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一矢無双  作者: ドンロク
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第十話 ウェントVS警備隊ー2

「じゃ、後は頼むぜ。ウェント」

「わーってる」

《アサシン・ショット・シークエンス》

ウェントが、無数の矢を連続で放つ。

「だからぁ!矢は刺さらないんだよぉ!」

シムは矢を受けながら、二発目の火球を造り始める。

「これで、ラスト」

ーグサァァー

ウェントの最後に放った矢がシムの足を貫通し、そこから血が溢れる。

「馬鹿なっ!?」

体勢を崩し、シムが片膝をつく。

「矢が刺さらないなら、刺さるまで撃つ。それがアーチャーだ」

「すごいな…君…」

今まで見たことのない、圧倒的な強さを持ったアーチャーに、トーソが思わず声をこぼす。

「ウェントで良いよ」

「今の…、あの数の矢を、全て同じ箇所に撃ったのか…?」

「あぁ。そうすれば脆くなるだろ?」

「そりゃそうだけど…、それを実行できるなんて…」


「シムさん!」

矢の刺さった腕を庇いながら、ヒノがシムの元に歩み寄る。

「すまん、油断した」

「一旦引きましょう」

ヒノが、シムと自身の足元に、魔法陣を作り出す。

「逃げるのか?」

声がしたのは、上からだった。

「た、隊長…」

「遅いと思ったら…、まさかやられていたとはな」

声の主が、地面に降り立つ。

「す、すみません!」

緊張の余り、ヒノとシムの声が揃って裏返る。


「誰だ…あいつ?」

「ジル、お前知らないのか!?警備隊の隊長、メイルさんだよ!一回会ってみたかったんだよな~」

「マカ、お前割と美人に弱いよな」

「言ってる場合じゃないだろ!警備隊隊長だぞ!」

呑気に話しているマカとジルに、トーソが焦る。そんな中、ウェントは考え事をしていた。

「…うーん…」

「どうしたウェント、まさかお前も美人耐性無いのか?」

「いや…どっかで見たことあるんだよあいつ。どこだったっけ…」


「よし、お前達は戻って休め」

「は、はい…」

メイルが一通りの引き継ぎを済ませ、ヒノとシムを帰らせる。

「さてと…。随分私達の街で好き勝手してくれたな」

メイルはそう言うと、鞘から剣を引き出した。「まずはそうだな…。前衛から切る」


「来るぞ!」

マカがそう言った頃には、凄まじい勢いで加速したメイルが、トーソの剣を鞘ごと切り裂いていた。

「え…、?」

困惑するトーソを横目に、メイルはウェントの弓に狙いを定める。

「これで2人目」

しかし攻撃の直前、ウェントの矢がメイルの顔に向けて放たれた。

「チィッ」

それを剣で受け止めながら、メイルが後方に下がる。

「あっぶね、早いなアンタ」

「今のに反撃できるのか。シム達が手こずる訳だ」

ウェントとメイルが互いに隙を探り合い、少しの沈黙が訪れる。

「ジル…見えたか?」

「…何も。マカは?」

「俺も。はっきり言って、レベルが違い過ぎる」

「あ、思い出した!」

ウェントの声が、静寂を破る。

「何をだよ?」

「さっきさ、どっかで見たことあるって言ったろ」

「ああ、言ってたな」

「あいつ、前会った山賊だ」

「……え?」

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