表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣の道~拾われた子が30年素振りを続け最強に至るまで~  作者: 涙目


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/43

第30話 似ている剣

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

大会三日目。


朝から観客席は人で埋まっていた。

レンは昨日と同じ場所へ腰を下ろす。


隣では門下生たちが試合表を見ながら話していた。


「カイルさん、勝ち上がったな。」


「次も行けるんじゃないか?」


「いや、流石に次は厳しいだろ。」


「なんでだよ。」


「相手が悪い。」


一人が試合表を指差す。


「あー……名前なんだったかな。」


少し考えた後、思い出したように言った。


「そうだ。シオンだ。」


周囲がざわつく。


「優勝候補じゃねえか。」


「去年も強かったよな。」


「カイルさんでもきついぞ。」


レンは試合表を見る。


シオン。


初めて聞く名前だった。


---


やがて試合が始まる。


先に現れたのはカイルだった。

昨日と変わらない穏やかな表情。


続いて、もう一人の剣士が姿を現す。


観客席から歓声が上がった。


「シオン!」


「勝てよ!」


「見せてくれ!」


名前を呼ぶ声が飛ぶ。


シオンはそれに応えることもなく、静かに試合場へ立った。


礼。


構え。


開始。


カイルが先に動く。


鋭い踏み込み。

迷いのない一撃。


シオンは受ける。


打ち返す。

距離が離れる。

再びぶつかる。


レンは黙って見ていた。


歓声ではない。

勝敗でもない。


足の運び。

身体の向き。

重心。

視線。

剣先。


一つずつ追っていく。


数合目。


試合が動いた。


カイルが踏み込む。

勝負へ行った。


その瞬間だった。


シオンの剣が動く。


レンの目が止まる。


振った。


そうは見えなかった。


まるで、

そこに置いたようだった。


カイルの剣筋が逸れる。


体勢が崩れる。


そして、

次の一撃で勝負が決まった。


歓声が上がる。


観客席が揺れる。


「さすがシオン!」


「今の見たか!」


「強ぇ……。」


レンだけが黙っていた。


頭に残ったのは勝敗ではない。


あの一瞬。


剣を置いたように見えた動き。


どこかで見たことがある。


そう思った。


そして思い出す。


師匠の剣だった。


レンは小さく眉を寄せる。


似ている。


確かに似ている。


だが、

違う。


何が違うのか分からない。


その答えだけが引っかかった。


---


宿へ戻ったのは日が暮れてからだった。


夕食を終えたレンは木剣を持って外へ出る。

夜風が吹く。


レンは木剣を構えた。


シオンの動きを思い出す。


カイルが踏み込む。


シオンの剣が動く。


同じように振る。


違う。


もう一度。


違う。


さらに振る。


違う。


レンは木剣を下ろした。


似ている。


だが違う。


何が違う。


分からない。


分からないまま、空を見上げる。


月が出ていた。


しばらくして、再び木剣を構える。


分からない。


だから振る。


一振り。


また一振り。


答えは見つからない。


それでも木剣は止まらなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