表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族に“いらない”と言われた俺、実は国家機密級の能力者だった~捨てられたはずが政府に保護され人生逆転~  作者: あぁ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/7

第3話 「暴走の兆し」

第3話 「暴走の兆し」

「――最重要対象、だと?」

思わず聞き返した。

男は小さく頷く。

「君の能力は想定を上回っている。通常の管理プロトコルでは不十分だ」

「いやいやいや、ちょっと待てって」

情報量が多すぎる。

昨日までただの高校生だった俺が、いきなり“最重要”とか言われても理解できるわけがない。

「落ち着け。順を追って説明する」

男はそう言うが、声は相変わらず淡々としていた。

落ち着いてるのはあんただけだ。

「まず前提として――」

男は砕けた装置を一瞥する。

「君の能力は“外部に影響を及ぼすタイプ”だ」

「外部って……」

「簡単に言えば、現実に干渉する」

その言葉に、息が詰まる。

現実に、干渉。

つまり――

「さっきの装置みたいに、壊したりできるってことか?」

「それだけではない」

男は首を横に振る。

「時間認識、情報取得、思考誘導。いずれも確認されている」

「……マジかよ」

頭がくらくらする。

そんなの、もはや人間じゃない。

「だが問題はそこじゃない」

男は続ける。

「君はそれを“無自覚で使っている”」

その言葉が、重く響いた。

「無意識のまま力を行使する。それは制御不能と同義だ」

「……つまり?」

嫌な予感しかしない。

「暴走のリスクがある」

やっぱり、そう来たか。

沈黙が落ちる。

部屋の空気が、さっきよりも重い。

「……もし暴走したら、どうなる」

自分でも驚くくらい冷静な声だった。

男は一瞬だけ間を置き、

「ケースによる」

そう前置きしてから、続けた。

「周囲の環境が歪む。最悪の場合、物理法則の破綻すらあり得る」

「は?」

意味が分からない。

「いやいや、それもう人間じゃねぇだろ」

「だからこそ“国家機密級”なんだ」

あっさりと言われた。

「……笑えねぇ」

小さくつぶやく。

俺はただ、普通に生きてただけだ。

なのに、いつの間にかこんなことになってる。

「自覚がない以上、いつ発現してもおかしくない」

男の言葉が続く。

「だからこそ、早急な制御訓練が必要だ」

「訓練って……具体的には?」

「まずは、自分の能力を認識することから始める」

男は装置の残骸を片付けながら言う。

「次に、発動のトリガーを特定する」

「トリガー……」

「感情、思考、状況。何が引き金になるかを調べる」

なるほど。

つまり――

「自分でコントロールできるようにしろってことか」

「その通りだ」

そのときだった。

ふと、胸の奥がざわついた。

さっきから、妙に落ち着かない。

心臓が早い。

呼吸も少し浅い。

「……おい」

嫌な予感がした。

「これって、もしかして――」

言いかけた瞬間、

視界が、歪んだ。

「……は?」

世界が、スローモーションになる。

いや、違う。

周りが遅くなっているんじゃない。

“俺が速くなっている”感覚。

男の動きが、やけにゆっくり見える。

空気の流れすら、はっきりと分かる。

「これ……」

やばい。

本能的にそう思った。

次の瞬間。

ドンッ!!

見えない何かが、弾けた。

壁が揺れる。

天井の照明が一瞬だけ明滅した。

「――止めろ!!」

男の声が響く。

だが、その声すら遅く聞こえる。

「ちょ、待て……!」

止めようとする。

だが、どうやって?

どうすればいい?

分からない。

頭の中に、ノイズが走る。

考えがまとまらない。

視界がさらに歪む。

空間が、ひしゃげるような感覚。

「やば……」

完全に、制御できてない。

そのとき。

「――意識を一点に集中しろ!」

男の声が、はっきりと届いた。

さっきまでとは違う。

強く、鋭い声。

「余計な思考を捨てろ!一つだけ考えろ!」

一つだけ――?

「“止める”ことだけを考えろ!!」

止める。

止める。

止める。

それだけを、頭の中で繰り返す。

他のことは考えない。

ただ、止める。

ピタッ。

一瞬で、すべてが止まった。

いや、違う。

元に戻った。

視界の歪みが消える。

音も、時間も、元通り。

「……はぁ……っ」

その場に崩れ落ちる。

全身から力が抜けた。

汗が一気に噴き出す。

「今の……」

自分の手を見る。

震えていた。

「初期発現にしては上出来だ」

男が近づいてくる。

表情は変わらないが、わずかに警戒しているのが分かった。

「完全な暴走には至っていない」

「……これが、俺の力かよ」

実感が、遅れて押し寄せる。

怖い。

純粋に、そう思った。

「いいか、よく聞け」

男が真剣な声で言う。

「今の状態が続けば、いずれ制御不能になる」

「……」

「だが、逆に言えば」

一拍置いて、

「制御できれば、君は“最強”になる」

その言葉に、心臓が跳ねた。

最強。

そんな言葉、今までの人生で一度も縁がなかった。

「君には、その可能性がある」

男はまっすぐ俺を見る。

「だから我々は、君を手放さない」

逃げ場はない。

でも――

それだけじゃない気がした。

「……やってやるよ」

気づけば、そう言っていた。

「どうせもう普通に戻れねぇんだろ」

男は何も言わない。

ただ、わずかに頷いた。

「だったら――」

拳を握る。

まだ震えているが、それでも。

「この力、使いこなしてやる」

男は静かに言った。

「いい判断だ」

その日。

俺は初めて、自分の“異常”と向き合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