第73話――天賦解析開始――星環解析室
>はいっーー第73話ですーー!
今回は、
いよいよ「天賦解析」へ
ここまで長く学院で過ごしてきた学生たちですが、
自分自身の中にどんな可能性が眠っているのか、
それを詳しく知る機会は、
実はそれほど多くありませんw
普段使っている徽環や、
何気なく扱ってきた自分の力
それらを改めて一つずつ見ていくと、
本人が思っていたものと、
少し違ったものが見えてくることもあるかもしれませんね~
そして今回は、
新しい解析室とともに、
また少し学院の仕組みも見えてきます
七つの星環が巡るその場所で、
どんな時間が始まるのかーー
第73話
「天賦解析開始――星環解析室」
よろしくお願いしマウスーー
♪ \(^ω^\ )
時刻:3670シヴン年12月25日 AM 11:58
場所:ビグトラス遠古学院・地下第二研究区画・第二解析室
「副教授~」
「そんなに怖い顔をしてたら、また学生さんが泣いちゃいますよ?」
桃色の短髪を揺らした女性が、悪戯っぽく笑いながら声を掛けた。
レイヴァンは術式盤から視線を離さない。
「泣かせた覚えはありません」
「またまた~」
「昨年も同じこと言ってましたよね?」
「『泣かせた覚えはありません』って」
彼女は肩をすくめ、くすりと笑う。
「でも、三人もガチガチに固まっちゃってましたよ?」
「……緊張です」
「副教授のせいです♪」
レイヴァンは小さく息をついた。
「……イリス」
桃色の短髪の女性――ライステラ・イリスは、悪戯が見つかった子どものように笑う。
「は~い♪」
「ちゃんと始めます」
そう言うと、学生たちの方へ向き直った。
「皆さん、お待たせしました」
「私はライステラ・イリス」
「レイヴァン副教授の解析補佐を担当しています」
柔らかな笑みを浮かべながら、緊張した学生たちを見渡す。
「安心してくださいね」
「天賦解析は痛くありませんから♪」
部屋のあちこちから小さな笑い声が漏れ、張り詰めていた空気がほんの少しだけ和らぐ。
その様子を確認すると、レイヴァンは静かに口を開いた。
「それでは」
「天賦解析を開始します」
学生たちが姿勢を正す。
室内中央には、純白の晶石で造られた円形の解析台が、床から静かに浮かんでいた。
表面には幾重もの古代術式紋が刻まれ、淡い白金色の光がゆっくりと脈打っている。
その周囲には、七つの立体光環。
それぞれ大きさも角度も異なる光環が、互いに干渉することなく、静かな軌道を描き続けていた。
あるものは水平に。
あるものは斜めに。
あるものは垂直に。
まるで一つの小さな星系が、解析台の周囲を巡っているかのようだった。
ジャスは思わず息を呑む。
「……すごい」
エフィチたちも、初めて目にする解析台へ静かに見入っていた。
レイヴァンは解析台へ一歩近づく。
「これが顕影台です」
「学院が長い年月をかけ、防衛顕化を解析・補助するために完成させた術式装置です」
ライステラが学生たちへ笑顔を向ける。
「皆さんの天賦を作る装置じゃありませんよ?」
人差し指を立て、軽く左右へ振る。
「皆さん自身の能脈に眠っている可能性を、映し出してくれる装置なんです♪」
レイヴァンは静かに頷いた。
「そのとおりです」
「天賦は、顕影台が与えるものではありません」
「皆さん自身の能脈、そして徽環の奥にある資質を、可視化するに過ぎません」
学生たちは自然と表情を引き締める。
レイヴァンは術式盤を閉じ、静かにジャスへ視線を向けた。
「ジャス」
「前へ」
「ここですか......」
ジャスは目の前の解析台を見つめながら、少し戸惑ったように問いかけた。
レイヴァンは静かに頷いた。
「まず、徽環を置いてください」
ジャスは腰側へ手を伸ばし、固定具から炎属性徽環を静かに外した。
赤橙色の徽環は掌の上で淡く脈打ち、小さな炎を宿しているように揺らめいている。
彼は解析台の中央へ歩み寄り、徽環をそっと置いた。
コトッ。
静かな音が解析室へ溶け込む。
次の瞬間ーー
ブゥンーー
顕影台がゆっくりと目を覚ました。
台座へ刻まれた古代術式紋が一筋ずつ白金色に灯り、その光は中心から外周へ静かに広がっていく。
