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第六話 打ち上げだよ!

 皆とそれぞれデートをしてからしばらく経った。

 その間に大学と専門学校の前期試験があり、茉莉ちゃん、綾瀬君、カレンの三人は問題なく終わらせることが出来たようだった。

 そして今日、綾瀬君発案の打ち上げということでみんなでちょっとした食事会を開こうとしていた。

 今回はカレンの歓迎会のような大きなものではなく各自がデリバリーでいろいろ頼んで食べようということになっている。

 俺はオーソドックスにピザを、茉莉ちゃんはパエリアを、楓ちゃんは中華オードブルを頼んでいた。

 この辺りはまあ、普通だった。だが、残る二人は違った。

 まずはカレンだ。カレンはなんとこの近くの対面式の寿司屋(それなりに高い)に大きい寿司桶で注文していた。


「あら、お金は気にしなくていいんでしょ?なら、最大限にご褒美をもらわなきゃね。」


 確かに俺は自由にしていいとは言ったが、これはデリバリーでも最高級ランクを頼みやがった・・・。


「さすがに日本のデリは違うわね。簡単なものもあるけれど、お店のクォリティーをそのまま味わえるんですもの。」


 そう言って修造さんにもらった冷酒を飲みながら我先に食べている。


 最後はこのイベントの発案者の綾瀬君だ、発案者が一番趣旨から外れているような外していないようなものを頼みやがった・・・。

 これはさすがにみんな度肝を抜かれた。俺は請求金額を見て頭を抱えた。

 肉屋でも始める気か?

 そう、綾瀬君は肉屋にA5等級のビーフや各種銘豚、地鶏などをふんだんに盛り合わせたバーべーキューセットを頼んでいる。それも人数以上の分を。


「いや~、デパ地下でさ、お肉屋さんのイベントがあって、もらったチラシにバーベキューのデリバリーがあってね~。

 ついつい、いのりちゃん食べたくなってしまいまして今回のお食事会を企画したわけであります!!」

「だからと言って、これはさすがに・・・。」


 茉莉ちゃんがドン引きしている・・・。


「余ったら冷凍すれば問題ないよ!それにおまけでレンタルのバーベキューセットを二台もプレゼントしてもらってお得でしょ?」

「・・・。いのりん。それはたぶん代金の利益があまりに出たからサービスされている。まず間違いない。」

「え・・・。じゃあ、バーベキューセットも買ったのと一緒?」

「そうね。そうとも言えるわね。で、ここまでくるとさすがにデリバリーじゃないわね。」

「あはは・・・。最初からバーベキュー会にでもしておくべきだったかな・・・。」

「だな。これはさすがに冷凍出来ないぞ?

 あと、しばらくお小遣いは大幅減額な。」

「そんな!!いのりちゃん大ピンチ!!せめて食糧費だけでも御支給くだせぇ!」

「しばらくはコンビニスイーツな。」


 人数以上分のお肉がぎっしりと詰まった大型クーラーボックスが二台もある。

 どう見てもありすぎだ。


「ここはひとつ、みんなの眠れる野生で・・・。」

「あはは・・・。私達がお肉になっちゃうよ。」

「野生より野菜が必要。」

「アメリカンなバーベキューでもここまではしないわ。普通。」


 と、散々に言われていた。

 とはいっても、頼んでしまったものは仕方がない。

 俺達は庭に手分けしてバーベキューセットの準備やテーブルの準備を始めた。


「でも、和にい。保存できない分はどうしよう。さすがにもったいないよ。」

「仕方がない。ここは知り合いを集めよう。取り合えずは常見、啓介、里奈、立花さん、百合子君かな。」

「あ、百合子ちゃんは部活の夏合宿で今いないよ。」

「じゃあ、残りのメンツに声を掛けてみよう。」


 俺達はそれぞれに連絡を取った。

 結果、常見は即答で来ると言い、啓介夫婦は仕事終わりに来ると言った。

 立花さんはなぜかご両親も連れてやって来ていた。


「いや~!さすが大木さん太っ腹ですね!ついついパパママも連れてきちゃいました!

