その29 間章その3
「まだ飲むかい?」
「勿論。まだ酔い足りない」
「何が飲みたい?」
「ラム酒。ゴールドラムだな」
「何で飲む?ソーダ割り?」
「んー、ショットで。なにがある?」
「有名どころなら」
「なんか、名前が分からん。あのディノバルドみたいな名前の酒」
「・・・ディプロマティコだな」
出されたいい色の酒を眺める。グラスを手に取り、光にかざしてみる。面倒くさくなってまた流し込んだ。さっきの酒とは違う、優しい味だ。尖りも少ない。旨い。美味いじゃあんくて、旨い。この違いが判る大人でありたい。ふぅ。
「その教え子2人は付き合ってるのか?」
「まぁ、近いうちに付き合うとは思ってる」
「教師として、それはどう思うんだ?」
「あぁーん・・・生徒同士の恋を止めるからホス狂いとかが生まれんじゃねーのかなって」
「ふぅん」
「まぁあ、今2人をホテルに置いてきて飲んでるんだけど」
「・・・は?お客さん教師なんだろ?」
「さっき1回ここ出て見に行ってきたんだよ」
「ああ、んでその2人は何してたんだ?普通に寝てたの?」
「や、俺とクソガキは同じ部屋なんだが、開けてもクソガキが部屋にいなかったんだ。まぁ、コンビニかもしれないし、1度女子の方の部屋に行ったんだ。俺の名誉のために言うがクソガキが部屋に居たら隣の部屋を覗く気はなかった」
「まぁ、何でもいいよ。あんた既婚者だもんな。指輪ついてるし」
「ちなみにマスターは?」
「既婚者だ。朝帰りにおいしい味噌汁を作ってくれる最高の女性だ」
「いい女だな。だが俺のカミさんの方がいい女性だ。まぁいいや。んで隣の部屋をノックしたんだよ。音沙汰内から開けて、入ったんだよ。したらよ、2人で寝てたんだ」
「・・・それでやけ酒?」
「違う。セックスしてたわけじゃあな。本当にただ寝てたんだ。クソガキは大の字になって寝て、その腕を枕に女の子も寝てたんだ。着替えてすらなかったからシャワーも浴びず喋ってたら寝ちゃったんだろうな」
「んで、お客さんはどうしたんだい?」
「電気消して、またここに来た」
「・・・教員としてどうなんだ」
「いいんだよ。俺は2人を信用することにした。そんなことよりビール飲みたい。黒ラベルは?」
「ここはBARだ。無いとは言わないがもっといい酒がある」
「なに?」
「モエ・エ・シャンドン」
「ははっ、キラークイーンと呼ぶにはケツが青すぎるがな」




