第十二話 それぞれとお話
第二章完結です。
茉莉ちゃんと楓ちゃんとお風呂に入った後は、みんなで食堂で朝ご飯を食べていた。
「みんな楽しんでくれたみたいでよかったよ!パパも後で感想聞かせてって言っていたから、また教えてね!」
立花さんが皆にそう言ってくる。
「ああ、そこはちゃんとさせてもらうよ。」
「美里ちゃん、本当に楽しかったよ。役に立つ感想かはわからないけどしっかりとしたものを考えるね。」
「大丈夫。美里のパパはそんなこと聞いてこない。本当に楽しめたかを聞きたいんだと思う。」
「いやー。わたしはインテリアとかはわかんないけど、食事の感想ならいっぱいあるよ!」
そう言って俺たちは立花さんと、立花さんのお父さんの修造さんへのに感想と感謝の気持ちを伝えていた。
「そういえば、皆さん夜も朝も大木さんとそれぞれお楽しみだったけど、その感想が抜けてないかな~?」
おい、この元気っ娘め・・・。何たる爆弾を。
そう、俺は昨夜に綾瀬君と、今朝に茉莉ちゃんと楓ちゃんとお風呂に入っていた。
俺は何もなかった風にしていたが、茉莉ちゃんは顔を真っ赤にして俯き、楓ちゃんはムゥっと立花さんを睨み、綾瀬さんは食後に飲んでいたお茶にむせていた。
「あはは!乙女の恥じらいってやつですねー。いいですよ。みんなの態度が言葉以上に語ってますから!
ね!大木さん。」
そう言ってにこやかに俺に話を振るな。
「みんなってことは茉莉ちゃん達も?」
「いのりちゃんはいつの間に?」
「みんな考えることは一緒みたい。美里。後でお仕置き。」
「えー!?楓ちんは楽しくなかったの?」
「う・・・。楽しかった。それとこれとは別。」
「こへんなしゃ~い」
立花さんは楓ちゃんにほっぺたを引っ張られて涙目になっていた。
少し強めのお灸は必要だよね。うん。
そんなやり取りを終えて、チェックアウトの時間になったので観光に向けて出発する。
今日は帰路にある温泉街でショッピングと近くの名勝地の滝や神社に行く予定だ。
なんだか、朝の立花さんの発言のお陰で車の中の雰囲気がおかしい。
立花さん以外、俺の目を見ると逸らしたり、話をスッと切り上げてくる。
何もなかったにせよ男と一緒に入浴していたなんてばらされたら、そうなるよね。
ほんと立花さんはいい心臓をお持ちのようだ。
そうしているうちに温泉街に到着してお土産を物色することにした。
「はいはーい!まず最初にみんなでお買い物じゃなくて、それぞれ好きなものを見て回らない?
そのあとご飯にして、みんなでお買い物にしよ!!」
立花さんが開口一番提案する。
「うん、私も少し一人でお土産を探したいかな。」
「わたしも食べ歩きをしたいよ。」
「私は美里にお話があるから、美里と一緒。」
集合場所と時間を決めて一度解散する。
「あ、大木さんは私たちと一緒に回りましょう。いいよね楓ちゃん?」
「・・・。問題、ない。」
ちょっと顔を赤くしてムスッと立花君に返事しながら楓ちゃんは立花さんとこちらにやってきた。
それから、立花さん主導でお土産屋さんを物色する。
途中で立花さんが楓ちゃんと二人で話したいと言って、話をした後どこかへ行ってしまった。
「あれ、立花さん、どこか行っちゃったけど、どうしたの?」
「美里、朝のことを反省してお詫びにみんなと和にーちゃんの時間を作ってくれるって。」
「そっか、それで個別行動か・・・。」
「うん。あれでもちゃんと反省する子だから。さっきもちゃんと調子に乗りすぎたって謝ってきた。
今頃お姉ちゃんやいのりんの所に行って謝っていると思う。」
「だね、調子に乗りすぎるのが玉に瑕だけど、気が回るいい子だね。」
「いつも助けられる。けど、トラブルもついてくることがある。」
「はは、でも楓ちゃんも楽しんでるでしょ?」
「美里といると飽きることがない。」
「そっか。」
そんなことを言いながら俺たちはふと立ち止まったストーンショップに入った。
楓ちゃんはその店で紫水晶の原石を気に入ったのか、ずっと眺めている。
「気に入ったのかい?」
「うん。色が綺麗。グラデーションが。」
「だね。」
透明な先端から徐々に紫が濃くなってきて綺麗なグラデーションを織りなしている。
なんでも店の人曰く、地元の山で見つかった石類を扱っているけど、なかなかこのようなものは産出されないらしい。
