第六話 ウェントVSワッカーズー1
<道具屋バンギ>と書かれた木製の看板を携え、その建物は街角に鎮座していた。建物自体は大分古そうだが、手入れが行き届いていて気にはならない。
「ここは…、そのバンギさんって人の店か?」
「あぁそうだ。時間も押してるし、ちゃちゃっと届けちまおう」
そう言うと、マカは店の裏口に回り込んで、扉を叩いた。
「バンギさーん、薬草採って来ましたよー」
マカが言うとすぐに扉が開き、中から小太りで親しみやすそうなおじさんが出てきた。
「おぉ、いつもありがとね」
想像通りの優しい声。だが、妙だな。表情の奥に、後ろめたさや申し訳なさが入り交じっている。
「バンギさん、今日はオマケがあるんですよ」
「オマケ?」
バンギさんが袋を開けると、中には薬草の他に、俺が倒したブラックベアの革が入っていた。
「ほぉ、こりゃまた上質な…。どうやってこれを?」
「こいつが、狩ってくれたんです」
言いながら、マカが俺を指差した。
「彼は?」
「俺達の新しい仲間、ウェントです」
「ウェント君、か。ありがとう、この革は良い素材になるよ」
「それなら良かったです」
違和感を感じながらも、丁寧に返事をする。
「じゃあバンギさん、早速次の依頼を…」
ジルのその言葉に、バンギさんの表情が明らかに固くなった。
「あぁ…、その事なんだが…」
「次は無いぜ」
後ろからの声に、三人とも振り向く。見ると、四人の男がいた。持ち物や服装からして、恐らく別のパーティーだろう。
「トーソ!」
マカとジルが、揃って一人の方を向く。
「久しぶり、マカ、ジル…」
マカ達が言っていたように、確かに良い面してる。でも今、その顔からはバンギさん以上に、申し訳なさが溢れている。対照的に、他の三人からは驕りや自信、悪意が見て取れる。こいつら、本当に同じパーティーか…?
「感動の再会の所悪いんだけどさぁ、そこどいてくんね?」
三人の内、一番悪意の強かった奴が口を開いた。
「そいつ、俺達ワッカーズのサポーターだからよ」
「…っ、どういう事だてめぇ!」
今までのジルからは考えられないほど、怒りのこもった表情だ。
「トーソだけでなく、サポーターまで奪ったのかよ!」
「奪っただなんて人聞きが悪いなぁ」
感情的になっているジルに対し、こいつはムカつくくらい冷静だ。
「二人とも、自分の意思で選んだんだぜ?な、トーソ」
トーソは、ただ俯いていた。
「お前らがそうさせたんだろ」
黙っていたマカが喋りだした。
「ジル、前言ってたよな。トーソが引き抜かれたパーティーの噂。旅慣れない冒険者を利用するだけ利用して捨てたり、強引な手口で無理やりサポーター契約を結ばせたりしてるって」
「おいおい、何の話を…」
「ごめんな、信じなくて。てか、信じたくなかった。トーソの行ったとこがそんな奴らの集まりだなんて。けど、今分かった。あいつら、ガチのクズだ」
「んだとてめぇ!」
言いながら、男が右手を振り上げたので、すかさず矢を放つ。
「いってぇぇぇ!んだこれ、矢ぁ!?」
「ウェント、お前…」
「マカ、ジル、すまん。こいつら、俺に狩らせてくれ」




