俺氏、出会う。
俺は高賢寺 常見。
一応、いくつもの夜の社交場いわゆるキャバクラを経営している実業家だ。
新規事業を立ち上げようとして俺の親友の大木 和樹から新たに女性客を取り込んではと助言を受けて事務所でいろいろ考えていた。
「最近はフィットネスが流行かー。確かに街中で見るもんな。女性専用のクラブとか。」
俺は和樹が参考に持ってきたパンフレットなどを机で眺めながら天井を見上げる。
いろいろあってこの業界で仕事を初めて何年もたつ、親友たちや父親、出会ったキャスト達の助けもあり、業界でも成功している部類だろう。
福利厚生も他よりしっかりしているし、そのおかげで質の良いサービスを生み出す好循環を生み出していると思う。
しかし、現在は男向けの事業だ。こんな水物の商売はいつ流れてもおかしくない。
だからこそ安定した事業、それも女性向けの物を手掛けたいと思う。
そう相談したら最近の流行にこういったことがあると言って和樹が持ってきたのだった。
「確かに、女性は美と健康を意識した方向性が一番安牌だけどなぁ~。」
――そう、インパクトが足りない。
他と同じようなことをしたところで意味がない。
面白くない事業なんて、すぐに潰れる。
そう思って、TVを付ける。
そこに映っていたあるものに目が奪われる。
「!? これだ!!」
俺は一目見た瞬間にこれだと直感した。
直ぐに家に帰って荷物をまとめ、チケットを取って空港に向かう。
その間に父親に電話する。
「どうした?常見。」
「親父!!知り合いにアメリカ人いたよな?確か・・・ベガスの寺の!!」
「ああ、それがどうした?」
「紹介してほしい、今すぐ!今からそっちに飛ぶ!」
そう言って無茶なお願いを親父にしたが、何とか都合してもらい住処を確保する。
俺は、アメリカ、ラスベガスへと旅立った。
とまあ、カッコつけて回想してみたけど、今や泊めてもらっている親父の知り合いの寺の読経係だ。
ギャンブルが楽しくて、早々に帰りのチケットを残して有り金をはたいちゃったのよ。
つい楽しくて、目的を果たす前に・・・。
和樹や里奈が居たらマジで半殺しだ・・・。亜咲が生きていたら多分灼熱と極寒の砂漠に生き埋めされて置いて行かれるだろう・・・。
なので、寺に来る人に本場の読経を聞かせてくれたらリベートをやるって親父の知り合いの泊めてくれているアメリカ人住職に言われて、今日も一日読経三昧だ。
読経の合間に事務員の明美ちゃんに怒られながら、仕事の指示を出している。
金がないので目的を果たすまで日本に帰らないと決めている。
なにやら、和樹の所が面白いことになっているようだが今はそれどころではない。
それも今日で終わる。
漸く目的の場所に何回か行ける金額が溜まったのだ!!
夜になり目的の場所に行く。
そう、ここは本場のポールダンスを見せてくれる健全なシアターだ。
俺は英語が和樹や啓介みたいにしゃべれない!!
しかも、チキンなんでピンクなお店に入る勇気がない!!
だから、そういったお店は持っていない!
TVで最近人気だってやっていて、これだと思い本場のアメリカ、それもショウビズの本場で伝手もあったベガスにした。
観光客で賑わう店内に入り安いビールを一杯ひっかけながら妖艶な踊りに目を凝らす。
やっぱ間違ってねえ!!
これを店として出して、フィットネスとショウビズを両立させたらいいんだ。
午前は女性向けのフィットネスクラブ、夜はポールダンスのショーを見せる洒落た飲み屋。
勝負してみたい!!
そんなことを思いながら、ショーを見ているとクライマックスを飾るのは日系ハーフで有名な賞を取った女性だということが何とか聞き取れた。
彼女を見て俺はさらに確信した。
これは当たる!
そして興奮冷めやらぬ俺は、彼女にショー終わりの彼女に詰め寄る!
