従軍するのに久々に訓練したら倒れてしまって、お義兄様に看病してもらいました
皇帝親征に決まって宮殿内は大騒ぎになった。
何しろ皇帝親征は、昔東方10カ国にお義父様が攻め込んで負けて以来だ。
最近は戦争していたのはお義兄様たちの3軍団と東方の軍の10万くらいで、大半の兵たちは戦争には参加していなかったのだ。それが皇帝親征になって、貴族たちや騎士たちが大慌てで動き出したのだ。
何しろ久々の従軍で代替わりして、従軍について良く知らない貴族たちも多くいたのだ。
宮殿内は蜂の巣を突いたような状況になった。
「すぐに領地に帰還するぞ」
「領地には直ちに早馬を出せ。出陣準備だ」
「このままタウンハウスには寄らずに領地に帰還だ。」
貴族の領主たちは外にいた自分の従者たちに次々に指示を出していた。
今日会議に出ていない領主たちにも直ちに伝令が発して伝えられるだろう。
帝都にいた貴族の当主の多くは領の兵士たちを率いて戦場に向かうために慌てて領地に帰って行った。
宮殿内でもお義父様の出征の準備で皆とても殺気立っていた。
出征は1ヶ月後。遠くの領地のものがそれに間に合うかどうかは判らないが、取り敢えず、皆必死に準備し始めたのた。
補給部隊は予定通り、国境地帯に物資の集積をするために、翌朝から移動を始めた。
お義父様は国境地帯の領主たちに命令を下すとともに、剣の鍛錬をいつにも増して、始めた。
私自身は元々お義兄様等と良くダンジョンに潜りに行ってもいたので、荷物自体はすぐに準備できた。
やることはもうないのだ。後は、シャロットに後のことを任せたりしたかったんだけど……。
お義兄様が私がお義兄様から離れることを許されないのだ。
お義兄様の第1軍は、今、王都の郊外の軍の施設にいて、当然、お義兄様もそこに視察にも行く。
私も連れて行かれて……
なんでこうなった!
私はお義兄様と一緒に一軍の皆と匍匐前進させられていた。
ええええ! 私は一応貴族の令嬢なのに……
まあ、行軍するなら当然なんだけど、最初にスカートのままさせようとしたお義兄様を叩いて、私も一軍の騎士服着てやっているんだけど……。
「そうやって、軍服を着るとエリも男みたいだな」
余計なことを言う、お義兄様の足を思いっきり踏んでやったのだ。
「俺は褒めたつもりなのに」
お義兄様が後で文句を言って来たがそんなのは知らない。
足を押さえて痛がるお義兄様を放っておいて、早速匍匐前進始めたのだ。
久しぶりだからどうなるかと不安だったのだが、昔、お義兄様にしごかれた杵柄があって、案外ちゃんと出来た。
「凄いな、エリちゃんは令嬢なのに騎士と変わらないじゃないか」
トマスさんが褒めてくれたけれど、うーん、それはなんか微妙なんだけど。
「ふんっ、エリ、遅いわよ。今までサボっていたでしょ」
トマスさんの横で両手を腰に置いてセッシーが言ってくれるんだけど、
「私は騎士のあなたと違って令嬢をしていたから仕方がないでしょ」
私が文句を言うと
「何言っているのよ。私も侯爵令嬢よ。一応、令嬢なんだからね」
「でも、ブラント侯爵家は武のブラントとして有名じゃない」
「何言っているのよ。あなたのロザンヌ公爵家も武の名門じゃない。そもそもあなたの父上は剣聖だったんでしょ」
そう言われればそうだった。
お義兄様の訓練は過酷で、それには慣れたつもりだったけれど、サンタルに3年間行っていた間は自分達のレストランのバイトに忙しくてかまけていたのだ。
「いやいや、それでも、凄いものだよ。エリちゃんは」
トマスさんはそう言うと一軍の皆を見渡した。特に新人を。
「お前ら、我らの騎士の女神のエリーゼ様より遅かったら、罰として倍させるからな」
「えっ!」
「そんな!」
いつの間にか、私の護衛じゃなくて訓練に参加させられているゴーチエらが文句を言っていたが、
「愚痴愚痴言わずに始めろ!」
トマスさんの声に一斉に始めていた。
でも、最初こそ、ちゃんとやれていた私だが、しばらくサボっていたのがいけなかった。
剣術の稽古になるともう疲れてフラフラだったのだ。
「エリ、何だそのへっぴり腰は」
そんな私に鬼のお義兄様は次々に打ち込みをしてくるのだ。
「えい! や! とう!」
私は必死に受けたが、私はもう涙目だった。
「凄いな。殿下は……」
「婚約者だといっても容赦がないな」
「エリーゼ様が涙目でかわいそうじゃないか」
騎士たちが騒ぎ出したが、
「おい、そこ、何をさぼっている!」
「「「す、すみません」」」
お義兄様の怒鳴り声に慌てて稽古に戻った。
「ギャっ」
私は最後のお義兄様の打ち込みに耐えられずに剣を弾き飛ばされて倒れ込んでしまった。
「エリ!」
大声を出して慌てたお義兄様に抱きかかえられたけれど
「お義兄様、もうダメ」
そう言うと意識を失ってしまったのだ。
「おい、エリ!」
慌てて叫ぶお義兄様の声を聞きながら。
夢の中で私の前には美味しそうな食べ物が並んでいた。
それをお義兄様が美味しそうに食べているのだ。
「私も食べたい」
と私が言うと、
お義兄様がスプーンにすくって、私の口元に持ってきてくれた。
私が食べようとしたら、そのスプーンを自分の口に持っていったのだ。
「酷い! お義兄様」
私が文句を言うと
「エリはちゃんと訓練しなかったからな。これはやれない」
お義兄様はとても冷たいことを言ってくれたのだ。
そんな、私のご飯が……
グーーーー
私は盛大にお腹がなるのを聞いた。
目を開けると私はお義兄様のベッドの中だった。
外は暗い。もう夜みたいだった。
そして、目の前でお義兄様がご飯を食べようとしていた。
「あっ、お義兄様。酷いね自分だけ食べるなんて」
私が文句を言うと
「やっと起きたか」
お義兄様はそう言うと、私の傍に食器を持ってきてくれて、スプーンですくって私の口元に持ってきてくれた。
慌てて私はスプーンを咥えこんだのだ。
「おい、まだ熱いぞ」
「あじゅい!」
思わず私は涙目になって咳き込んだ。
「何をしているんだ。俺は取ったりしないから」
慌ててお義兄様が水を飲ませてくれた。
「ふううう」
私が息をついた。
「はい、エリ」
今度はふうふう冷ましてからお義兄様が私の口元にスプーンを持ってきてくれた。
私がパクリと食べる。
「次はこれ」
かぼちゃの炊いた物だ。
「美味しい」
「次はこれだ」
ナイフで切った肉を私の口元に持ってきてくれた。
「悪かったな、エリ、無理させて」
お義兄様が謝ってくれたんだけど、
「ううん、大丈夫。さぼっていた私が悪かったから」
私は首を振ったのだ。
そうだ。戦場に行くにはあれくらい楽勝で出来るようにならないと!
私は戦場に出ることを甘く考えていたのだ。
それからしばらく、私はお義兄様に親鳥がひなにやるように食べさせられた。
そして、食べるだけ食べると眠くなってきた。
訓練は本当に疲れたのだ。
「さあ、もう寝るんだ」
お義兄様はそう言ってくれたので私はそのまま、ベッドの横にいたお義兄様の膝の上に倒れ込んで寝てしまったのだった。
きついようでエリーゼには甘いお義兄様でした。
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