谷底から逃げよえうとしましたが、チエナの山姥が現れて連れ去られました
「うー、痛い!」
私は体中が痛かった。
まあ、人間ミサイルになって要塞に突っ込んだときほど痛くなかったけれど……
私は途中で放り出されたみたいで、一人だけ谷底に放り出させていた。
岩がゴロゴロしている。
川は真ん中をチョロチョロ流れていた。
頭を振って立ち上がる。
落ちた時に、とっさに障壁を張ったけれど、全てのショックは吸収できなかったみたいで、体中が痛い。
まあ、お義兄様の死の訓練に比べたら、まだまし、いや、ここまで痛いのはなかったような気もする……
「あ、痛い!」
私は足をもつれさせて、そのまま顔からまた地面に突っ込んだ。
腕の縄は墜落のショックで切れたみたいだけど、足の縄がまだ結ばれていたままだったのだ。
「閣下、見つけました」
その時に私のすぐ後ろで声がしたのだ。
一瞬味方かと思ったけれど、チエナ兵だった。
チエナ兵はあっという間に私の手に手錠をしてくれたのだ。
後ろから鎧を着た偉そうなおっさんが歩いてきた。
「貴様か? 儂のウーハン要塞を壊してくれた小娘は」
男が目を怒らせて私に近づいてきた。
これはやばい!
なんか殺されそうだ。
儂のという事は要塞の司令官か何かなんだろう。
男は私の胸ぐらを捕まえて、張り手をしようとした。
淑女に張り手って何よ!
私も少し切れていた。
顔に一瞬で障壁を展開する。
バキン
「ギャーーーー」
男は私を平手ではろうとして私の障壁にぶち当たったのだ。
手を抑えて必死に悲鳴を上げて叫んでいる。
手を押さえていた。
ふんっ、いい気味だ。骨でも折れたならなおさら良い。
私が喜んだ時だ。
「おのれ、良くも」
男が更に激怒して私に殴りかかろうとした。
しまった。更に怒らせてしまった。
怒りの少ないうちに張られたほうが良かったかもしれない。
私は後悔したが、後の祭りだ。
あんな手で殴られたらいくら私でも死ぬかもしれない。
私がぎょっとした時だ。
「敵襲です」
兵士が慌てて叫んできた。
「やむを得ん。行くぞ」
私は男に慌てて担がれて歩きだされた。
「おい、あそこだ」
「あれはエリーゼ様だ」
「エリーゼ様」
騎士たちの声がする。
男は私を肩に担いで駆け出したのだ。
「者共、続け」
後ろで騎士たちの叫び声と戦いの剣戟の音がする。
あれは一軍だ。
下手したらお義兄様もいるかも知れない。
私は男から降りようとしたが、男に強い力で掴まれていた。
足は縛られたままだし、手に手錠もされていた。
肩に担がれたままだから頭が下になってガンガンする。
仕えるのは頭突きだけ。
あんまりやりたくなかったけれど、ここは私の安全に関わっている。
「必殺、金○つぶし!」
セッシーの必殺技、を頭突きでやってみたのだ。
「ギャーーーーー」
男は股間を押さえて悲鳴を上げて、盛大にコケてくれた。
私は投げ出される。
「キャッ」
とっさに障壁を展開、ショックを和らげるが、地面に激突した。
もう、本当にボロボロだ。
起き上がろうにも、手足を縛られてすぐには起き上がれない。
「いたぞ、こちらだ」
兵士たちが駆けてくる足音がした。
でもこれはチエナ兵だ。
「き、貴様、良くも」
「えっ?」
私は男が立ち上がってこちらにくるのが見えた。
そんな、変だ。セッシーの必殺技、頭突きで使ったのに!
やっぱり、足で思いっきり蹴らないといけなかったのだろうか?
ちょっと頭突するのに躊躇した私が悪かったのか?
怒りのオーラ満載でこちらにくる。
げっ、やばい
「お義兄様!」
私は思わず助けを呼んでいた。
でも、いくらお義兄様でも、宮殿にいたのだ。
お義兄様は転移が出来ないし、空も飛べない。
まだ、ここにこれていないはずだ。
「フンッ、貴様、ここで、殺してやる」
男が剣を抜き放った。
本当に私はやばいと思った。
男が私に斬りかかろうとした時だ。
「ヒィィィィ」
私は男が止まるのが判った。
私の後ろを恐れてみている。
「えっ」
私は一瞬、お義兄様が間に合ったのかと思った。
でも、このオドロオドロしい感じは違う。
「ズバン王太后様」
男は剣を投げ捨てて慌てて平伏した。
「えっ、山姥?」
私が思わず後ろをみたら、白い髪を振り乱した老婆がいた。
「だ、誰が山姥じゃ!」
しまった。セッシーからは絶対に思ったことを口に出してはいけないって注意されていたんだ。
「あなたは言ってはいけない事を言う傾向があるから、貴人と話す時は侍女長に話すのと同じように話しなさい」
と注意されていたんだった。
絶対に侍女長に山姥なんて言えない!
「私はそのようなことは」
男は慌てて否定した。
「そこの小娘か」
山姥がじろりと私を睨んだ。
「ヒィィィィ」
やばい。殺される。わたしは命の危機を感じた。
「まあ、良い。この小娘は我が宮廷でじっくりといたぶってやるわ」
山姥がニタリと笑った。
本当にやばい。
これは殺される。
お義兄様、早く!
私の心の底から祈ったのだった。
「チャングー」
山姥は男を見た。
「はい!」
チャングーはブルリと震えた。
「貴様には10万の大軍を与えて、最強の要塞を与えたにも関わらず、おめおめ退却しているとはどういう事じゃ?」
「いえ、王太后様。私めは、王太后様の命によりその小娘を護送しておりまして」
チャングーは必死に言い訳しようとした。
「ふんっ、小娘の護送はここから妾がやる。その方の力はもう必要とはせん」
「お、王太后様。何卒、挽回のチャンスを」
男は必死に頼み込もうとした。
「ふんっ、我がチエナに失敗の言葉はないのじゃ。責任を取って死ね」
そう叫ぶと山姥は真っ黒な光線を放ってくれたのだ。
「「「ギャーーーー」」」
男を中心として周りの兵士たちもあっという間におどろおどろしい黒い闇に包まれた。
そして、あっという間に干からびて、朽ち果てていったのだ。
「ヒィィィィ」
私は必死に後ろに逃げようとしたが、両手足を使えなかったので、後ずさることしか出来なかった。
「きゃーーーー」
私の悲鳴も虚しく、むんずと後ろ襟を掴まれて、
「ふんっ、来るのじゃ」
山姥はそう叫ぶと私を連れて転移してくれたのだ。
ココまで読んで頂いて有難うございましした。
お義兄様は間に合いませんでした。
ズバン王太后に連れ去られたエリーゼの運命や如何に?
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