407 カンナの紹介
「疲れた~」
アンナがそう言うと、ボフッってソファーへとダイブをした。
「アンナ様、お行儀が悪いですよ。」
「お行儀が悪くたって良いもん!」
「駄目です。」
「ローザちゃんの意地悪! 少しくらい良いじゃない!」
「駄目です。」
「まぁまぁ、ローザもそのくらいで良いだろ? アンナ様は疲れているんだし、少しは大目に見てくれても。な?」
「……わかりました。」
そうそう、言い忘れたことが有ったっけ。
「アンナ様、その魔道具ですが、10回の使用制限が有るので、使い切りそうになったら言って下さい。魔力を補充するので。」
「そうなんだ? うん。わかったよ。」
コンコン
その時、扉がノックされた。
「はい。」
ローザが返事をして扉を開けるとメイドが立っており、頭を下げて伝えてきた。
「馬車の用意が出来ました。」
「分かりました。すぐに向かいます。」
「はい。お待ちしております。」
扉が閉まるとローザが振り向いた。
「アンナ様。お時間です。」
「は~い。」
アンナは起き上がると。服のしわが無いことを確認して馬車に乗るために歩き始めた。
移動中、アンナが俺の横に来ると小声で話しかけてきた。
「シュウ君。」
「何だ?」
「えっとね、胸のところに隠しているのって何かな~って。」
「!?」
俺が驚くと、アンナがしてやったりって感じの顔で笑っていた。
「何で分かった?」
「私はシュウ君のことなら何でも分かるんだよ~」
「マジか……」
「うふふふっ、冗談だよ♪ さっき貰ったペンダントと同じ感じの雰囲気を感じたからなんだけど、ペンダントとは違うんだよね?」
気にしたことは無かったのだが、どうやら何か魔力的みたいなものが漏れているみたいだ。そして俺が作った物だから同じ雰囲気を感じたのだろう。
何となく意識を集中してみたのだが……はて? 何にも感じないんだが……
「どうしたの?」
「あ、い、いや何でもない。それよりもだな、アンナに渡しておくものがあるんだ。」
「プレゼント!?」
「違っ……いや、そうなるのかな?」
「何、何、何、何かな~? もしかして指輪とか!?」
「違うぞ。」
「え~!!」
「シュウ様、前回のペンダントならまだしも、勝手にそういったことをされると困るのですが。後、アンナ様に近すぎです。」
ローザが間に割り込んできた。
「ローザちゃん!」
「ローザとお呼び下さい。」
「ぶぅ! ローザ、意地悪しないで。」
「意地悪では御座いません。」
「まぁまぁ、ローザ、まずは俺の話を聞いてくれないか?」
「……何でしょう。」
「こいつを見てくれ、こいつをどう思う?」
「「可愛い!」」
「・・・・」
「シュウ君、どうしたの?」
「あ、いや、大したことじゃ無いんだ。気にしないでくれ。」
「う、うん。それでこのお人形さんがどうしたの? さっきの話だと私に貰えるってことで良いのかな?」
「あぁ、だけどコイツは実は人形では無くてゴーレムなんだ。アンナに常に一緒に居るための護衛にしようと思って作ったんだよ。」
「この子がゴーレム? 普通のお人形さんにしか見えないけど?」
「まぁ見ててくれ、カンナ動いても良いぞ。」
おれがそう言うと、カンナが起き上がってカーテシーをするとアンナに向かって挨拶をするのだった。
「お初にお目にかかります。私、カンナと申します。
これよりシュウ様からのご依頼で、アンナ様の身の回りのお世話と護衛をさせて頂きます。」
「ア、アンナ様のお世話は私のお仕事です。」
「では、私は護衛を主とし、お世話につきましてはローザ様のお手伝いとさせて頂きます。」
「そ、それなら。」
どうやらローザの方は問題無さそうだ。アンナの方はどうだろうか。
「アンナ様、どうでしょうか?」
俺が問いかけてみたのだが、アンナはジーっとカンナを観察したまま動かなかった。
「アンナ様?」
「……シュウ君、一つ質問したいことが有るんだけど、聞いても良いかな?」
「な、なんでしょう?」
アンナからとてつもない圧が来たので、思わず背筋がピンとまっすぐに伸びた。
「この子、名前がカンナちゃんって言ってたけど……もしかしてモデルって私なのかな? かな?」
「さ、さあ? ど、どうだったかな?」
「髪型とか髪色とかは違うけれど、どこからどう見ても私だよね?」
「さ、参考にはしたかもしれないかな? うん。」
「じゃあ何で、カンナちゃんはお胸やおしりが私より大きくて、ウェストは細いのかな? モデルは私だよね? おかしいよね?」
ギロリとアンナが俺を睨んだ。ひいぃぃぃぃ~~~!!!
「こ、こ、こ、これは、えっと、その……つまり……あー、そ、そうだ。しょ、将来のアンナがこうなるだろうと予感してだな。」
「・・・・」
「ほ、本当だぞ。」
「・・・・」
「ご、ごめんなさい! ほんの出来ごごろだったんです!!」
俺はジャンピング土下座を実施して、頭を床にこすり付けて謝るのだった。
俺のそんな姿を見て、アンナはため息を吐いた。
「シュウ君は私がこうなることを希望しているんだよね? だったら頑張るけれど、駄目だったとしても嫌いにならないでね。」
「大丈夫。間違い無くアンナは美人さんになるよ。俺が保証する。」
血のつながっているジェシカさんが素晴らしいプロポーションをしていたし、血縁者でもあるアンナも問題なく成長するだろう。
「そ、そうかな? そうだと嬉しいな♪」
アンナがクネクネと体をよじらせて喜んでいた。
「アンナ様、そろそろ宜しいでしょうか?」
「あ、うん。ローザちゃ……ローザ。わかりました。」
色々と有ったが、俺達は馬車に乗るために移動するのだった。




