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その31 ヘヴィーステレオ

目を開けた。知らない天井だった・・・ってさっきもやったか。スマホの音楽を止め、時間を見る。朝の7時だ。・・・シャワー浴びたいな。まぁ、シャワー浴びた後脱衣所で着替えれば裸を見られたりしないよね。佐々木が脱衣所とかを覗き込んだら別だけど。私は佐々木は絶対に覗かないってのはわかってるけど、なんだかモヤっとする。覗かれたいわけじゃあないのに、なんだか、その、女性として見られてないんじゃないのかなって・・・私は頭を振る。一緒に寝てたから思考が変なことになってる。鞄から下着と着替え、化粧水を取り出す。ついでに櫛も取り出す。佐々木をちらっと見る。大爆睡だ。まぁ、一昨日は夜遅くまでバイトしてて、昨日は朝働いてたって言ってたし、その上で一緒に走ったり雨の中歩かせられたりしてたから、そりゃ疲れてるよね。布団をかけてあげようとしたけど、よく見たら佐々木、一緒に寝てた私もだけど布団の上で寝てたんだ。布団、被せてあげたいけど・・・私は今着てるシャツの臭いを嗅ぐ・・・うん、大丈夫、だよね?臭くないよね?備え付けのファブリーズを振りかけてから、脱ぐ。その服を佐々木に被せるように掛ける・・・ふふっ、おやすみ。君は静かに寝てると可愛いね。

脱衣所に行き、肌着とホットパンツを脱ぐ。お風呂場に入って、シャワーヘッドをこっちに向ける。ふぅ、備え付けの鏡をなんとなく見てぎょっとした、え、私チーク付けたまま寝てたの?えっ、ヤバい。慌てて落とし、洗顔料で洗う。荒れては・・・なさそう、だね。よかったぁー。次から気を付けないと・・・なにに気を付けるの?まぁいいや。シャンプーを出し、頭を洗う。鼻歌を歌いたい気分にもなった。うん、すごくいい気分。

佐々木が同じ部屋にいるからたっぷり時間をかけて体中をくまなく洗い、起こしそうで申し訳ないなと思いながらドライアーで髪を乾かす。保湿もヘアセットも済ませ、脱衣所からでる。佐々木は・・・いないんだね。がっかり。机の上にはメモが置かれていた。

『寝落ちしてごめんなさい!俺は部屋に戻ってシャワーを浴びてます!晴れてますし10時になったらご飯食べに行きましょ!』

・・・ふふっ、私はラインを開き、了解とだけ送る。朝ごはんか、何食べよっかなー。楽しみ。スマホの時計はまだ9時だった・・・え、シャワーに2時間もかかったの?おっかしいな。そんなに時間が経ったとは思ってなかったんだけどな。別に浴槽にお湯張ってないから本当にシャワーを浴びてただけなのに、そんなに時間が経ってたんだ。私はすることもなく財布を持って部屋を出る。丁度隣の部屋のドアが開いた。びっくりしてそちらを見ると、先生だった。なんだ、先生か。

「俺で悪かったな」

・・・何も言ってませんよ。

「どこに行くんだ?」

私は下を指さし、手で7と11を作る。

「ああ、下のセブンか。何を買いに行くんだ?」

私は伝えるすべが思いつかないから、結局ポケットからスマホを取り出す。

『ミントです。後何か飲み物を』

「ああ、金やるから待ってろ。七星!財布持ってこい!」

っ、びっくりしていると、上裸の佐々木がのこのことやってきた。

「まだ髪乾かしてんすけど。はい」

「あんがと。行っていいぞ」

「人遣いが荒いぜ。これだからゆとり世代は」

すぐに佐々木は戻っていった。先生が死角になって、佐々木は私に気が付かないまま戻ってしまった。

でも、私は見た。鍛えられた上半身、特に背筋。濡れた髪を面倒くさそうに後ろに流してる、そして眼鏡の佐々木。

「・・・ほれ、2000円だ・・・山重?」

・・・・・・。

『先生』

「なんだ」

『・・・私さ、ずっとよくわかんなかった。佐々木が友達って言ってきてざわざわするのも、眼鏡の姿を見て、息が止まるのも、話を聞きたいのも一緒に寝たいのも、よくわかんなかった』

「ほん」

『・・・これさ、なんて気持ちなの?これが私がずっと欲しがってた、友情なの?友情って、こんなにも、ざわざわして、落ち着かなくなって、それでも、相手のことを考えちゃうの?』


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