周囲を巡っていた七つの星環も呼応するように回転速度を変え、それぞれ異なる軌道を描き始めた。
水平に巡る環。
斜めへ傾く環。
垂直に立ち上がる環。
幾重もの光環が重なり合い、小さな星系のような光景が解析室の中央に広がる。
学生たちは思わず息を呑んだ。
ライステラはその様子を見回し、優しく微笑む。
「ここからは、皆さん自身の能脈が答えてくれます」
「焦らなくて大丈夫ですよ」
「いつもどおり、自然に力を流してくださいね」
ジャスは小さく頷き、解析台へ右手を添えた。
ひんやりとしていた台座は、掌が触れた瞬間だけ柔らかな温もりへ変わる。
「能脈を流してください」
レイヴァンの静かな声が響く。
ジャスはゆっくりと目を閉じた。
胸の奥で鼓動が一つ大きく脈打つ。
ドクンーー
その鼓動に呼応するように、掌から淡い光が解析台へ流れ込んだ。
赤橙色の光。
続いて黄土色の光。
二つの光流が互いに絡み合いながら顕影台を巡り、七つの星環へ一本ずつ吸い上げられていく。
さらに、その奥ーー
ほんの糸ほど細い青緑色の光が遅れて姿を現した。
弱々しく揺れながらも、二つの光を追うように静かに星環へ溶け込んでいく。
レイヴァンは光の流れを見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「元素傾向の解析を開始します」
解析台の周囲を巡る七つの星環が、ゆっくりと明るさを増していく。
白金色だった光はやがて幾筋もの光脈へと分かれ、ジャスの身体を立体的に包み始めた。
ブゥンーー
低く澄んだ駆動音が、静かな解析室へ響く。
術式盤には、次々と光文字が浮かび上がっていく。
《能脈接続──完了》
《徽環共鳴──正常》
《顕影解析──開始》
レイヴァンは術式盤ではなく、ジャスを囲む光流へ静かに視線を向けた。
重なり、揺らぎ、収束していく流れを見極めるように、琥珀色の瞳が細められる。
やがて、ジャスを包む赤橙色の光が一段と強く輝いた。
炎の揺らめきにも似た光流が、一気に最も大きな星環へ流れ込む。
続いて黄土色の光がその軌道へ重なり、赤橙を支えるように安定した流れを描いている。
そして最後に、糸のように細い青緑色の光が控えめに一つの星環へ触れた。
触れた直後にわずかに揺れ、再び静かに落ち着く。
ライステラが思わず小さく声を漏らした。
「炎と土……」
「きれいに重なってますね」
レイヴァンは静かに頷く。
「主能脈は炎」
「副能脈は土」
術式盤中央へ、二つの文字がゆっくりと浮かび上がった。
《炎》
《土》
ジャスは無意識に息を呑む。
レイヴァンは続けた。
「……それから」
誰もが細い青緑色の光へ視線を向ける。
「風属性も確認できます」
ジャスの表情がわずかに動いた。
レイヴァンは光流を見つめたまま、静かに告げる。
「ですが、その割合は極めて僅かです」
「能脈全体へ及ぼす影響も、現段階では補助域に留まっています」
青緑色の光は炎や土のように星環全体へ広がることなく、一本の細い軌跡だけを静かに描いていた。
ジャスは苦笑しながら、小さく息を吐く。
「……やっぱりか」
「少しだけ、期待してたんだけどな」
ライステラはその表情を見ると、くすりと笑ってジャスの隣まで歩み寄る。
「そんな顔しなくても大丈夫ですよ♪」
ポン。
軽く肩を叩く。
「炎と土の組み合わせって、実はすごく優秀なんです」
ジャスが顔を上げる。
「え?」
「炎だけだと爆発力はありますけど、制御が難しくなりやすいんです」
「でも土属性があると、術式の土台がしっかりするので、安定した出力を維持しやすくなります」
彼女は術式盤へ映る二つの光を指差した。
「それに、将来、正式な魔導武具を顕影した時にはーー」
少しだけ楽しそうに微笑む。
「炎と土、二つの属性が組み合わさることで、単一属性ではできない術式構成や、武具との連携効果が生まれる可能性もありますよ♪」
「天賦は、強い属性が一つあればいいってものじゃありません」
「どう活かすかで、同じ属性でも全然違う術士になりますから」
ジャスは少し驚いたように目を瞬かせた。
