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第十一話 夏の海の風物詩

 みんなで海水浴を楽しんだ後、女の子たちは別荘の大きなお風呂に入りに行った。

 俺はその間に夕飯のBBQの支度をしている。

 今回は買い出しの時に綾瀬君が近くの観光客向けの水産市場から大量に魚介類を買い込んできてくれたのでこれを使って海鮮BBQだ。

 ウロコに頭、ハラワタを取っていない魚も多いので今のうちに処理しておく。そんなことをしているとみんなお風呂から上がって来た。


「いや~まいったまいった。日焼け止めを塗っていてもお肌がヒリヒリするヨ。」

「うぅ・・・。私もだよぉ。」


 綾瀬君と立花さんがショボくれてやって来る。確かに少しお肌が日に焼けて赤くなっている。


「まあまあ、これでもマシなほう。美里、前は皮膚が剥けて大変だった。」

「うん。それよりはマシだけど~。」

「ほら、美里ちゃん。後でローションを塗ってあげるから、しっかりとお手入れしましょう。」

「そうね。みんなで夜はお手入れね。私達もそこまで痛々しくはないけれどダメージは蓄積しているもの。」


 そう話し合いながらみんなが揃った。

 綾瀬君とカレンが俺のところにやって来て手伝いを始めてくれる。


「さあ、気を取り直して海鮮BBQだよ!」

「待ってました。ぱちぱち。」

「早く食べたいよ! いのりちゃん。」

「ほら、みんな手伝ってちょうだい。いのりと和樹が焼いてくれるから、魚を切ったり殻を剥いたりして。

 私は鮮度のいい魚を見繕ってお刺身となめろうを作るわ。」


 みんながそれぞれ役割分担をして動き始める。

 俺一人でやっていたことが何倍も速く進む。

 早速、綾瀬君が魚を焼き始めている。


「えへへ~。今日は海鮮だからイカ焼きからだよ!あとはホタテにエビも。」

「この間はお肉ばかりだったから、なんだか新鮮。」

「お姉ちゃん、食べたいなら手を動かす。このままだと殻付きのエビが焼かれてしまう。」

「う~!!生臭いお魚さんの内臓を取り出すのなんて無理~。」

「何言っているの。魚をちゃんと捌けないと食べられないわよ。」


 綾瀬君が焼いている間に茉莉ちゃん、楓ちゃんがエビの殻剥きをしている。

 カレンに教えられながら立花さんは魚を捌くのにチャレンジしている。

 多分、手つきからしてあんまり料理したことがなさそうだった。

 俺はというと焚き火用のコンロで魚を串に刺して焙っている。

 ワイワイとみんなで料理をして、ある程度出揃ったから、みんなで食べ始めることにした。

 テーブルには焼き魚やイカ、貝、エビなどのBBQと刺身の盛り合わせが並んでいる。

 どちらも高いレベルの出来栄えだ。


「一応、ルイジでも串焼きメニューがあるからね。」

「まあ、刺身位なら朝飯前ね。」


 こういった料理に慣れている二人がいてくれたおかげでかなり期待できそうだ。


「それじゃあ、いただこうか。」

「「「「「「「いただきます!!!」」」」」」


 俺たちは海鮮の味に舌鼓を打った。

 大人組はカレンの作ったなめろうをアテにビールを飲む。


「ぷっは~! 生き返る~!」

「そうね、屋外で飲むなんてそうそうないから開放感がいいわね。」

「だな。二人のおかげでおいしい夕ごはんだよ。」

「ですね! 大人組はお酒を飲むのはいいですけど飲みすぎないでくださいよ?」

「そう、食べ終わって暗くなったら砂浜で花火大会。」

「そうだよ。やっぱり海と言えばBBQに花火は鉄板だよ。」


 未成年組は早く花火をしたいらしく待ちきれないようだ。


「わかってるよ。ほどほどにするよ?」

「そうよ。明日も海に入るんですもの。二日酔いなんて嫌ね。」

「大丈夫、大丈夫。みんなが片付けている間に明日の朝ごはんの仕込みがあるんだから、酔っ払えないヨ。ほら、今日食べ終わった骨とか使わなかった部位でお出汁を取ってアクアパッツァなんかどうかな?」

