第七話 ウェントVSワッカーズー2
「てめぇ!ジェイさんに何しやがる!」
奴らの内、一番小柄な男がウェントに向かって怒鳴る。体格の割に大きな声で、中々の迫力だ。だが、それに臆する様子はウェントにはない。
「何だ?次はお前か?」
それどころか、挑発までしている。
「こいつ…、やってやるよクソガキィ!」
奴が挑発に乗ったその瞬間、奴の腕には、もう矢が刺さっていた。改めて、恐ろしい早業だ。
「はぁぁ!?、何でもう刺さってんの!?いってぇぇ!」
「さてと、後はお前だけだぜ」
そう言ってウェントが指差した先には、仲間二人が弓に射られて尚、あぐらをかいて座っている男がいた。先ほどの二人に比べてかなりの細身、恐らくは後衛職だろう。前衛が負傷したのに、なぜあれほどの余裕を…。
「それはどうかな」
言いながら奴は立ち上がり、ジェイと呼ばれていた男の手から、矢を勢いよく引き抜いた。
「は!?あんな風に抜いたら…」
案の定、奴の手から大量の血が吹き出した。それなのに、奴は平然としている。ウェントに手を貫かれた時にはあんなに騒いでいたのに…。あいつ、何をされたんだ…?
「ジェイ、もうやられるなよ」
「あぁ、分かってる」
直後、ウェントとの距離を詰めに、奴が前に飛び出した。
「直進かよ、的だぜ」
ウェントはそのセリフ通り、向かってくるアイツに、一瞬にして3発の矢を撃ち込んだ。だが、奴はそれを意に介さず、ウェントとの距離を更に詰めにかかる。
「効かねぇなぁ!」
これ以上近づかれたら、ウェントが攻撃を喰らっちまう…。アーチャーの耐久力なんて、俺達魔法使いとほぼ変わんねぇ、一発もらえば致命傷だ…。
「ウェント!一旦引け!」
「必要ねぇ」
そう言うと、ウェントが矢ではない何かを奴に向けて放った。それが命中すると、突然奴が地面に倒れた。
「上手く行ったぜ」
「ウェント…、お前今何した?」
「こいつを使ったんだ」
ウェントの出した手には、鋭い動物の爪があった。
「これまさか、あの熊のやつか?」
「あぁ。あいつ、魔法で無理やり動いてる感じがしたから、魔法が効かなかったこいつの爪なら、それを解除できるんじゃないかと思ってな」
「思ってなって…、お前、確証は無かったのか!?」
「ねぇよそんなもん。狩るか狩られるかの状況で、挑戦は渋ってらんねぇだろ」
大分無茶苦茶な理屈だ。けどまぁ…、これで正真正銘、後はあいつだけ…。
「あいつがいねぇ!」




