第九話 ウェントVS警備隊ー1
この世界には六つの王国がある。中でも、ここジュヴェイン王国は一二を争う大きさの国で、国内に四つの城があり、その城毎に城下町がある。しかし国王は一人、当然その量の人々は管理しきれず、いざこざが絶えなかった。そこで、城毎に警備隊が作られ、問題が起きた場合には、彼らが対処することとなった。
「それにしても、よく避けたものだ。全員捕える気で使ったのだがな」
シムさんの言う通り、あの状況で捕まらないなんて…、こんな奴初めて…。
「捕えようって気持ちが漏れすぎなんだよ」
それで避けれるの!?何なのアイツ…。
「…提案がある。素直に捕まってくれないか?君と戦うのは面倒そうだ」
シムさんがそう言った直後、腕に激痛が走った。
「ぐぅっ!」
「ヒノ!」
「悪くない提案だけど、これが返事だ」
「あれっ、動ける…」
「俺も…」
しまった…、今ので拘束魔法が…。
「やっぱ、あれ使ってたのあっちだよな」
「…何故分かった?」
「敵意の出所が、アンタよりも遠かったからな」
「なるほど…」
感の鋭さと反応速度、何よりあの精密な狙撃…。
「やはり危険…。今ここで潰す!」
「待ってくれ!」
「…どうした道具屋?」
「迷惑をかけていたのはワッカーズって奴らだ!それに、街に被害は出ていない。この子らまで裁く必要は無いはずだ!」
「バンギさん…」
「残念だが…通報によれば、先に手を出したのはこいつららしいからな。何より、こちらは既に一名負傷させられている。裁く理由は充分だ」
「そ、そんな…」
「大丈夫ですよ、バンギさん」
「マカ君…」
「ウェントは、多分負けません」
「多分はいらねぇよ」
ウェントの矢が、的確にシムの足に放たれた。だが…。
ーカキーンー
「刺さらねぇ!?」
「残念だったなアーチャー!俺の服は特殊な繊維で編まれている!その強度は、鎧並みなんだよぉ!」
「そういう事ね…」
「今度はこちらから行くぞ!」
《ギガ・ヒートル》
強烈な火球が、シムの手から放たれる。
「まだ爪あったっけ…」
「いよいよ俺の出番だな」
そう言って、ジルがウェントの前に立つ。
「何する気だジル!」
「まあ見てなって」
《アクアル》
ジルの水魔法が、シムの炎魔法を相殺する。
「馬鹿な!魔法のランクは私の方が上だぞ!?」
「ジル…今のって…」
「あぁ、例のシャワー魔法さ」
「本来はそんなに威力出んのかよ…」
「違うぞ、ウェント」
「マカ…、どういう事だ?」
「俺が水魔法クッソ苦手なのはさっき分かっただろ?あいつはその逆。ジルは水魔法の天才だ」