「日本語判る?」
「!? わかるけど何?チップはあっちのボックスに入れてください。」
「いや、俺は日本で事業をしてるモンだが、日本で君のポールダンスを見せたくないか?」
「・・・嫌よ。私ここにいるのも嫌。怪我がなければNYのシアターだって目指せたのに・・・。」
何やら事情があるようで冷たくあしらわれる。
だが、脈はありそうだ必死に話し掛ける。
「俺はポールダンスの店を日本で出したい!いや、必ず出す!!
君にその手伝いをして欲しい!金ならいくらでも出す!何か望みがあるなら出来る限り叶える!」
「・・・ホント?」
「ああ、詳しく話したらな。」
「なら、一時間後にこの裏のバーで会いましょ。待ってて。これ以上話すと店の人に怪しまれるから。」
彼女はバックステージに戻っていった。
俺は興奮冷めやらぬ中、ぬるくなったビールを飲み干してバーに移動する。
しばらくして仕事上がりの彼女が現れた。
Tシャツにジーパンとラフな格好だ。
俺の隣に座り瓶ビールを頼む。
「で、ホントなの?」
「ああ、俺は今日本で男向けの社交場ビジネスをやっている。最近女性向けの事業を立ち上げたいと思っていてなポールダンスを見た時にピンときた。これを教える教室とシアターを併せた商売をしたいって。」
「これにそんな価値があるの?」
「ああ、有る。絶対に。」
「あのね、私はケガで一線を目指すことが出来なくなってここにいる。ママにも最後まで脱ぐなって言われてるの。」
「ああ、構わない。俺が開きたいのはあくまで女性向けの店だ。野郎なんて関係ない。」
「なら、乗ってあげる。どうせココの仕事もいい加減、限界だったから。」
「マジで?」
「ええ、でも条件が合わなかったらこの話は無しね。」
「問題ない。ある程度のことは叶えられると思う。」
俺は内心冷や汗をかきながらそう答える。
いざとなったら親父の伝手と和樹の財力、啓介の料理で乗り切ろう。
「まず住むところは最低でもセレブ並みかそれに準ずる所。
給料は前払いで一年契約。契約金も払って。
もちろん日本までの旅費もね。飛行機はビジネスクラス以上。エコノミーならこの話は無し。
お店の内装からキャストまですべてに私を嚙ませること。最終決定権はあなたにあるけれどもそれまではすべて私が決める。売上に応じてリベートをもらうわ。
あと、私の怪我を見てくれる病院を紹介して、日本国籍も持っているから保険が使えるし、いい医者の所でケガが治るなら治療したいわ。完治したら、その年で更新は終わり。
それでいい?」
OH‼
この人なんかすごいこと言ってマス。
ワタシ、ニホンゴワカリマセーン。
そんな気分の俺は頭の中で考える。
①住むところ→和樹の家は豪邸だ。最近住む人間が増えたらしいが一人くらい何とかなるだろ!? ハーレム野郎なんて爆発してしまえ!!
②契約金、給料→俺の貯えから出せる範囲で頑張ろう!! しばらくキャベツが主食だ!
③俺の帰りのビジネス席を与えて、俺は後から格安航空の立ち乗り席で頑張ろう!! 負けるな俺!
④和樹にバランスを取ってもらえばいい!! 俺はノータッチ!
⑤売り上げは明美ちゃんに頭を下げて怒られよう! 俺の頭は直ぐに曲がる!!
⑥病院なら欧女の附属病院に腕の良い先生がいるって親父が言っていた。 親父に色香があることを匂わせて巻き込もう!
良し!!問題なんて一つもない!!
頑張るのは親父と明美ちゃんと和樹だ!!
懐が痛いのが俺なんだから、噛んでいる皆で苦労を分かち合っても問題ないよね!?
そうして俺は彼女と日本に帰ることになった。
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第三章で彼女はどう振舞っていくのでしょう?




