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残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
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角狩り

 小鳥がさえずる爽やかな朝、空は目を覚ました。

 目線の先には朝食を作る皐月の姿、朝食の香り、そして何よりも空の方を振り返る皐月の笑顔が、1番爽やかだった。

「おはよう」

「おはようございます!もう少しでできるので座って待っててください」

 空は寝癖が絡まる頭を触りながら椅子へ座る。

「はいできました」

 皐月は、食卓に綺麗に焼かれた卵焼きや、ベーコンなど、いかにも朝食らしいメニューのものを出した。

 当の皐月本人は空が食べる姿を自信ありげな表情で見つめていた。

「い、いただきます」

「どうぞ召し上がれ」

 皐月が作った食べ物はどれもが美味しく、卵は半熟の黄身にふわふわの食感、ベーコンは厚切りなだけありしっかりとした食感と味で食欲をそそっていた。

「美味しい」

 空は思わず言葉が漏れていた。

 その言葉を聞き皐月はさらに自慢げな表情になった。

「皐月は医者より料理人の方が向いてるんじゃないのか?」

「また、そんなこと言って、これ以上何も出て来ませんよ?」

 そう言いつつ、影からヨーグルトを出して来る。

「たまたま、本当たまたまあっただけですから、食後に食べてください」

「ありがとう」

 照れながら感謝を伝えた朝だった。


 空は朝食をとったあと早速家の修理を始めた。

 空は手始めに皐月から渡されたメモに書いてあるバイクという言葉に興味が湧き、家の横のガレージへと向かった。

 空がガレージのシャッターをあげるとそこには壊れてはいるもののしっかりとしたバイクが置かれていた。

「これはなかなか、それに治しがいもありそうだな」

 ガレージには工具がそろっており、修理には困らずにバイクを治すことが出来た。

「よし、とりあえずこれで大丈夫だろ」

 空はバイクにエンジンをかけると、それはけたたましい音の後に、重く響く轟音を鳴らした。

 バイクにまたがり、早速走らせる。

「うおお、これはなかなかスピードが出るな」

 バイクの音が大きいことを思い出し、牛達の心配をし周りを見渡すががそこに牛はいなく、あるのはただ広い草原だけだった。

「な、なんの音⁉︎」

 皐月がバイクの音に驚き家から飛び出して来た。

 空が運転するバイクは皐月の目の前で止まりエンジンを止めた。

「これ、ガレージに置いてあったバイク?」

「そうそう、治して乗って見たらこれがなかなか速くて驚いたよ」

「私はなんの音かと思って驚いたよ」

「え?これ皐月のじゃないのか?」

「私はバイクに乗ったことないよ、それはお父さんの形見なんだ」

 それを聞き空は慌ててバイクから降りる。

「それはすまなかった」

「いいや、いいんだよ。そのバイクも空に乗ってもらった方がいいと思うから。そうだ、そのバイクあげるよ」

「え?いいのか?」

「いいのいいの、あってもどうせ私じゃ乗れないから」

「それじゃあ有り難く頂くよ」

 空はバイクをガレージへとしまった。


 その後も皐月の頼み事を終わらせるため、家の裏の庭の手入れをしていると、家の中から皐月の悲鳴が聞こえてくる。

「キャーー!」

「なんだなんだ」

 空は慌てて家の中へ入る。

「おい大丈夫か⁉︎」

「空、逃げて…」

 家の中に入ると見えるその光景は異様なものだった。

「なんだ?こいつ」

「いいから速く連れて行きましょうぜ」

 大柄な男と、小柄な男が傷だらけの皐月を縛り上げていた。

「お前ら、皐月に何をするつもりだ」

「何って、今からこいつをボスの所に連れて行くんだよ、こいつは角人の中でもなかなかの上玉でな、前にこいつを誘拐した時にボスは一目惚れして嫁にもらうと言ったんだよ」

「嫌がってるのにか」

「なんだお前、俺ら角狩りに歯向かうのか?」

「なるほど、お前らが角狩りか…丁度いい、俺が相手になる。かかって来い」

 空は腰につけていた刀を引き抜く。

「いいぜ、やってやるよ」

 大柄な男は皐月を地面へ投げ捨て小柄な男と共に外に出る。

「悪いが、手加減はできないぞ」

「ほざいてろ」

 怒りに満ちた表情の空は、手に持っていた刀を再び鞘に収めると、居合の構えへと体勢を変える。

 一方で、大柄な男は余裕の表情で首を鳴らしている。

「はぁ…」

 小柄な男があくびをした刹那、大柄な男の首が赤黒い血とともに宙に舞った。

 再び目を開けた小柄な男の頭上から血の雨が降り注ぐ。

「手加減は、しないと言ったのにな」

「お前、ふざけてるんじゃねーぞ!」

 小柄な男が空の元へ飛びかかる。

 空は飛びかかる男の頭を鷲掴みにし、顔の近くへ持って来る。

「お前の所のボスに言え、皐月にはボディーガードが付いてる、皐月が欲しくばまず俺を倒せってな」

 空の鬼の形相に恐れおののいた男はその場からそそくさといなくなった。


 空は家の中へ戻り、皐月を縛っているロープを切る。

「大丈夫か?」

 ロープを取るなり皐月が空へ抱きつく。

「怖かった…」

「もう大丈夫だ。安心しろ」

「逃げた方はどうしたの?」

「ボスの所へ伝言を渡した」

「待って。それじゃあ、空の仲間達が危ない!そのボスは今空の仲間達がいる街に潜伏しているの!」

 空の額から汗が流れる。

「そうだ、裏にバイクがある!それに乗っていけば…でもどこにいるかわからない。クソッどうしたら」

「私も行く。私なら一回捕まって逃げて来れたから場所の理解は大丈夫」

「でも」

「いいの、私の父と母の命を奪った男を倒すチャンスだもの。私が行かなきゃいけないの」

「分かった。だが無茶だけはするなよ」

 皐月は慌てて準備をする。

 空はガレージからバイクを取り出し、エンジンをかける。

「行くぞ!」

 バイクのエンジンから鳴る轟音と共に、空と皐月は街へ急いだ。

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