第十二話 因縁ーウェントとメイル
「うぅ~ん」
切り株に腰掛けたメイルが、大きく伸びをする。
「やっぱり、疲れてる時は森林浴に限るな」
そうしてボーッとしていた所に、忍び寄る者がいた。そして…。
ーポキッー
背後から枝の折れる音がして、メイルがその者の存在に気付く。
「誰だ!」
「いけねぇ、バレちまった」
男が、木の陰から身を乗り出す。
「チッ、山賊か。剣が無い時に限って…」
「ま、バレてもいいか。女一人くらい、隠れる必要もねぇ!」
言いながら、山賊が斧を振り下ろす。それを躱しながら、メイルは考える。
「私の風魔法は、あの剣が無いと威力のコントロールができない。今使えば、体力を使い果たして倒れてしまう。だが…」
「どうした!避けるだけかぁ?」
「そんなことも言ってられん!」
《ウィドル・ディザスター》
一瞬にして辺りに暴風が吹き、山賊が木に叩きつけられる。
「なんだ…これは…」
山賊が気を失って尚、しばらくは風が吹き続け、止まった頃には辺りの木は全て折れ、草や花は残っていなかった。
「くっ…、やはりこうなるか…」
メイル自身もかなりの体力を消費してしまった。しかしそれだけではなく…。
「…ふ、服が破けている…」
戦闘用に作られたものではなかったメイルの服が、メイル自身の風に耐えられなかったのだ。
「やむを得ん…」
気絶した山賊から服を脱がすと、メイルがそれを身につける。意外と着心地が良いなと思いながら、折れた木に背を預け、回復の為眠りにつく。
「はぁ…。さすがにもう限界か…」
ボロボロになった服を見つめながら、ウェントは替え時だなと感じた。そんな思いで歩いていると、メイルが山賊と争った場所に辿り着いた。
「なんだ…?あそこだけ木が折れてる」
気になってウェントが近づくと、そこではメイルが眠っていた。
「お、山賊寝てるじゃん。ラッキー」
ウキウキでメイルから服を剥ぎ取り着替えたその時、メイルが目を覚ました。
「う、うーん…」
目を覚ますと、弓を背負った見知らぬ男が、見覚えのある服を着ていた。
「あの服は…」
寝ぼけながら自分の体に触ると、そこに布の暖かみは無く、慌てて目線を下に向けると、案の定服が脱がされていた。
「き、貴様!返せ!」
自分も奪って手に入れたものだということも忘れて、ウェントに向かって怒鳴る。
「良い服だなこれ。ありがと!」
回復しきっていないメイルは、ただただ見送ることしかできなかった。
ー現在ー
「あの後、私は真夜中に裸で帰る羽目になったのだぞ!」
ウェントの軽い口調に、メイルが思わず腹を立てる。
「そうか、すまん」
ウェントのそのセリフに、謝意は無かった。
「よし決めた。貴様達全員、ここで殺すのは辞めだ」
「!?」
四人全員が、一瞬声を失う。
「貴様達には死ぬ前に、私以上に恥をかいてもらう」




