。
そんな時だ。チエナの魔術師がエリーゼ様を誘拐しようとしたのだ。
皇太子殿下は激怒しているそうだ。
今こそ点数を稼ぐ好機だ。
この前の怒りをなんとしてでも、解かねばなるまい。
俺は真っ先に皇太子殿下の前に進み出たのだ。
「何だ? アルバン!」
不機嫌そうに皇太子が俺を睨み付けた。
ヒィィィィィ
俺はその怒りの大きさに驚き慌てた。本当に下手したら漏らしてしまいそうだった。
「皇太子殿下におかれましては……」
「前置きは良い。さっさと言え!」
俺は殿下の不機嫌な声に本当に漏らしてしまいそうになった。
「はっ、このアルバン、直ちにガンダーラ王国に帰還して、エリーゼ様に無体なことをしたチエナ本国に対して、制裁の意味で攻め込みたく存じます」
俺は必死に叫んでいた。
「よし、よく言った。アルバン。直ちにチエナに向かって全軍をもって攻め込め。俺も準備ができ次第、チエナに向けて出陣する」
途端に皇太子は上機嫌になってくれたのだ。
「ははあ」
俺は平伏した。
「では直ちに準備のために国元に戻ります」
俺は皇太子の前からすぐに下がろうとしたのだ。
「待て、アルバン」
「はっ」
立ち上がりかけた俺様は慌てて、その場に平伏した。
「この剣をやろう」
皇太子は手元にあった刀を俺にくれたのだ。
「これは?」
俺は思わず聞いていた。
「東方10カ国を攻め取ったときにテルナンにあった宝剣村雨だ」
「はっ、これがあの村雨でございますか?」
俺は鞘の上から宝剣を見た。東方10カ国以外でもその存在を知られた有名な宝剣だ。まさかそんな宝剣をもらえるなど思ってもいなかった。
「その剣を使ってチエナの領地を切り従えろ。チエナ征伐完遂の折にはその方の隣のゴビ郡をその方に与えてやろう」
「ははあ、ありがたき幸せに存じます。このアルバン、頂いた村雨で、必ずやチエナの軍を蹴散らしてご覧に入れます」
「期待しておるぞ」
俺は望外の言葉を皇太子からもらって一目散に国元に帰ったのだ。
我が国ガンダーラ王国では帝国とチエナの間で戦雲急を告げたことに対して、どちらにつくかでも大もめにめていた。
父や古い重臣達はチエナにつこうとしていたが、若手の官僚達は帝国派だった。
父らの考えはとんでもないことだった。ガンダーラがチエナについたと聞いた瞬間、下手したらあの恐竜皇子が攻めてくるかもしれない。そんなことになればこの国は終わりだ。
俺は言葉を重ねて、いかに帝国が強いか、恐竜皇子が強大な力を秘めているか恐怖をもって語ったのだ。
父や重臣達は昔からのチエナとのつながりを持ち出して抵抗したが、
「事が成った暁にはゴビ郡1郡を我が国の領地として認めていただけるとのことでした」
「それは誠か」
「ゴビ郡とは我が国よりも大きな領地ではありませんか」
父や重臣達は現金な者で慌てて言葉を違えて攻め入る準備に入ったのだ。
隣国のラペルズ王国は帝国の外務卿の娘を後妻に迎えている。もたもたしているとラペルズ王国に先を越されるかもしれない。
俺は直ちに集められるだけの軍を率いて、チエナのゴビ地方に攻め入ったのだ。
最初の国境の要塞都市モッチーナは我が国が攻めてくるなど思ってもいなかったかのかあっさりと落ちたのだ。
幸先はとても良かった。
でも、その隣の城塞を攻めているときだ。俺はとんでもない情報に接したのだ。
なんとチエナはこちらの方に10万の大軍を向かわせているというのだ。
帝国は何故かまだ攻め込んでもいなかった。
あの恐竜皇子の怒り具合からしてほぼ同時に攻め込んでいるはずなのに、どうしたのだろう?
俺様はチエナが帝国に講和の使者を送り込んだのを知らなかったのだ。
失敗したか、攻め込むのが早すぎたようだ。
俺は後悔した。しかし、もう今更どうしようもない。
俺は直ちに5千の軍勢をまとめて、モッチーナに籠城したのだ。
こうなれば帝国軍が攻撃を始めるまでになんとしてでも、この地を防衛しなければならない。
チエナ側は戦意旺盛で、古くからの属国の我が国が帝国についた件でとても怒っていた。
俺は窮地に立たされたのだ。
「アルバン様、いかがされるのですか?」
「チエナ軍は戦意旺盛ですぞ」
「ええい、何を言っている。こうなったらどんなことがあってもこの地を守り抜くのだ。レオンハルト様が我々を見捨てられるはずはない」
俺は配下の宰相や将軍達にそう言い切ったのだ。
でも、あのレオンハルト様が本当に俺を見捨てないかどうかとても不安だった。
俺は心の底で誓ったのだ。
これからは行動を起こすときは本当に慎重に行動しようと。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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今丁度婚約破棄の断罪の所です。
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