第十話 日焼け止め
BBQを楽しんだ俺たちは崖下にある砂浜に遊びに来ていた。
俺は準備があるみんなより一足先に降りて来てパラソルを立ててレジャー用のテントを広げていた。
「おまったせー!!」
綾瀬君を先頭にしてみんなが別荘に通じる階段から降りてきた。
一応海に入る前なのでみんな上にパーカーやタオルを羽織ってきている。
「おう、丁度テントとかを出し終わったところだったよ。」
「そっか、いいタイミングだったね。」
茉莉ちゃんが持ってきたバッグをテントに置いてくる。
「大木さん!もう入っちゃいますからね!!」
「ああ。きちんと日焼け止めを塗って、準備運動をしてから入ってくれよ。」
立花さんが待ちきれないといった感じで聞いてくる。
「そうね。きっちりとお肌のケアと準備運動をしてから入りましょう。
後から後悔しても遅いからね。」
「そうそう。美里、前にはハワイに家族旅行に行って来た時、焼けすぎて真っ赤になっていた。」
「うぅ・・・確かに。痛いのは勘弁かも・・・。」
「だね、わたしもお肌がシミになったら嫌かなぁ。肌が白い分、焼きすぎてシミだらけなんて珠のお肌が泣いちゃうかも。」
「美里ちゃん、日焼け止めは何個かあるから選んで使ってちょうだい。」
そう言って茉莉ちゃんは立花さんに日焼け止めが入ったポーチを渡している。
その中から一個選んで楓ちゃんに塗ってもらっている。
立花さんはデニムのボーイレッグとビキニの組み合わせだ。元気な立花さんらしいチョイスだった。
「あ、大木さん。私は今塗っちゃいましたけど、みんな塗って欲しそうにしていますよ?
ここはひとつ夏の風物詩、日焼け止め塗りをしてあげなきゃです。」
立花さんはみんなに聞こえるよう俺に耳打ちしてから走って海に行ってしまった。
みんなの方を見てみると、それぞれ日焼け止めを持って俺を見つめている。
いや、女の子同士で塗りあってくれていいんだよ?
また、立花さんの小悪魔発言で空気がおかしくなってしまった。
まいったなこりゃ。
「と、取り敢えずは順番を決めましょう。」
「そ、そうだね。じゃんけんがいいかな~」
「恨みっこなし。」
「よ~し、最初はグーではじめようよ。」
あの~、皆さん順番決めしようとしていませんか?
俺の意見は?
聞き入れられそうにない雰囲気でカレンと茉莉ちゃんに主導され順番を決めている。
結果、楓ちゃん、カレン、茉莉ちゃん、綾瀬君の順で決まって、俺がパラソルの下のレジャーシートで塗ってあげることになった。
「やった。一番。和にーちゃん水着はどう?」
楓ちゃんがパーカーを脱いで俺に水着を見せてくる。
楓ちゃんはオフショルダータイプのビキニで、先ほど見た茉莉ちゃんのフレアビキニとおそろいのガラのものだ。
身長は低いけれどメリハリのある体つきをしている楓ちゃんだからフリルがあってもいろんなところが強調されている。
「うぅ・・・。同じ柄で姉妹なのに差を感じるよぅ・・・。」
後ろで茉莉ちゃんがしょげている。
「うん、可愛らしいよ。物静かな感じだけど活動的でもある感じが楓ちゃんに似合っているよ。」
「うん、ありがとう。」
そうして楓ちゃんに日焼け止めクリームを塗っていく。
「和にーちゃん、もっと力を入れて。そう肩のあたり。うん、気持ちいい。」
あれ?なんだかマッサージになっているような。
「楓ちゃんそれはルール違反だヨ!」
「そうね。目的の行為外ね。」
「あはは。楓ちゃんあとでお話ししようか。」
「チィ・・・。ちゃっかり失敗・・・。」
そう言って楓ちゃんは美里ちゃんの所に行ってしまった。
