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剣の道~拾われた子が30年素振りを続け最強に至るまで~  作者: 涙目


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第31話 見えるもの

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

大会も終盤に差しかかっていた。


残った剣士は少ない。

会場の熱気は日ごとに増している。


それでもレンの興味は勝敗には向いていなかった。


気になるのはシオンの剣だった。


似ている。

だが違う。


その違いだけが分からない。


---


昼過ぎ。


試合の合間にレンは会場を離れた。

王都の訓練場へ向かう。

大会期間中、多くの剣士がここを利用していた。


打ち合う者。

黙々と素振りをする者。

仲間と談笑する者。

様々だった。


レンは空いている場所を見つける。


木剣を握る。


そして構えた。


---


カイルが踏み込む。


シオンの剣が動く。


あの場面を思い出す。


同じように振る。


違う。


もう一度。


違う。


さらに振る。


違う。


何度繰り返しても答えは見つからなかった。


「そうまでして気になるか。」


不意に声がした。


レンが振り返る。


そこには一人の老人が立っていた。


いつから見ていたのか分からない。


だが、老人の目はレンの木剣を見ていた。


「はい。」


レンは素直に答えた。


「何が気になる。」


「似ているんです。」


「何に。」


「師匠の剣に。」


老人は黙る。


レンも続ける。


「でも違うんです。」


「どこが。」


「分かりません。」


老人は小さく笑った。


「分からんのに考えておるのか。」


「気になるので。」


しばらく沈黙が続く。


訓練場には木剣の音が響いていた。


老人は周囲を眺める。


剣士たちを見る。


そして再びレンを見る。


「見えておるか。」


「はい。」


レンは答える。


「足も。」


「身体も。」


「剣も。」


老人は首を横に振った。


「そうか。」


それだけだった。


数歩歩き出す。


そして立ち止まる。


「見えるものだけ見ておるうちは。」


老人は振り返らない。


「分からんかもしれんな。」


そのまま人混みの中へ消えていった。


レンはしばらく動かなかった。


見えるもの。


足。

身体。

剣。


確かに見ている。


ずっと見てきた。


では、

自分は何を見ていないのか。


レンは木剣を構える。


一振り。


また一振り。


答えはまだ見つからない。


それでも、

考えることをやめなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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