↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/112

第五話 茉莉ちゃんの友達

 俺が茉莉ちゃんを大学のエントランスの車止めで降ろしていると何やら叫んでこちらに向かってくる女の子がいた。

 ショートボブにした気の強そうな女の子だ。


「茉莉!!大丈夫!そいつに変なことされなかった!?警察呼ぶ!?」

「あ、百合子ちゃん。大丈夫だよ。」

「大丈夫じゃないよ!!目元のメイクは崩れてるし、こんな派手な車に乗っている男なんて碌な奴がいないよ!!」


 結構、酷い言われようだな、おい。


「ここは大学だから大丈夫だよ!呼べば警備員さんもすぐ来てくれるんだから。何があったのか話して?」


 そんなことを言っている君のせいで俺たちは注目の的だ・・・。


「あのね、百合子ちゃん。何にもないの。むしろ、私が勝手に感極まって泣いちゃっただけだから。この人は何も悪くないよ。」

「でも、茉莉ちゃんの家だと、こんなすごい高級車に乗るなんてないから、本当?」

「うん、和にいは私の保護者だよ。ちょっとお金持ちなだけで、行く先のない私達を引き取ってくれたの。

 それに、常任理事の高健寺のご住職様のお知り合いで、この学院の関係者だから。」


 そう言って俺は何事かと駆けつけてきた警備員と、百合子と呼ばれる女の子に見えるように関係者パスを見せる。


「あ・・・。もしかして。前に話していたお隣だったお兄さん?」

「うん。」

「もしかしなくても、私の早とちり?」

「うん・・・。」

「・・・・・・。」


 注目している皆が静まる・・・。


「っスイマセンっしたぁぁーーー!!!」


 大声で90度以上に腰を折って謝罪する百合子君。

 警備員の人たちも、俺の顔を知っていたようで安心して去っていく。

 周りの人たちもそれぞればらけていく。


「とりあえず和にい、こっちは何とかしておくし、私もお化粧を直したいから。講義が終わったら連絡するね。」

「ああ、待ってるよ。」


 そう言って、茉莉ちゃんは百合子君を連れて構内に入っていった。

 俺も関係者駐車場に車を停めて、図書館に向かう。

 ただでさえここは女子大なんで恥ずかしいのに、先ほどの羞恥プレイだ。

 周囲の目が痛いように刺さってくる。

 覚えてろよ・・・!


 図書館での読書をしていたら、時間が来て茉莉ちゃんがメッセージを送ってきてくれる。


『ごめんね。和にい』

『今終わったよ』

『図書館の近くのカフェテリアで待ってて』

『百合子ちゃんも連れていくね』


『わかった。席を取って待ってる。』


 返事をして、カフェテリアに向かい、三人分の席を取っておく。


「和にい!!おまたせ!」

「ああ、そんなに待っていないよ。」


 そう言って、茉莉ちゃんたちはやってくる。

 朝の騒動を起こした張本人、百合子君はうなだれている。


「本当にスイマセン。早合点したばかりに・・・。」

「いや、気にしないで。確かにそう取られても仕方がなかったよ。」

「でも、勝手に決めつけた私が悪いのは間違いないです。」


 ちゃんと反省しているようだ。さっき思っていたことは水に流そう。


「立ったままじゃ、何だし。座ってごはんにしよう。」


 そう言ってそれぞれがランチを取ってくる。

 ランチを食べた後、茉莉ちゃんがこの百合子君のことを紹介してくれる。


「この子は、山本 百合子ちゃん。私と同じ奨学生で、高等部からのお友達なの。」

「山本 百合子と言います。今朝は大変なご迷惑をお掛けいたしました・・・。」

「大木 和樹といいます。一応、茉莉ちゃんの保護者をしています。

 この学院では理事の一人の紹介でいろいろと運営のお手伝いをさせてもらっています。」


 確かに、良く考えると家では茉莉ちゃんが俺の保護者だよな・・・。


「あのね、和にい。百合子ちゃんは私と同じでお家がそんなに裕福じゃなくて・・・。

 昔悪い人に騙されて、お家が没落しちゃったんだって。」

「そうだったのか。なら仕方がないよね。あんまり常識的な考えだと若い男の高級外車から泣きはらした女の子が降りてきたら、そう考えるよね。」

「はい・・・。てっきり、茉莉がそうされてしまったって思って、つい・・・。」


 茉莉ちゃんは、その話をしていると、両手を頬にあて顔を真っ赤にしてウジウジしている。

 一体何を考えているんだ?


 そんなこんなで、この件は終わりにして、あとは茉莉ちゃんたちの学校生活の話を聞いていた。

 高校に入った当初は、茉莉ちゃんのことを目の敵にして、誤解が解けてからは仲良くなったって。

 今もちっとも進歩していないじゃないか。

 性格は悪くないようだけど、直情径行が強い子なんだな。

 でも、それが長所でもあって、裏表のない、いい子だということが伝わってきた。


「あ・・・。もうこんな時間か。スイマセン。私お昼の講義があるんで!

 失礼します!!

 茉莉、またメッセ入れるね!」

「うん、百合子ちゃん。またね。」


 そう言って、百合子君は去っていった。


「いいお友達だね。」

「うん、私のことも自分のように考えてくれる、いい子だよ。」

「ほんと騒がしいけどね。」

「あはは!だね。でもそれがかわいいんだよ?」


 そう言って俺たちもカフェテリアを後にして車に向かう。

 車に乗り込んで、茉莉ちゃんはこの車について聞いてきた。


「あのね、和にい。この車がお家にある車の中で一番高いって本当?」

「ああ、一番高いね。頭一つ飛び出ているよ?」

「どれくらい?」

「建売住宅一軒分?」

「・・・・・・。」


 茉莉ちゃんはフリーズして、体をカチコチにして汚さないように足を上げ始めた。


「ははっ!大丈夫だって。確かに一番お金がかかっているけど俺から見たらそんなに高級品じゃないからどーんと構えていればいいよ。」

「そう思うのは和にいだけだよ!!」


 よかった、緊張が解れて、プイっと顔をそむける茉莉ちゃん。

 そのしぐさが可愛らしいと思った。


「ごめんごめん。冗談。」

「もう!!」

「亜咲もね、これの価格には驚いていたよ。まあ、お金は腐るほどあったから何も言わなかったけど。

 でも、思うところがあったのかもっぱら赤い車に乗っていたよ?」

「そうなんだ。亜咲ねえが・・・。」

「何なら、教習所に通って免許を取ってみたら?」

「え?」

「だって、ここの大学は良家子女のお嬢さんがいっぱい通っているんだ。うちにある車のメーカーなんてざらだよ。だったら、亜咲の乗っていた赤い車に乗ってみるかい?

 亜咲だって、茉莉ちゃんの役に立つなら喜んでくれるよ?」

「亜咲ねえの車を私が・・・。うん、私運転してみたい!!」

「なら、決まりだね。いまから近所の教習所に申し込みに行こう。」


 そう言って俺たちは教習所に申し込みに行き、茉莉ちゃんは通うこととなった。

 費用で揉めたけど、必要経費だということとMTのこのセダンを運転するかもということで迷惑を掛けるかもってことで治めてもらった。








もう少ししたら、GW編に入っていきます。

気になったりしたら、ポチっと評価していただけたり、ブクマしていただけるとありがたいです。

感想もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。