その9 ディアマイフレンドハバナイスディ
朝練を終え、教室に戻る。教室にはクラスメイトが好き勝手喋ってる。少し耳をすませて聞いてみると、髪型の話とか流行りの曲の話とか・・・そういえば佐々木はどんな音楽が好きなんだろう。
『ねぇ、音楽聴く?』
先生が教室に入ってきたのでスマホをポケットに入れる。先生の聞かなくていい話が始まり私は欠伸をした。眠たさを堪えようとついでに窓の外を見た。梅雨も終わり、青々とした空にトイストーリーみたいな雲が浮かんでる。佐々木に言おうと思って死角になるようにこっそりラインを開く。
『人並みには聞きますよ』
『何聞くの?』
『セカオワとかオアシスとかプリンスとか有名どころですよ』
随分捻くれたセンスだね。少し笑いそうになる。
『私はラッドが好きだな』
『俺もたまに聞きますよ』
『ふーん』
「じゃあ、後連絡はぁ・・・あ、そうだ、今日学食で飯買えるけど、建物の中では食えないからな。そこだけ注意して。じゃ、1限は化学室でやるから遅れないように。以上!」
・・・お昼ご飯か。逡巡した後、佐々木にもう1件送ってみる。
『お昼ご飯っていつも何処で食べてるの?』
っ、送ったら急に恥ずかしくなってきて送信を取り消そうか迷っていると直ぐに既読がついた。
『クラスで寺内ってやつと食べてますよ』
『ふーん』
・・・じゃあ、お邪魔するのも悪いか。
『したら俺、4限終わったら自販機前のベンチで待ってますからね』
っ、震えそうになる指を軽く抑える。
『なんのこと?』
『え?一緒にご飯食べるんじゃあないんですか?』
『・・・そう。じゃあ待っててね』
『はいよ』
・・・はいは1回って言いたかったな。
ぼんやりとしたまま授業を終え、自販機前のベンチに向かう。人混みを少し探すと彼はベンチに座って女の人と喋ってた。少し離れた場所で耳を済ませる。
「いや、落とした俺が悪いんで。ほんとすみません。かかってないですよね」
「いやいや、私もよそ見してたのが悪いんで、ほんとごめんなさい。コーヒー弁償しますんで」
「いやいや俺が悪いんで受け取れないっす。お互い運が悪かったでさよならしましょ、ね?」
「いやぁ・・・でも、ほんとに大丈夫なんです?」
・・・心配して損した。




