表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族に“いらない”と言われた俺、実は国家機密級の能力者だった~捨てられたはずが政府に保護され人生逆転~  作者: あぁ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/7

第6話 「監視役と訓練初日」


第6話 「監視役と訓練初日」

「よろしくね、“最重要さん”」

にやっと笑うリナを見て、俺は思いっきり顔をしかめた。

「……最悪だ」

「ひどくない?」

全然ひどくない。

むしろ正直な感想だ。

「なんでお前が監視なんだよ」

「だから上の判断だってば」

リナは肩をすくめる。

「それに、私くらいじゃないと止められないかもって話」

「止める前提なのかよ」

「当たり前でしょ」

即答だった。

「ま、いいじゃん」

リナは軽い調子で続ける。

「暴走したら殴って止めるから」

「雑すぎるだろ」

「大丈夫大丈夫、手加減はするって」

絶対信用できない。

「雑談はそこまでだ」

男の声で空気が締まる。

「これから訓練を開始する」

再び、あの広い訓練室。

昨日と同じ場所なのに、見え方が全然違う。

「本日の目的は“認識”だ」

男が言う。

「君の能力を、自覚的に扱う第一歩」

「認識……」

第3話でやった“止める”みたいなやつか。

「まずは簡単なところからいく」

男は小さな装置を取り出した。

昨日ぶっ壊したやつとは違う、シンプルな球体。

「これに触れて、意識的に力を使え」

「いや、その“意識的に”ってのが分かんねぇんだけど」

正直な疑問をぶつける。

すると――

「そこを教えるのが私の役目」

横からリナが割り込んできた。

「いい?コツはね」

リナが俺の目の前に立つ。

距離が近い。

「“なんとなく”じゃダメ」

指で軽く額をつつかれる。

「ちゃんとイメージするの」

「イメージ?」

「そ。“こうしたい”って決めるの」

リナは手をかざす。

次の瞬間――

ボッ、と小さな炎が現れた。

今度はさっきみたいな攻撃じゃない。

ただ、静かに燃えているだけ。

「これ、ただの火じゃないからね」

リナが言う。

「“出そう”って思って出してる」

炎がふっと消える。

「分かった?」

「……なんとなく」

完全には理解できてない。

でも、方向性は分かった気がする。

「じゃ、やってみて」

リナが一歩下がる。

男も何も言わず見ている。

全員の視線が集まる。

やりづらい。

めちゃくちゃやりづらい。

「……はぁ」

小さく息を吐く。

さっき言われた通り、“イメージ”する。

どうする?

何をする?

――止める?

いや、違う。

今回は“出す”だ。

手を球体にかざす。

集中する。

余計なことは考えない。

ただ――

「……動け」

小さく呟く。

カチッ。

微かな音がした。

球体の中で、光が一瞬だけ揺れる。

「お」

リナが声を上げる。

「今の、ちょっと出てたよ」

「マジか」

正直、自分でも分からなかった。

でも、確かに何かが“動いた”感覚はあった。

「いいぞ」

男が言う。

「その感覚を維持しろ」

「簡単に言うなよ……」

集中し直す。

さっきの感覚を思い出す。

――動け。

今度は、はっきりと。

球体の中の光が強くなる。

じわじわと、広がっていく。

「そのまま!」

リナの声。

だが次の瞬間――

バチッ!!

小さな火花が散った。

「うおっ!?」

思わず手を引く。

球体の光は消えた。

「……失敗か」

「いや、成功」

リナが笑う。

「今のかなりいい感じだったよ」

「マジで?」

「うん。ちゃんと“自分で出してた”」

その言葉に、少しだけ実感が湧く。

さっきの暴走とは違う。

今のは、ちゃんと自分の意思で動かした。

「いい傾向だ」

男も頷く。

「初日としては上出来だろう」

「へぇ」

リナがじっと俺を見る。

さっきまでとは違う目。

少しだけ、評価が変わった感じがした。

「思ったよりやるじゃん」

「失礼だな」

「だって昨日のアレだよ?」

言い返せない。

「でもさ」

リナが少しだけ真面目な顔になる。

「さっきの感覚、忘れないで」

「ああ」

「それがズレると――」

一瞬だけ言葉を止めて、

「また暴走するから」

背筋が冷える。

軽く言ってるけど、内容は重い。

「ま、私がいるから大丈夫だけどね」

すぐにいつもの調子に戻る。

「暴れたら止めるし」

「だからそれ怖いって」

訓練はその後も続いた。

小さな出力を繰り返す。

失敗も多いけど、少しずつ感覚は掴めてきた。

そして――

「今日はここまでだ」

男の一言で、訓練が終わる。

「……疲れた」

正直、それしか出てこない。

体じゃなくて、頭がやばい。

「おつかれ」

リナが隣に来る。

「初日にしては上出来だよ」

「そうか?」

「うん」

少しだけ笑う。

「最重要、伊達じゃないね」

その言葉に、少しだけ実感が湧いた。

俺はもう、普通じゃない。

でも――

「……悪くないかもな」

小さく呟く。

「ん?今なんか言った?」

「別に」

「気になるんだけど」

「言わねぇよ」

そんなやり取りをしながら、

俺の“新しい日常”は、少しずつ動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