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23/37

その23 話枕

クソ暑いなか郵便局まで歩く。あのクソジジイなにが手数料だよ。1キロ弱あんじゃねーか。山重さんと話したいから席外せって言えば外したんにあのクソ野郎態々歩かせやがって。汗だくで帰んの嫌や。

ようやくたどり着いた郵便局。少しだけ並んでるから後ろに続く。あれ、いくら下ろせばいいんだ?

自分の番になり、残高を見てみる。んー、700万か。めちゃくちゃ持ってるなアイツ。10万下ろし、また銀行を出る。ますます薄暗くなってきた。俺は足を早める。

が、結局降り出した。クソ野郎。コンビニに寄り、下ろした金で傘を買う。折り畳み傘も2つ買っておく。俺の金じゃあないんだ。好き勝手買っちまえ。ついでにアイスコーヒーの氷と・・・えーっと、ショーピは21番か。ハイメンは96番。あはは、買わないけどな。

傘を指し、元の競技場に戻る。アイツらは居なくなってた。舌打ちし電話する。苛立ちから山重さんに電話掛けたろかなと思ったけど、流石に自制した。

「目の前のサイゼだ。はよ来い」

ガチャ切り・・・だと?ほんま1回タコ殴りにしたろかな。


「おう、遅かったな」

「雨降り出したんだよ。クソ」

「幾ら下ろしたんだ?」

「分かんねーから10万。んで傘3つ買ったから9万5千だ。小銭は寄越して」

「あいよ。ドリンクバー頼んであるぞ」

「持ってきてくれよ。コーヒーね」

山重さんが立ち上がった。慌てて止める。が、そのまま行ってしまった。

「・・・強情だなぁ」

「はっ、お前女の趣味がいいな」

「・・・言ってろよエロジジイ」

貰ったアイスコーヒーを飲む。美味しくないね。

「さて、どうする?」

「や、俺は知らんよ」

「一応、土砂降りの中会場周りの飲食店を探すことも出来る。が、もうどうせ今日はこんな天気だ。予報だと明日にゃ快晴らしい。この雨ん中回るか明日にするか」

「選択肢は2個以上用意してから聞いてくださいよ」

「近くのビジホに行く。2部屋だからな」

「ケチ」

タクシーに乗り込み、ビジホに向かう。先生は助手席に座り運転手と野球の話を始めた。なにがカープだ。愛知県民ならドラゴンズを応援しろ。

山重さんは軽く欠伸をした。

「眠いんですか?」

頷かれた。俺は太ももを叩く。

「ここに枕がありますよ!」

山重さんはそれを見て笑った。

「まぁ、膝枕ってのに太ももが枕ですから、なんで膝枕って名前になったんでしょうね。膝枕で思い出したんですけど、俺子供ん時に母親の膝枕で耳掃除してもらってたんですよ。したら姉が私もやる!って俺を無理矢理膝枕した後でボールペンを俺の耳に突き刺したんですよ。マジビックリしました・・・山重さん?」

山重さんは俺の肩にもたれかかって眠っていた。俺は軽く笑うと前を向いた。ミラーにはニヤニヤしてる先生が写ってる。

降りたらぶん殴ってやる。絶対にだ。今は身動き取れないから降りたらだ。

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