「さ、気を取り直して次は私ね。」
カレンがやって来る。
カレンはこの間の水着と同じだと思ったが、微妙にスリットの位置やフリルがついていたりと違っている。
「おう、この間と違うビキニなんだね。柔らかいイメージも可愛いと思うよ。」
「!! え、ええ。気分転換ね。」
「あ~カレン、みんなで買いに行ったのとは違うのを温泉に着ていったの?」
「カレンさん、それはなしだよ?」
「うぅ。こういう時だけ鋭いんだから・・・。バカ・・・。」
なんだかカレンも二人に追及されてて小さくなって塗り終わったら足早に海に去っていった。
「で、次は私だね。」
サッと茉莉ちゃんがやって来た。
茉莉ちゃんは先ほどのフレアビキニにパレオといった出で立ちで、横になるときにパレオを外す。
「和にい、お願いね。」
「ああ、なんだか大人になったね。昔はスク水で日焼け跡がきっかり残っていたのにね。」
「もうっ! 和にい!!」
なんだか顔を赤くした茉莉ちゃんをほほえましく思いながら塗ってあげた。
「うん、ありがとう。和にい。」
茉莉ちゃんもみんなのところに走っていった。
そして最後の綾瀬君だ。
綾瀬君は白のホルタービキニだ。スタイルのいい綾瀬君の白い肌と相まって彫刻のような美しさだ。
「ちょっと、大木さん。ぼうっとしてどうしたの? まさかいのりちゃんのビボーに見とれていたんじゃない?」
綾瀬君が見とれていた俺の顔を覗き込んでくる。
「ああ、美術品のように美しいんで見とれていたよ。ほんと綺麗だ。」
「!!! も~! 大木さん褒めても何にも出てこないよ! ま、悪くない気分だヨ。減るものじゃないし思いっきり眺めてちょうだい!!」
「後ろ姿を堪能させてもらうよ。」
「前もいいんだヨ~?」
そんな冗談を言い合いながら塗り終わった綾瀬君もみんなのところに行ってしまった。
あれ、俺の日焼け止めって誰が塗るのかな?
背中に手が届かなくて塗り切れないんだけど・・・。
「あはは!! それっ!」
「やったなぁ! いのりちゃんスプラ~ッシュ!」
「なんの!! お返しです!」
「美里、横が甘い!」
「うぺっ! 楓ちん、やったなぁ!」
「もうっ!はしゃぎすぎよ。」
みんなで水をかけあって遊んでいるところに俺も混ぜてもらう。
「お待たせ。うわっ!」
「遅いわよ、和樹。」
カレンに不意打ちされた。
何だかんだで見守っている感じだったので、掛けてこないと思ったがいきなりやられた。
「この!」
俺もかけ返す。
「きゃっ。」
「むむっ! カレンが抜け駆けしている。みんな大木さんに総攻撃だヨ!」
「おー。」
「ちゃっかり、混ぜてもらいますね。」
「あはは!ごめんね和にい!」
何故かみんなに倍以上にされてかけ返されてびしょ濡れにされた。
「きゃ!」
「あ、いのりちゃん!! 大丈夫?」
俺が海水まみれで目を開けないときに何かが起こったらしい。
「! 綾瀬君大丈夫か?」
「和にーちゃん、見ちゃダメ!」
「そうですよ~。ポロリはお約束ですけど。大木さんには目に毒ですので、もっと水をかけちゃいます!」
どうやら水を俺に掛けている時に綾瀬君のビキニが外れてしまったらしい。
俺はどのみち目を開けられないのでラッキースケベとはいかなかったが楓ちゃん、立花さんの猛攻撃にさらされる。
茉莉ちゃんとカレンが前をガードしながら付け直すのを手伝ってあげて、その間俺は楓ちゃんと立花さんに掛け続けられてしまった。口の中、鼻の中もしょっぱいよ・・・。
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