↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/112

第七話 はじまりのきっかけ

これからに向けてのターニングポイントです。

「すまん!和樹!!代わりに行ってくれんかの?」


 皆の夏休みが始まる直前に親父さん、高賢寺 常雲が家にやって来て開口一番に俺に頭を下げてくる。


「親父さん一体どうしたんですか?」


 俺は訳を聞いてみるとこういう事らしい。

 なんでも、関西にある欧女の姉妹校に欧女と同じ管理システムを導入するのだが、そこに派遣される予定だった欧女のシステム担当者が交通事故で行けなくなった。

 しかも日程をずらすことが出来ないとのこと。

 で、この件には俺も関わっており、一番詳しいので泊りがけで行ってきて欲しいとのことだ。

 一応、理事付きの非常勤職員なる身分をもらっているので俺が行くことに問題はないが。

 女の子だけを残していくのはなんだかなぁ。


「あら、なんだか悩んでいるみたいね。

 私達のことは気にしなくてもいいわよ?子供じゃないんだから。」

「そうだよ、大木さん。いのりちゃんもカレンも成人だよ?」


 そう言ってリビングにいる俺にダイニングから二人が声を掛けてくる。

 カレンはまだしも綾瀬君が言うと、なんだか不安しかない。


「だそうじゃ。なに、何かあったらすぐに常見でも駆けつけさせる。気にせずに行ってきてもらえんか。」


 親父さんが頭を下げてくる。さすがに今回は切羽詰まっているようだ。

 こうまでされると仕方がない。


「・・・。わかりました。俺の方で対応します。」

「すまんの、和樹。」


 こうして俺はシステム導入の立ち会いを請け負った。


 ●


「じゃあ、行ってくるよ。直ぐに帰ってくるけど、みんな何かあったらすぐに連絡してくれ。」


 そう言って和にいは関西に出張へ行ってしまった。

 ご住職様にお願いされたお仕事で何日かかかるらしい。

 私達は初めて和にいがいない家で過ごすことになった。


「なんだか、大木さんがいないのって寂しいよね。」

「うん、和にーちゃんがいるのが当たり前だった。」

「そうね、和樹のいない家がこんなに大きく感じるのはどうしてかしら・・・。」

「大きすぎてなんだか怖くなっちゃうよ。」


 私達は和にいを見送った後、二階の多目的スペースのテーブルでお菓子を食べていた。

 なんだか下の階にいると和にいがいるんじゃないかって気になるのと、やっぱりいないっていう落胆を味わいたくなかったので自然とここに集まることになった。

 しかし、やっぱりみんな落ち着かない様子だ。

 この家はもともと和にいと亜咲ねえのお家で、私達は居候しているにしか過ぎない。だからか、なんだか不安が大きいんだと思う。


「あ~!!もう!辛気臭いのは無し!!」


 いのりちゃんが突然立ち上げがる。


「で、いのり。どうするっていうの?」

「そりゃあ、これはもう女子だけのお泊り会でもして気を紛らわそう!!

 そう、みんなでお菓子を作ったり、お料理したり、遊んだり、お話ししたり、お風呂に入ったり、枕投げをしたり!

 思いっきり大木さんがいるとできないようなことをしまくって楽しもう!!

