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家族に“いらない”と言われた俺、実は国家機密級の能力者だった~捨てられたはずが政府に保護され人生逆転~  作者: あぁ


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第9話 「失われた記憶」

第9話 「失われた記憶」

「――起きろ」

遠くから声が聞こえた。

誰かが呼んでいる。

「おい」

意識が少しずつ浮上する。

重い瞼を開くと、見慣れた白い天井が見えた。

「……ここ」

医務室だった。

「目が覚めたか」

横を見ると、あの男がいた。

相変わらず無表情だ。

「……あいつは?」

最初に出た言葉はそれだった。

白髪の少年。

あの異様な存在。

「拘束した」

男は短く答える。

「現在は特別収容区画にいる」

少しだけ安心する。

だが同時に、疑問が膨らむ。

「あいつ、誰なんだ」

男は答えなかった。

「おい」

沈黙。

数秒後。

「それはこちらが聞きたい」

「……は?」

意味が分からない。

男はタブレットを取り出した。

そこには戦闘記録が表示されている。

「対象は君を見た瞬間に行動を変えた」

映像が再生される。

確かに。

白髪の少年は俺を見て驚いていた。

そして。

『やっと会えた』

そう言っていた。

「知り合いじゃないのか?」

男が聞く。

「知らねぇよ」

即答だった。

本当に知らない。

あんな奴、一度も見たことがない。

なのに。

頭の奥が妙にざわつく。

「……」

巨大な扉。

白い空間。

知らない景色。

一瞬だけ映像が浮かぶ。

「っ!」

頭痛。

激痛だった。

「どうした」

「……いや」

言葉を濁す。

今のは何だ。

夢じゃない。

昨日見た映像と同じだった。

「何か思い出したのか」

男の目が鋭くなる。

「分からない」

本当に分からない。

ただ一つだけ。

あの映像は“初めて見るものじゃない”。

そんな気がした。

「……まさか」

嫌な予感がする。

「俺、記憶でも消されてんのか?」

冗談半分で言った。

しかし。

男は否定しなかった。

「おい」

空気が変わる。

「今の顔」

男は黙っている。

その沈黙が答えだった。

「……本当に何かあるのか」

胸がざわつく。

すると。

コンコン。

ドアがノックされた。

「入れ」

扉が開く。

入ってきたのはリナだった。

「起きた?」

いつもの調子。

だが。

どこか様子がおかしい。

「どうした」

「別に」

即答。

嘘だ。

分かりやすすぎる。

「お前、嘘下手だな」

「うるさい」

リナは視線を逸らした。

そして。

「……心配しただけ」

小さな声。

「え?」

「だから!」

リナが顔を赤くする。

「監視対象が勝手に倒れたら面倒でしょ!」

絶対それだけじゃない。

だが。

少しだけ嬉しかった。

「ありがと」

「っ!」

リナが固まる。

「な、なんで素直なのよ!」

「いや、お礼くらい言うだろ」

「調子狂うんだけど!」

医務室の空気が少しだけ軽くなる。

しかし。

男は真剣な顔のままだった。

「休憩は終わりだ」

そう言ってタブレットを机に置く。

「対象が目を覚ました」

対象。

つまり。

「あいつか」

男は頷く。

「そして」

一拍置く。

「君に会いたいと言っている」

「……は?」

予想外だった。

「なんで俺が」

「理由は不明」

男が答える。

「だが対象は一貫して君の名前を要求している」

名前。

俺の。

「会わせる気か?」

「判断はまだだ」

男は腕を組む。

「だが事態は想定以上に複雑になった」

その言葉に。

胸の奥がざわついた。

白髪の少年。

失われた記憶。

俺だけが見た謎の映像。

全部が繋がっている気がする。

そして。

その答えは。

きっとあいつが知っている。

「……会う」

気づけばそう言っていた。

男がこちらを見る。

「危険だぞ」

「分かってる」

それでも。

逃げる気にはなれなかった。

「聞きたいことがある」

男は数秒考え。

やがて頷いた。

「準備を進める」

そう言って部屋を出ていく。

残された俺は。

窓のない天井を見上げた。

嫌な予感しかしない。

でも。

このまま知らないふりもできなかった。

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