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041●世にも奇妙なストーリー

「ブー!」


戦場となった塹壕の中、泥にまみれた通信兵の男が、肩を落として呟いた。

「聞いたか、あの噂。」

その隣で、衛生兵の女は、傷病兵の手当てをしながら、鋭い眼差しで応えた。

「国家行政責任者のご子息のことね。最前線で戦死したとか。」

「そうだ。参謀総長の息子も、爆撃機で出撃して、戻らないらしい。」

通信兵がそう言うと、女は冷笑を浮かべた。

「自ら戦地へ赴いた英雄、とでも宣伝するつもりかしら。滑稽だわ。私たちは、戦争のただの道具よ。」


二人の会話を、補給部隊の女が、弾薬箱を運びながら割り込んだ。

「違う。私たちは、責任を負わされているのよ。戦争を始めた、支持した、その利益を享受した者たちの、その代償としてね。」


爆撃機の搭乗員として、最前線から生還した男が、

よろめきながら彼女の言葉に頷いた。

「俺の爺さんは、この戦争は必要だ、と演説した議員だった。その代償が、俺の、この泥まみれの体だ。」


衛生兵の女は、手を止め、遠くを見つめた。

「私の父も、国防大臣だった。彼がこの戦場をどう見ているか、一度聞いてみたいものだわ。この地獄を、まだ必要だと言うのかしら。」


通信兵の男が、無言で通信機を操作する。

その視線の先で、戦場報道班の男が、銃弾が飛び交う中でカメラを構えていた。

彼は、メディア幹部の兄であり、

この戦争の正当性を声高に主張した人物の一人だ。


通信兵はボソッと言う。

「わたしは人気タレントだった。命より大切に守らなければならないものがある、とオンエアで叫んでしまった。」


彼ら彼女らは、皆、この戦争の代償として、この地に送り込まれた者たちであった。


やがて、通信兵の男が、震える声で告げた。

「敵の装甲部隊が、こちらの陣地に迫っている。もう、後がない!」

その言葉に、誰もが同じ問いを発する。


「例え勝利に終わったとしても、戦争を始めたやつらは責任は取らない?」

「例え勝利に終わったとしても、戦争を始めたやつらは責任は取らないの?」

「例え勝利に終わったとしても、戦争を始めたやつらは責任は取らないのか?」


衛生兵の女が、再び呟く。

「そうだ。こういうのは、どうかな?いっそのこと・・・」

だが、その問いかけは、鳴り響く銃声にかき消された。



パチ、パチ、パチ!


「いやあ、よかったな、亜子!」

「うん、考えさせられたよね。」

「でもよ、これ、結構あぶない内容だよな。こんなもの、上演して大丈夫なのかな?」

「大丈夫よ、ゴンタ。」

「なんでだ?いろんなところから、抗議が来るかもしれないぞ。」

「授業でね、権利と責任について、討論したの、覚えてるでしょ?」

「う、うん・・・。」

「結構、熱くなったんだけど、先生が最後にいったよね。」

「なんて言ったんだっけ?」

「覚えてないの?君たちの中には、誰かの意見には死んでも賛成しないって、いう人がいるかもしれない。だけど、僕は人の意見を力づくで押さえるって言う誰かが現れたら、命にかえても、その人を守るって。」

「・・・。」

「だから、責任を持って意見を発表する人たちに、無理やり圧力をかけたり、人権を無視したり、ましてや、暴力や力をふるう人がいたら、わたしたちが、ちゃんと考えて行動して、社会を守ればいいのよ。」


そうだな、そのとおりだ。

あの役者が最後に言おうとしていたこと、それも自分たちで考えなきゃ、な。

でも、亜子、ちゃんと授業受けてんだな。

俺・・・寝てたぞ。


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