「うぅ・・・。そんな魅力的なメニューを言われると次は早く眠りたくなっちゃうよ。」

「お姉ちゃん、いのりんに胃袋を掴まれてる。」

「でも、楓ちん。楓ちんも率先して骨とか集めているよ?」

「それとこれとは別。私は両方楽しみたい。」

「だね!!」


 みんなでBBQを楽しみ、明日の仕込みを始めた綾瀬君とカレンと残った俺達で火の始末と片づけをしてから再び砂浜に戻った。

 さあ、お待ちかねの花火大会だ。

 今回は俺も楽しみにしていたので、奮発して本格的な花火商店の通販で大量に花火を買い込んだ。

 それをこの別荘宛に送ってもらい、みんながお風呂に入っている間に受け取っていたのだ。

 一応、カモフラージュのためにスーパーに売っていた大袋の花火セットを持って来ていたのでみんなにまずはこれを楽しんでもらう。


「茉莉ちゃん、ロウソクを取りに行ってくるから、少しの間外すね。」

「うん、わかったよ、和にい。早く来てね。」


 俺は花火を取りに行く。

 実は打ち上げタイプの大型花火を買っていたのでみんなを驚かせようと思っているのだ。

 別荘に戻り、隠していた段ボール箱の中からそれを取り出し、みんなが集中している間に後ろにセットして火をつけていく。


 ヒュ~! バンッ!!


「あ!!」

「ひゃっ!!」


 突然の甲高い音、発射音にみんながビックリして後ろを振り返る。

 俺は空を指さして上を見るように合図する。


 パラパラパラ


 花火がさく裂して綺麗な花を夜空に咲かせる。


「わぁ!! すごい!!」

「サプライズね。」

「綺麗・・・。」

「大木さん、やりますね~。」


 驚くみんなの元に段ボールに入った本格的な花火を持って向かう。


「どうだったかな? 今回は奮発して本格的な花火を買ってみたんだ。」

「びっくりしたよ! 和にい。」

「いや~。何事かといのりちゃんびっくり。」

「ごめんごめん。どうしてもみんなを驚かせたくてね。」

「うん、驚いた。嬉しかった。」

「そうね。最高の演出ね。」

「大木さん、次コレ!! これ付けていいですか!?」

「美里、私はこれもしたい。」

「おぉ!? 蛇花火があるじゃないですカ?」

「なにそれ? 面白いの?」


 みんな段ボールの花火を物色して思い思いの花火で遊び始める。

 立花さんと楓ちゃんは設置系の花火を設置しまくり、さながら炎の壁や噴水を作って楽しんでいた。

 流石にやりすぎないように注意しないとね。

 こっちでは蛇花火に興味を持ったカレンに綾瀬君がこれを投げつけて驚かせていた。


「え? 何? っきゃああ!! 来ないで!」

「あはは! どう? 蛇さんだぞ~!!」


 蛇花火から逃げていた涙目のカレンが綾瀬君に拳骨をお見舞いしている。


 そして、俺と茉莉ちゃんは手持ち花火をしていた。


「あはは! みんな楽しんでいるね。」

「ああ、用意した甲斐があったよ。」

「昔から和にいはこういうの好きだったもんね。毎年夏のおわりに川原でみんなで花火をして、亜咲ねえを花火で驚かせて追っかけまわされてたりね。」

「そんなこともあったね。あの時は亜咲が何かの筒からロケット花火を俺に向けて迫撃砲にして撃ってきたから仕返しに蛇花火を投げ込んだんだよ。」

「ああ。その後二人ともおじさんにかなりお説教されていたね。」

「はははっ。そうだったね。」

「うん。あの頃も楽しかったけど、今もすごく楽しい。こんな日がずっと続いてくれたらな・・・。」

「ああ、俺もそう思う。そうであって欲しいよ。」


 花火が無くなるまでみんなで楽しんだ。

 本当にずっとこうしていたい。みんなに癒されて、今、現実を楽しめているんだ。

 また、来年も再来年もこうして集まって楽しみたいな。

 亜咲、俺は前を向いて楽しめるようになってきたのかな。

気に入ってくれたり、気になった方は、評価していただいたり、感想をいただけたり。ブクマしていただけると嬉しいです。

頑張れる気がします。

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