 最後に滝川 啓介の料理が無料で出てくるなんて来ない方がおかしいですよ!」

「すまんな、大木君。私たちもつい気になってしまってね。」

「おうっ!俺も。タダ飯タダ酒、しかも山盛りの肉!そして啓介の料理付き!!」


 四人とも大量の肉と啓介のバーベキュー料理につられて直ぐにやってきた。

 まあ、これで肉は消費できるだろう。


 結果、デリバリーお食事会改めバーベキュー会が始まったのであった。

 啓介が来るまでは、俺と常見、修造さんが肉を焼き、修造さんの奥さんが野菜を用意してくれることになった。

 で、綾瀬君は罰として箸休めのスイーツを作ることになった。

 みんな思い思いに食べて、飲んで、話をして騒いでいる。


「和にい、なんだかすごく騒がしい家になっちゃたね。」

「そう。最初に来た時とは大違い。」

「ああ。でも、たまにはこういうのもいいんじゃないかな?

 みんなで楽しく過ごすなんて、今しかできないからね。

 二人とも思いっきり今を楽しんだらいいよ。」

「そうだね!」

「うん!」


 肉を焼いている茉莉ちゃんと楓ちゃんが話しかけてきてくれた。

 そうしていると常見が瓶ビールを抱えてやって来る。


「おう!和樹も飲んで楽しもうぜ!こんなにかわいい妹分を巡り合わせた俺の采配もなかなかだろ?」

「いや、お前は親父さんに泳がされただけだろ・・・。」

「そんなこたぁないね!俺の名采配があってこそだな・・・。イテテ!」

「何が名采配よ?そんなことよりジョー、あなたキチンとお肉を焼きなさい。半生か焦げたのが多いわ。」


 カレンが酔いが回ってきた常見の耳をつねって引きはがす。


「仕方がない、私が焼いてあげるわ。本場の焼き加減で食べさせてあげる。

 茉莉、楓。あっちでジョーに水でも飲ませておいて。」

「うん。」

「わかった。」


 常見は二人に連れられて行く。

 カレンは常見の代わりに肉を焼き始めた。

 確かに言うだけあって慣れた手つきだ。


「なに?どうかしたの?」

「いや、流石だなって。俺達なんかよりも全然手馴れている。」

「それは屋外パーティーってなったら鉄板だったものね。あっちじゃ焼きそばなんてないから、作ってあげるとみんな珍しがって食べていたわよ。」


 そうて俺たちは瓶ビール片手に肉を焼く。

 隣では修造さんと立花さんが肉を焼いていた。


「パパ!もっと焼いてよ!パパとバーベキューなんて私初めてだよ!」

「そうかそうか。パパ頑張って焼いちゃうぞー!」


 修造さんは喜ぶ立花さんがいるので、上機嫌で肉を焼きまくっている。

 まあ、普段は忙しくて休日がなかなか合わないって言っていたもんね。

 いい家族サービスが出来ているようでよかった。


 そうして、みんながお腹がいっぱいになってきた頃合いに、綾瀬君が箸休めのスイーツを持ってきた。


「じゃーん!いのりちゃん特製のレモンシャーベットだよ!」

「わぁ!いのりちゃんすごい!おいしそう!!」

「いのりん、確か冷蔵庫にはレモンなんてなかったのに、どうやって。」

「それはねー。お肉にの付け合わせに付いていたのを使ったんだよ。しかも、このレモン国産の瀬戸内レモン!やっぱ、お値段相応のものが入っているね!」

「そうかもしれないが、今度はほどほどに、な?」

「反省してます・・・。」

「そんなことより、早く食べましょう。溶けてしまうわ。」


 みんなで食べてみるとやっぱり美味しかった。

 更に食べれるようになるぞ。

 流石、綾瀬君だ。ちょっぴりお小遣いの減額を減らしてあげよう。

 楽しい時間が過ぎていき、最後に店を閉めた啓介夫婦がやってきた。


「よう!お招きありがとうな!」

「まったく、いのりがすまないことをしたね。」

「うぅ・・・。里奈さんまで・・・。反省してます・・・。」


 啓介がやって来て、今まで満腹で箸が進みづらくなっていたみんなの目の色が変わった。

 そう、本命のメインディッシュだ。稀代の料理人の作る料理を待つ、飢えた獣の目だ。

 そろそろみんな野性的な肉の味に飽きてきていたので、文明的な味のついた肉が恋しくなってきたのだ。


「あの・・・。みんな。そんな目で見ないでくれないかな・・・。」


 こうして楽しい夜は過ぎていくのであった。








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