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第六話 立花さん、来たる。

次回から旅行編です。

 今日は、高校が午前で終わるらしく立花さんを家に連れてくるって楓ちゃんが言っていた。

 茉莉ちゃんは夕方まで講義と教習所が、綾瀬くんもお役所などに学校帰りに寄ってくるから遅くなるので、俺一人で待っている。

 楓ちゃんからは、お昼ごはんに俺のカルボナーラが食べたいから立花さんの分も作っておいてほしいとリクエストされている。

 そんな訳で、俺はキッチンで料理をしている。

 最近は綾瀬くんと茉莉ちゃんが専らの料理役なので、一人でいた時と違い様々な調理器具がある。

 流石、調理師学校の学生の綾瀬君だけあって、使い方がわからないものもチラホラあったりする。


 ある程度の準備を終えて、後は帰って来るのを待つばかりとなったのでリビングでゴールデンウィークの予定を考える。

 あの後、明美ちゃんを経由してイチゴ狩りの予約を取ってもらえた。

 あとは前後の予定をどうするかを決めなければならない。

 予約が今の時期では難しいかもしれないけど近くの温泉が取れないかもしれないが、一応タブレットで調べている。


「やっぱり、今の時期からだと難しいよね・・・。」


 そう言っていると楓ちゃんが立花さんを連れて帰って来た。

 俺はテーブルにタブレットを置いて二人を出迎えに玄関に行く。


「おかえり、楓ちゃん。立花さんもいらっしゃい。どうぞ、上がって。」

「ただいま。和にーちゃん。お腹すいた。」

「お邪魔します。大木さん。」


 二人をリビングに案内して俺はキッチンに向かう。


「あと10分位で出来るから待ってて。」


 俺は準備していたカルボナーラを仕上げていった。


「二人とも、こっちに来てくれるかな。お昼にしよう。」


 リビングで話をしていた二人に声を掛けてテーブルに配膳する。


「わぁ。凄いです。プロの人みたい。さすが滝川さんのお店に出資されているだけあります。」

「美里、和にーちゃんのカルボナーラはプロ顔負けに美味しい。」

「そんなことはないよ。食器類は綾瀬君が揃えてくれたものだからセンスがいいだけだし。

 使っているものも味付けも普通だと思う。だから、過度の期待はしないでくれ。」

「じゃあ期待しないで美味しくいただきますね。」


 そう言って、みんなで食べ始める。


「やっぱり和にーちゃんのカルボナーラは最高。」

「ほんとだね。楓ちん。やっぱり美味しかったじゃないですか。大木さん。

 期待しなくてよかったです。期待していたら期待値がリストランテ ルイジ並みになっちゃいますから。」

「はは、そうでしょ。俺の料理は家庭料理としておいしければいいんだよ。」

「それでも、この味は反則。」

「たしかにルイジで出ていてもばれそうにないです。」


 そんな話をして、食後のコーヒーを飲んでいる。

 俺はブラックで、2人はアイスカフェオレにしている。


「そういえばリビングに置いてあったタブレットに旅行サイトが映ってたけど、楓ちん達は次の連休にどこか遊びに行くの?」

「うん、イチゴ狩りに行く。」

「そうなんだ。私は表示されていたエリアだと、ショッピングとか散策かなって思ってた。」

「ああ、もちろんそのつもりだよ。

 まぁ、今の時期からだと、やっぱり泊まりは厳しいかなぁって打ちひしがれていたんだ。」

「和にーちゃん、仕方がない。急な話だったから。」

「へー。そうだったんだ。さて楓ちん、私のお家のお仕事はなんでしょう?」


 そう言って、ニヤニヤした立花さんが楓ちゃんに聞いている。


「立花興産。レジャー開発と土地開発の会社。」


 立花興産はこの辺りではかなり大きな会社だ。

 温泉施設にゴルフ場などのレジャー施設の開発に、住宅や商業施設、ビルの開発を手掛けている。

 そうか、立花さんはそこのお嬢さんで、この間会ったお父さん、修造さんが社長さんだったのかな?


「でしょ?

 でね、今年リニューアルした旅館があるんだけど、価格設定が高すぎて予約サイトに載せていない部屋があるんだってパパが言っていたの。よかったら、今、聞いてみましょうか?」

「ありがたいけど、さすがに今すぐはお父さんにご迷惑じゃない?」

「大丈夫です。パパは私にはいつでも掛けておいでって言ってくれていますから。

 それでなんですけど、代わりにお願いがあるんですけど・・・。」

「なんだい?」

「私もご一緒させてもらえませんか?

 連休は会社がフル稼働しているので両親は忙しいんです。だから私、連休中に旅行って、ほとんどしたことがないんです。」

「和にーちゃん、私からもお願い。いつも美里は独りぼっち。」

「わかったよ。ただし、修造さんが良いって言ってくれたらだよ?」

「わかりました。ちょっと待っていてください。聞いてみます。」


 立花さんは席を外して電話している。

 しばらくしてから満面の笑みでこちらに戻ってくる。


「大木さん、予約も私がご一緒させてもらうのもオッケーです。それで、父が話をしたいと。」

「ああ、代わるよ。」


 俺は立花さんからスマホを借りて電話に出る。


「もしもし、大木です。この度はすっかりお世話になってしまい、ありがとうございます。」

「いえいえ、こちらこそ申し訳ありません。娘の我儘を聞いていただき。

 仕事柄、連休に遊びに連れていってやれたことがそんなになくて。できれば皆さんでよくしてやってください。」


 その後、料金をどうするかという話になって、修造さんは無料でいいと言い張ったが、立花さん以外の料金を支払うことで合意した。もちろん友達価格で破格のディスカウントされた値段だったが。

 通話が終わり、スマホを立花さんに返す。


「ありがとうございます。大木さん。私すっごく楽しみです。

 楓ちん、茉莉様、いのりさんとお泊まりだなんて、私お友達だけと旅行に行くなんて初めてで、ワクワクが止まらないです。

 楓ちん!楽しみだよー!早く休みにならないかなぁ!」


 隣の楓ちゃんに抱きついて戯れている。


「私も。美里と行けて嬉しい。でも、遊びに行くなら今日もらってきた連休中の課題を早く終わらせないと。」

「うぐっ・・・。それは・・・。」

「美里、いつもギリギリまでほったらかしているから。今から始めないと楽しめない。最悪、車のテーブルで課題漬け。」

「それは、さすがに思い出としてはいらないかなぁ・・・。」


 二人はそんなことを話しながら二階に上がっていき、課題を始めたようだ。

 夕方になって茉莉ちゃん、綾瀬君が帰ってきて、そのことを話すと二人とも喜んですぐに二階に上がっていった。

 それから夕暮れ時くらいまで四人で旅行のお話をしていたようだった。

 そろそろ夕ご飯の時間ということで立花さんも帰宅し、茉莉ちゃんと、綾瀬君が急ぎでごはんを用意してくれた。

 もちろんその日の会話のメインはやっぱり旅行の話だった。女の子たちで旅行に着ていく服や必要なものを今週末にでも買いに行こうっていうことになったらしい。

 女の子はこういったイベントには目がない。みんな思い思いのお店に行こうよと相談しあっている。

 せっかくなのでお小遣いを増額しておいてあげよう。

 連休が楽しみだ。








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