 大木さんが帰って来るまで羽目を外して楽しむんだよ。家事とかは必要最低限にしてさ。

 男の子には見せられない女の子らしいことをするんだ。」

「うん、いのりん。それがいい。」

「あはは、そうだね。和にいがいない間はぐうたらさせてもらおうかな。」

「なら、決まりね。みんなしたいことはある?」


 こう決まれば後は早い、私達はああしたい、こうしたいと言って予定を決めていく。

 最初はお昼も近かったのでみんなでコンビニ弁当やカップラーメン、菓子パンとかを買ってきて好きに食べ始める。

 みんな、和にいがいる時には絶対に買ってこないものばかり選んでいた。

 私は豚骨ニンニク増量のカップラーメンとエナジードリンク。

 楓ちゃんは激辛パスタにコンビニのスパイシーチキンに2Lの炭酸飲料のペットボトル。

 いのりちゃんはミックス弁当の大盛に柿ピー。

 カレンさんはカップ酒とさきイカと塩辛に冷食のチャーハン。


「なんだか、想像以上にみんなすごいね。」

「うん、絶対和にーちゃんには見せられない。」

「だねー。これはさすがに大木さんもドン引きかも。」

「いいのよ、気にしないで。私たちの間の秘密ってことにしておけば。

 何の問題もないわ。帰ってきたときに何食わぬ顔でいつも通りにしておけばいい。」


 そういってカレンさんはカップ酒を開けて飲み始める。

 いのりちゃんも下からワインを持って来てカレンさんと飲み始める。

 私達もそれぞれの飲み物を開けて飲み始めた。

 こうして私たちはダラダラした食事会が始まった。


 次に私達はリビングに移動して映画を見ることにした。

 最近サブスクにリリースされた恋愛映画だ、ちょっと官能的な表現が多くて話題になった作品だ。


「・・・。さすがにこれを和にいの前ではみれないね・・・。」

「・・・。刺激が強すぎ・・・。」

「あはは・・・。いのりちゃん恥ずかしくて顔を覆っていたよ。」

「もう。なんだか欲求不満の人間だって言っているみたいね・・・。私達。」


 ロマンスシーンが入るたびに私たちは赤面して顔を覆ったり、背けたり、下を向いたりしていた。

 内容は確かに素晴らしかった。

 終わった後、私達はみんなしばらくお互いの顔がまともに見れなかった。全員が真っ赤な顔をしていたから。


 そうしているうちに夕ごはんの時間になった。


「きょうはデリバリーにしよう!」

「いのりん、この間のようなの以外でね。」

「うう、反省してるよ~。」

「で、何にする?」

「なんだか、今までの流れでオシャレなものってのは、ちょっと。」

「そうね。ここまで来たら、思いっきりだらけちゃいましょう。」


 で、私達はデリバリーのお弁当を頼んだ。もちろん和にいの前では絶対に食べないようなメニューばかりだ。

 スタミナ弁当に唐揚げ弁当大盛、ホルモン丼に焼肉弁当の大盛。

 なんだか男の人みたいな弁当だ。

 これをみんなでシェアして食べた。


「意外にイケるね。ホルモン弁当。」

「お姉ちゃんは食わず嫌い。」

「そんなこと言って、楓ちゃんも焼肉弁当のお肉をご飯に乗っけて食べてるじゃん。

「そういういのりは唐揚げに塩を振って、ビールを飲みながら食べているじゃない。」

「むむ、カレンだってホルモン丼に生卵入れて食べてるじゃん。」

「!! いいのよ!和樹だっていないんだし。」


 お昼の時もそうだったけど、絶対に和にいには見せられない女子会だ。

 お母さんたちがよくお父さんたちがいないときに羽目を外していたのを思い出す。

 女だってパァーってやりたい時があるものよ!なんて言っていたのが判る気がする。

 流石に好きな人の前ではこれは出来ないな。

 食事が終わるとサッとシャワーを順番に浴びてきて、お手入れもそこそこにコンビニに行ったときに買ってきたジャンクフードを多目的スペースの床に広げてみんなで寝そべっていた。

 今日はみんなでここで寝ようってなった。そこからはみんなでたくさんお話をした。

 学校のこと、友達のこと、将来のこと、趣味のこと。

 本当に楽しくお話しした。

 だけど、カレンさんが私たちの表面上の建前を取り去ってくれた。

 多分、ここにいるみんなが聞きたかったこと。和にいに対するお互いの想いを。


「最後に、女子会だものね。

 この話をしましょう。

 恋バナよ。

 そう、私達の和樹への想いについて・・・ね。

 和樹がいない今だからこそ聞かなきゃいけない、言わなければいけないお話を。」




気に入っていただいたり、気になった方は是非!

評価、ブクマをお願いします!!

感想も教えていただけると助かります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。