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家族に“いらない”と言われた俺、実は国家機密級の能力者だった~捨てられたはずが政府に保護され人生逆転~  作者: あぁ


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第10話 「お前は忘れている」

第10話 「お前は忘れている」

翌日。

俺は施設の最深部へ向かっていた。

隣にはリナ。

後ろには武装した警備員。

前にはいつもの男。

まるで重犯罪者に会いに行くみたいな雰囲気だ。

「本当に大丈夫なのか?」

歩きながら聞く。

「分からん」

男は即答した。

安心材料ゼロだった。

やがて巨大な扉の前に到着する。

厚さだけで一メートルはありそうな金属製。

普通の人間を閉じ込めるためのものじゃない。

「対象は内部にいる」

男が言う。

「接触時間は十分以内」

「十分か」

「異常があれば即座に終了する」

リナが小さく俺を見る。

「無理そうなら言って」

「分かった」

ロックが解除される。

重い音を立てながら扉が開いた。

部屋の中は意外にもシンプルだった。

机。

椅子。

ベッド。

それだけ。

そして。

窓際に白髪の少年が座っていた。

「……」

少年はゆっくりこちらを見る。

そして。

少しだけ笑った。

「久しぶりだな」

「初対面だろ」

即答した。

しかし少年は首を横に振る。

「違う」

その一言に妙な確信があった。

「俺はお前を知っている」

部屋の空気が重くなる。

「じゃあ教えろよ」

思わず言った。

「お前は誰なんだ」

少年は数秒黙った。

そして。

「俺の名前はれい

静かに名乗る。

「お前と同じ実験体だ」

その瞬間。

全員の動きが止まった。

「……は?」

聞き間違いじゃない。

実験体。

「何言って――」

「本当だ」

零は遮る。

「俺たちは普通の能力者じゃない」

男の表情が変わった。

明らかに何か知っている顔だった。

「おい」

俺は男を見る。

「どういうことだ」

しかし返事はない。

それだけで十分だった。

「……マジなのか」

嫌な予感が現実になっていく。

零は静かに話し始めた。

「十年前」

「国家能力開発計画」

その言葉を聞いた瞬間。

頭の奥がズキリと痛む。

「選ばれた子供たちが集められた」

「その中に俺たちがいた」

知らない話。

のはずなのに。

なぜか聞いたことがある気がした。

「待て」

頭痛が強くなる。

「俺はそんな――」

言いかけた瞬間。

映像が流れ込んだ。

白い部屋。

並ぶ子供たち。

冷たい機械。

泣いている誰か。

そして。

『適合率99.8%』

数字が見えた。

「っ!!」

膝が崩れる。

「おい!」

リナが支える。

「大丈夫か!?」

全然大丈夫じゃない。

呼吸が苦しい。

頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「思い出したか?」

零が言う。

「……なんで」

震える声が漏れる。

「なんで俺なんだ」

零は悲しそうに笑った。

「お前は一番成功したからだ」

沈黙。

「成功……?」

「そうだ」

零の目が揺れる。

「俺たちは能力者を作るための実験だった」

「そしてお前だけが完成した」

その言葉は重かった。

完成。

人間に向ける言葉じゃない。

「ふざけるな」

気づけば言っていた。

「俺は物じゃねぇ」

零は頷く。

「知ってる」

「だから俺は逃げた」

その言葉に全員が反応した。

「逃げた?」

「研究所から」

零は静かに言う。

「お前を連れて逃げようとした」

「……え?」

予想外だった。

「でも失敗した」

零の表情が曇る。

「記憶を消されて、お前は施設に残った」

世界が揺れる。

そんな話。

信じられるわけがない。

だけど。

頭の奥では。

なぜか納得している自分がいた。

「俺はずっと探していた」

零が立ち上がる。

「十年間ずっと」

そして。

真っ直ぐ俺を見る。

「一緒に来い」

部屋が静まり返る。

「ここにいたら、お前はまた利用される」

男の視線が鋭くなる。

警備員たちが身構える。

だが。

零は気にしない。

「選べ」

そう言った。

「国を信じるか」

「俺を信じるか」

その瞬間。

警報が鳴り響いた。

『警告』

『施設外周に大規模異常反応を確認』

『レベルA災害認定』

空気が凍る。

男が通信機を見る。

「まさか……」

顔色が変わった。

「どうした」

すると男は低い声で言った。

「最悪だ」

そして。

「“あいつら”が来た」


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