その8 トップガントップシークレット
息を整えたあと私はスマホを触る。
『マネージャーノート持ってきて』
佐々木はわざとらしく寝転がって息を整えてる。口でぜぇはぁ言ってるし。あ、寝たフリし始めた。私は彼の太ももを蹴る。
「俺もう動けないっす」
『いいからマネージャーノート取ってきなさい』
「なんすか?それ、どこにあるんすか?」
『部室の棚にある。私の名前が書いてあるやつね』
「はいはい。よっと」
立ち上がった。私は一応ラインを送る。
『もしかしたら誰かしらが着替えてるかもだから、ノックしてから入ってね』
『先に言って下さいよ。いやぁーたまたまノックしたけど聞けえてない可能性もあるよなぁ、なら、うっかり着替え中にばったり出会っても、事故だよねぇ』
私は本気でダッシュして、ドアの前で手をワキワキさせている佐々木にドロップキックをした。
「痛いぃぃっー!なにすんすか!?常人なら骨の7つや9つは折れますよ!」
私は無視して部室に入る・・・なんだ、誰もいないじゃん。
マネージャーノートを取り出す。ここの部活だと私みたいに有望だと、専属でマネージャーがつけられる。今マネージャーがついてるのは私ともう1人。副部長の川合さんだ。川合さんはマネージャーに着いた後輩君と交際してるし・・・私は軽く頭を振った。私は2人を軽蔑したじゃない。余計なことは考えず、結果を残さないと。部室を出た。
「やぁー俺、運動はしないって決めてるんで」
「だとしてもさっきのフォームはよかった。スウェーデンのメンバーに殴り込みをかけれるくらいなんだ!本当にこの部活に入んないか?頼むよ」
「や、ほんとに勘弁して欲しいです」
佐々木はあのへらへらした笑みを引っ込めて、少し困った顔をしてた。私はマネージャーノートを渡す。
「じゃあ、ごめんなさい、今から業務があるんで」
「ああ。気が変わったらいつでも言ってくれよ」
佐々木は少し笑った。
「俺なんかに期待してもねぇ。対して運動もできません誘わないでほしいですよねー。そうやって言われたらスウェーデンリレーの選手に可哀想じゃあないですか。俺なんかに枠奪われて」
『それは違うよ』
「なにがですか?」
『結局陸上は実力が全て。才能でと努力でも、結果の価値は一緒。君の足が速いのが才能なのか努力なのか知る由もないけど、私は君と練習できるなら、嬉しいよ』
佐々木はなにも言わない。
『ま、インターハイが終わるまでは私の専属マネージャーだけど』
「はいはい、拘束されますよー」
『はいは1回よ』
佐々木はなにも言わずにスマホをポケットにしまった。




