第九話 ワイルドお掃除タイム
お盆も過ぎてしばらくして、俺たちは立花さんを伴って海に泊りがけで遊びに行くことになった。
立花さんの家が所有している別荘の一つで海辺の断崖にポツンと建っているような一軒家で、周囲からは岩や崖が隠していて見えないがプライベートビーチのようになっている砂浜があった。
早朝に出発して俺や茉莉ちゃんに綾瀬君、カレンと順番に運転を交代しながら目的の別荘に午前の早いうちに到着した。
外見は和洋折衷の小さなお屋敷といった佇まいで、古くからあるがよく手入れが行き届いている感じがする。
ただ、何年かに一度しか使われない別荘らしく、まずは掃除をする必要があるとのことだった。
「さあ、ついて早々面倒だが、今日の寝床確保のためみんなで掃除をしてから海に行こう。」
「そうだね。極端に汚いわけじゃないけど、使っていない分の埃は溜まっているから綺麗にしなきゃね。」
「いのりちゃんは、キッチン回りの確認をして食材とかを買いに行ってくるよ。」
「早いところ片付けてみんなでバカンスと洒落こみましょう。」
「美里、起きて。お掃除の時間。」
「ふにゃ? あ、もう着いたの!? って、皆さんお掃除に行くの早いですよ!!」
そうして俺たちは先ずは別荘の掃除に取り掛かった。
綾瀬君が楓ちゃんと立花さんを連れて食材の買い出しに言ってくれている間に俺たちは玄関から掃除を開始した。
「ふ~。暑いね。」
「確かにな、二人とも水を飲もう。」
「そうね。」
俺達は玄関からリビング、和室を掃除して拠点を確保し、各部屋のエアコンを作動させてエアコンが付くことを確認しながら、布団やシーツ類を窓に干していった。
これらが終わるころには汗だくだった。
ある程度エアコンが効いてきた和室で水分補給をして、これからの掃除の分担を決める。
「和にいは力仕事をして欲しいから、お風呂掃除してもらいながらその都度お手伝いしてもらう形かな?」
「そうね。私が各部屋の掃除とベッドメークしていくし、茉莉はキッチンとダイニングの掃除を頼めるかしら。」
「ああ、それじゃあ風呂とトイレ掃除をしてくるから何かあったら呼んでくれ。」
「じゃあ、休憩もしたし、私は行くわ。」
そう言ってカレンは着ていたシャツを脱ぎだす。
「ちょっ!! カレンさん!! 和にい見ちゃダメ!!」
「大丈夫よ茉莉。下に水着を着ているわ。これだけ汗だくになったんですもの。シャツが張り付いて邪魔よ。」
「~~。カレンさん・・・。むぅ。わ、私も暑いし、そうするね。和にい。」
「え?」
何故か茉莉ちゃんも来ていたシャツを脱ぎだす、どうやらカレンと同じで水着を下に着こんでいたらしい。
まあ、俺もそうだけどな。
他のみんなも多分そうだろう。やっぱり待ちきれないもんね。
カレンはこの間と同じ水着で、茉莉ちゃんはカラフルなフレアビキニだった。
ただ、下は二人ともデニムや木綿のショートパンツを穿いているのでなかなかにワイルドな魅力を醸し出している。
「・・・どう、かな。和にい。」
「茉莉ちゃんらしい明るくて優しい色合いが似合っているよ。」
「そうかな? えへへ~。うん、お掃除頑張ろう? ね、カレンさん。」
「ふふ、現金なものね。頑張りましょう茉莉。」
俺達は打ち合わせた分担の場所を掃除していく。
俺は風呂掃除なので二人とも脱いでいたし、脱衣所の掃除を終えてから着ていたシャツを脱いで海パンだけの姿になる。
二人には悪いがシャワーで汗を流しながら風呂場の掃除をする。
流石に二人の担当している場所と異なり冷房が付いていないので冷水を浴びながらではないと蒸し焼きになりそうだ。
しばらくして茉莉ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。
「か、和にぃ~!! いや~。来ないで~!!」
「今行くよ、茉莉ちゃん!!」
走って声のするキッチンへと向かうと、茉莉ちゃんが俺に抱き着いてきた。
茉莉ちゃんの汗ばんだ柔らかい肌が俺に密着する。
「か、和にい、ああ、あそこに変な虫が。ううぅ、ゴキブリみたいなやつが・・・。」
「? ああ、フナムシだね。ここは海がすぐそこだからやって来ていたんだろうね。」
よく見ると勝手口の近くにフナムシが大量に集まっていて、勝手口を開けた茉莉ちゃんがこれを見つけて叫んだようだった。
「で、いつまで和樹に抱き着いているの茉莉? たしかに今の和樹はセクシーだけどやりすぎよ。」
「!!! あ、あー!!! 和にいが裸だ! ご、ごめんなさい。和にい!」
「? ああ、気にしないでくれ、風呂掃除していたからね。それより俺はフナムシをどけてくるよ。」
「う、うん。」
顔を赤くしてモジモジしている茉莉ちゃんを様子を見に来たカレンが落ち着かせに和室に連れて行った。
「まったく。事故とは言え、大胆な行動をしたわね。」
「う~~。まさか上半身裸だなんて思いもよらなかったんだよ・・・。」
「いいわ、これは私たちの秘密にしておきましょう。」
「カレンさぁん。ありがとう~。」
「いいのよ。まぁ、私にも機会があったら助けてくれれば。」
「うん。手伝うよ!カレンさん。」
俺がフナムシを散らして戻ってこないようにスプレーを巻き終えると、落ち着いた茉莉ちゃんが戻ってきた。
「大丈夫かい?」
「うん、ありがとう。和にい。」
「じゃあ、私も戻るわね。」
カレンは掃除の続きをしに戻っていった。
俺も風呂掃除に戻ろうとすると、茉莉ちゃんが手を掴んできた。
「和にい、さっきはありがとう。和にいの海パン姿なんて久しぶりに見たけど、カッコ良かったよ。」
「そっか、ありがとう。」
それから俺たちは掃除を終えて食材を買いに行ってくる綾瀬君たちが戻ってくるまでにBBQの準備をするため庭に備え付けられていたBBQ用のレンガで作られたコンロに火を起こしていた。
火が落ち着いてきた頃合いに綾瀬君たちが戻ってきた。
「あ~!!なんだか皆さん大人ぁな、ワイルドな格好しているじゃないですか!!」
「むむっ。なんだか夏のワイルドな感じがするね。」
「単に暑かっただけだと思う。車も冷房が効いてはいたけど日光は痛いくらいに暑かったし。」
「あはは。お帰りみんな。私達も汗でぐっしょりだったんだよ。」
「そういうこと。さ、火もいい頃合いだから、お昼にしましょう。」
「綾瀬君早く調理してくれ。腹ペコだよ。」
「はいはい、ちょっと待っていてね。食材を出したら、すぐに焼けるものから焼いちゃおう。」
俺たちは綾瀬君たちが買ってきてくれた冷たいビールやジュースを飲みながらBBQを始めた。
この間、綾瀬君がサービスでもらったクーラーボックスが大活躍だった。
BBQを終えた俺たちは一休みして、今回の目的、海水浴をしにビーチに降りていくのであった。
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頑張れる気がします。




