その24 お節介
ビジホに着く。少し迷ったけど山重さんを揺すって起こした。また腕に抱き着かれないように目が覚めそうになったら手を離した。
「おはようございます。着きましたよ」
山重さんはぼんやりと焦点の合わない目で俺を見た後、また目を閉じた。
「えぇ・・・」
「おぶってやれよ」
「先生甘やかしすぎじゃね?」
まぁ背負いますよ。よっと・・・割と重たいな。まぁ寝てるから体重を分散できてないからだろうけど。
ビジホのベッドに寝かせ、俺は部屋を出る。隣の部屋に入ると先生はホテルのベッドに早くも寝転がりビールを開けた。
「どこで買ったんだよ」
「下のコンビニ。別に酒くらい飲ませろ」
はぁ。いいけど別に。俺も下のコンビニに行く。金あんまねーんだよなぁ。お茶のボトルとカップ麺を1つ。レジでお会計を済ませ部屋に戻る。
「あ?それ俺の飯?」
「1缶で酔うなよ」
「酔ってねーよ」
「・・・先生、最古の人ってアウストラロピテクスでふか?」
「違う、サヘラントロプスチャデンシスだ。テストに出るぞ」
・・・酔ってないのか?
「先生、3キロの重りを横に10センチ動かすのに必要なジュールは?」
「摩擦は?」
「考えないものとする」
「0だ」
・・・酔ってないのか。
「んで、お前、山重と一緒走ったんか?」
「走りましたよ」
「どう思った?」
「・・・・・・や、俺はなんにもわかりませんでしたよ」
「・・・そうか」
先生は財布から1万を抜き、机に置いた。
「俺は外で呑んでくる。好きにしろ」
「俺が山重さんとエロいことしたら?」
「退学な」
「ひでぇ」
「まぁ、ヤリたいならヤれば?俺もカミさんに襲われて付き合ったからな」
「え」
「おっさんの馴れ初めなんて聞いてもオモロないだろ。じゃあの」
行ってしまった。本当に教員か?
中々湯が沸かないと待ってたらコードが刺さってなかった。んだよ。舌打ちして今度こそ沸かす。はぁ。山重さん体調崩してたりしないよなぁ。考えても仕方がないな。俺は部屋を出て隣の部屋をノックした。
「俺ですよー、大丈夫ですか?」
山重さんは普通に出てきた。寝ぼけてるのか分からないが手話で何かを話し出した。俺が首を傾げていると、ようやく目の焦点が合った。
山重さんは何も言わずドアを閉めた。なんだよ。




