馬車で連れ去られている途中で味方の攻撃にあって、馬車は道を外れて谷底に落ちてしまいました
私は転移を抜け出した途端、要塞に突入した。
というか勢い余って突っ込んだのだ。
巨大な要塞の城門に。
ズカーン
と言う爆発音とともに。
自分の身で攻撃するって事は、すなわち人間ミサイルになったってこと?
やるまで全くそのことに気付かなかった……
人間ミサイルになるなんて、本当に馬鹿だった。
私はとっさに眼の前に障壁を張ったのだ。
でも、激突するショックは凄まじい衝撃だった。
私はその衝撃の強さに完全に意識を無くしていたのだ。
ゴトゴトゴトゴト
体が揺れる。
私は目を開けた。
ゴトゴトと体が揺れて気持ちいい……
違う!
「うううう」
私は動こうとして両手両足を縛られているのに気付いた。
どうやら馬車に乗せられて運ばれているみたいだ。
顔を上げると天井には幌がかけられていた。
要塞に突っ込んだまでは覚えているが、その後の記憶がなかった。
要塞はどうなったんだろう?
「気付いたか」
兵士が声をかけてきた。
「とんだ化け物だな」
私と一緒に乗っている兵士の一人が私に向かって言ってきた。
化け物って何よ!
思わず叫びそうになったが、ここは我慢だ。
状況が全く判らない。
「こんな奴、殺してやる」
男の一人が剣を抜いた。
「止めろ!」
大柄の兵士の一人が止めてくれた。
「何故止めるんです? 隊長、こいつのせいでウーハン要塞が吹っ飛んだんですよ」
私に剣で切りつけようとした兵士が憤って隊長に食って掛かっていた。
「王太后様のお言いつけだ。逆らって処刑されたくないだろう」
「うう!」
兵士は不満そうに唸ったが、剣を引っ込めた。
要塞攻撃は成功したみたいだ。
私は嬉しかった。
人間ミサイルになって、ぶつかった衝撃は凄まじかった。良く生きていたものだ。まあ、お義兄様の恐怖の訓練に比べればましだったかもしれないけれど。
いや、あそこまで悲惨なことはなかったように思う。
あんな悲惨な目ににあって、成果が何もなかったら本当に馬鹿なだけだった。
あの天下無敵の要塞が壊れたなら、少なくとも少しは役に立ったんだ。
私はホッとした。
「おい、こいつは喜んでいるみたいだぞ」
「何だと」
おっといけない、顔に出ていたみたいだ。
「あなた達、男なんでしょ。こんなか弱い淑女を縛って恥ずかしくないの?」
私は言ってみた。
「何が淑女だ。貴様一人のせいでウーハン要塞は完全に瓦礫と化したんだぞ」
「そうだ。なんてことしてくれたんだ」
「お陰で帝国の進撃を防げなかったんだぞ」
「おい、黙れ」
隊長が慌てて注意してきた。
「あんたも殺されたくなかったら、黙っていることだな」
隊長は鋭い視線で私を見てきた。
私が睨みつけても、男はびくともしなかった。
さすが隊長だ。
でも、そんな時だ。
グー
私のお腹が盛大になったのだ。
「えっ」
男達は唖然として私を見てくれた。
「この女はすげえな」
「捕まって王太后様のところに連れて行かれるのにお腹がなるなんて」
「仕方がないじゃない。王太后様も何も私を取って食おうとなんてしないでしょ」
私がムッとして言うと、
「お嬢ちゃん。それはわからないぞ」
「おい、ウー。余計なことを言うな」
「しかし、隊長。この子が側妃様みたいに惨殺されたら」
「余計な不安を与えることはないだろう」
隊長の声に皆黙りこくった。
ズバン王太后、噂によると前国王陛下の寵姫だった側妃の両手足を切り取って人豚としてトイレに放り込んだとか……
噂に過ぎないと思っていたら、どうやら事実らしい。
私はぎょっとした。
まあ、ここから王都までは馬車では1ヶ月以上かかるはずだ。それまでに絶対にお義兄様が助けてくれるはずだ。
その点は私は安心していた。
何しろお義兄様は古代竜にも勝つ人なんだから。
私は絶対的に信頼していた。
「お嬢ちゃんも何をしたんだい。王太后様にここまで恨まれるなんて」
年配のおじさんが、同情したように私をみてくれた。
「おい、ウー、余計なことを」
「そんな事言ったって、俺もこれくらいの娘がいるんだ。可愛そうで」
「……」
私は皆から視線を逸らされた。
ええええ! 私、人豚にされるの決定なの?
「お嬢ちゃん食べるかい」
そう言っておっちゃんは私の口の中に乾パンを放り込んでくれたののだ。
「有難う、おじさん。美味しいわ」
私が笑って言うと、
おじさんは次々と私の口の中に入れてくれた。
そして、他の兵士たちも私に同情したようで皆、次々に食べさせてくれたのだ。
私は空腹が少しは満たされて嬉しくなってきた。
連れ去られてから、全く食事を取っていなかったのだ。
そんな時だ。
「敵襲だ」
「敵襲だぞ」
声が上がった。
ウォーーーー
大喚声が後ろから上がって、帝国軍が攻めてきたのだ。
よく見ると一軍の兵士のようだった。
えっ、もうお義兄様が追いついてきたの?
私は喜んだ。
「おい、全力で逃げろ!」
隊長が叫ぶ。
「皆の者、迎撃だ」
「オーーーー」
荷馬車の周りにいた騎士たちが反対に向いて迎撃になる。
馬車は必死に飛ばしだした。
私はできたら馬車を止めたかったが、縛られた状態では無理だった。
その時は山道に差しかかっていた。
馬車がめちゃくちゃ揺れる。
こんな山道スピード上げて大丈夫なの?
私が不安になった時だ。
馬車が大きくはねたのだ。
そして、
「ギャー」
御者の悲鳴が聞こえる。
馬車が山道を大きくそれたみたいだった。
そして、馬車が空に浮いたのが判った。
えっ
そのまま落ちる。
「キャーーーー」
私は思わず悲鳴を上げた。
そのまま馬車は回転しながら崖にぶつかりながら谷底に転落していったのだ。
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転落した馬車……エリーゼの運命やいかに?
続きは明日の朝か昼です。
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