確かに値段は気軽にお土産にはできない値段だった。普通は。
「いいよ。記念に買ってあげるよ。」
「いいの?」
「言いも何も、折角の旅行なんだ、気に入ったものを買っても問題ないよ。」
俺は店の人に告げて、箱に詰めてもらい楓ちゃんに渡す。
楓ちゃんは大事そうに胸に抱えてくれる。
「ありがとう、和にーちゃん。大事にする。久しぶりに和にーちゃんからプレゼントをもらえた。」
「どうぞ。大事にしてね。」
嬉しそうにしている楓ちゃんと店を出て歩いていると、綾瀬君がいた。
どうやら両手にいろんな出店の食べ物を持って食べ歩いているらしい。
「あ、いのりん。和にーちゃん、ほら行って。次はいのりんと一緒にいてあげて。」
「ああ、ちょっと行ってくるよ。」
俺は楓ちゃんと別れ綾瀬君のもとに向かう。
「よう、たくさん食べてるな。」
「あ、大木さん。おいしい温泉の食べ物をいっぱい食べてるよ。
はい、これ。」
綾瀬君は俺に気が付いて、手に持っていた五平餅を一つ渡してくれる。
「いいのかい?」
「うん、美里ちゃんが来て、後で大木さんが来るって行って謝ってきたから美里ちゃんと大木さんにもって買っておいたんだ。」
「そうだったのか。」
「そう、美里ちゃん反省していたからね。まあ、年頃の女の子の複雑な乙女心なんですヨ。
特にわたし達一緒に住んでいるからねー。外の女の子から見たら興味そそると思うヨ?
わたしも美里ちゃんの立場だったら聞いてると思うもん。」
「だろうね。」
「うわ。この人ナチュラルにひどい・・・。いのりちゃん大ショック・・・。」
綾瀬君はそう言って泣き真似をする。
「冗談はほどほどにな?」
「わかってるって。こう見えて大人の女だゾ?」
しばらく二人で様々な食べ物をシェアしながら食べ歩いた。
足湯に浸かっている茉莉ちゃんが遠目に見えたので綾瀬君が背中を叩いてくる。
「さ、最後は茉莉ちゃんだよ。行っておいで!大木さん!」
「ああ。」
綾瀬君に送り出され、茉莉ちゃんの所に行く。
「やあ、茉莉ちゃん。」
「あ・・・。和にい。」
俺も靴を脱いで、茉莉ちゃんの隣で足湯に入る。
なにやら買い物を終えた後だったのかいくつか袋を持っていた。
「あのね、今日のこと・・・。美里ちゃん、反省しているから悪く思わないでね。
美里ちゃん、ご両親が忙しくってあんまり構ってもらえないときが多かったから敢えてイタズラすることが多いんだよ。」
「そうなのか、修造さん達もああして時間を取ってくれているけど、やっぱり忙しんだね。」
「うん、いつも連休になったらお家に遊びに来ていたから。」
そっか、淋しさの裏返しか・・・。
確かに悪いことしたな・・・。ある意味で立花君はボッチだったからな。
「それぞれままならないね。」
「うん。でも、おかげで和にいと楽しい時間が過ごせたから。何だかんだで美里ちゃんに感謝しなきゃね。あの子はそういうことも考えて動いている子だから、今のことだって朝から織り込み済みだったんだと思う。」
「だな、みんなに話を聞いていると、俺もそう思う。」
「でね、私から和にいにプレゼント。」
茉莉ちゃんは俺に綺麗な紙袋に入っていた、ハンカチを渡してくる。
「この連休のお礼にって思って、地元の伝統工芸で作られているんだって。」
「別にいいのに・・・。」
「いいの。私が送りたいと思ったから。」
「うん、じゃあありがたく使わせてもらうよ。」
俺は茉莉ちゃんからハンカチと紙袋を受け取る。
それからは他愛ない話をしながら時間まで足湯に浸かったいた。
みんなで集合して、それぞれが立花さんにプレゼントを渡していた。
何だかんだでみんな気にしていたようだ。
立花さんは涙目になって受け取っていた。
それから昼ごはんを食べて、名勝地や神社を回ってみんなで記念写真を撮って夜遅くに帰宅した。
みんな疲れて帰りは眠っていた。俺も眠たかったが、みんなを寝かせてあげたかったので安全運転でゆっくりと帰り道を走った。
立花さんのお陰で今日は大変だったけど、すごく楽しかった旅行だった。
みんなといるとすごく楽しいよ。亜咲。
これから幕間を挟んで、第三章が始まります。
次に転がり込んでくる子はどんな子でしょう。
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