「……そういう考え方もあるんですね」
ライステラは笑顔で大きく頷く。
「もちろんです♪」
「だから落ち込むのは、武具を顕影してからでも遅くありません」
その一言に、解析室へ小さな笑いが広がった。
ジャスも思わず笑みを浮かべる。
「それは嫌だな……」
彼女は満足そうに笑う。
「その顔なら大丈夫ですね♪」
その時だった。
「おい」
「あれ、風宿の下層出身の奴じゃなかったか?」
不意に、学生たちの後方から笑い声が漏れた。
視線が自然とそちらへ集まる。
三人の男子学生が、腕を組んだままこちらを見ていた。
一人は細身。
一人は長身。
そして中央には、二人より頭一つ高く、鍛えられた体格の学生が堂々と立っている。
その口元には、人を見下すような笑みが浮かんでいた。
「へぇ」
「風宿の下層でも学院に入れるんだな」
「ははっ」
「でも、その程度なら期待し過ぎじゃないか?」
「そうそう」
「下層育ちが、まだ何か望もうってのが間違いなんだよ」
くすくすと笑い声が広がる。
ジャスの笑みが、静かに消えた。
拳を強く握る。
それでも何も言わず、視線を逸らすように解析台を降り、エフィチの方へ歩き出した。
エフィチはその横顔を見る。
「……ジャス」
何かを言おうとした、その時だった。
「おい」
「さっさと下層へ帰れよ」
三人の笑い声が、再び解析室へ響く。
「赤髪の小僧」
「学院にいるより、異獣に食われる方がお似合いじゃないか?」
「アハハハッ!」
ジャスの足が止まる。
肩が、わずかに震えた。
ゆっくりと振り返る。
「……今」
低い声が、静かな解析室へ落ちる。
「何て言った?」
三人の学生も、一歩前へ出る。
「聞こえなかったのか?」
中央の大柄な学生が、鼻で笑った。
「下層へ帰れって言ったんだ」
「ここは、お前みたいな奴が立つ場所じゃねぇ」
次の瞬間ーー
「……っ!」
ジャスが地面を蹴った。
「ジャス!」
エフィチが咄嗟に腕を伸ばす。
しかし、あと一歩届かない。
三人の学生も同時に前へ踏み出し、互いの距離が一気に縮まった。
周囲の学生たちが慌てて後ずさる。
「ちょ、ちょっと!」
「あなたたち!」
「ここは解析室ですよ!」
ライステラが両者の間へ駆け出そうとする。
その瞬間だった。
バンッ!!
解析室の扉が勢いよく開いた。
一人の学院術士が、息を切らせながら飛び込んでくる。
「レイヴァン副教授!」
「た、大変です!!」
足元がもつれ、そのまま前へ倒れ込みそうになった。
「危ない!」
近くにいた学生が咄嗟に駆け寄り、その身体を支える。
「だ、大丈夫ですか!?」
「す、すみません……」
学院術士は荒い呼吸を繰り返し、胸を押さえたまま必死に息を整える。
礼を言う余裕すらない。
先ほどまで騒然としていた解析室は、一瞬にして静まり返った。
ジャスも、三人の学生も、エフィチも、ライステラも。
その場にいた全員の視線が、一斉に学院術士へ集まる。
レイヴァンは一歩前へ出ると、落ち着いた声で静かに告げた。
「落ち着いてください」
「何があったのですか」
学院術士は大きく息を吸い込み、震える声で報告する。
「第一研究区画より……緊急連絡です!」
「心理観測術式との接続が、突然途絶しました!」
ライステラの表情から笑みが消える。
レイヴァンの眉が僅かに動いた。
「観測対象は」
学院術士は唾を飲み込み、息を切らしながら答える。
「三年生……リプレイトです!」
「リプレイト!?」
その名を聞いた瞬間、ジャスとエフィチがほぼ同時に声を上げた。
先ほどまで怒りに染まっていた表情は、一瞬で驚きと不安へ変わる。
「リプレイトに何が……!」
レイヴァンは即座に判断した。
「イリス」
「ここは任せます」
「天賦解析を予定どおり続行してください」
ライステラもすぐに表情を引き締め、力強く頷く。
「はい」
レイヴァンは部屋の隅へ歩き、保管棚から一つの魔導器具を取り上げる。
銀色の術式環が幾重にも組み込まれた、携行用解析装置だった。
そのまま出口へ向かう。
途中、三人の学生の前で足を止める。
レイヴァンは横目だけを向けた。
琥珀色の瞳には、先ほどまで以上の冷たさが宿っている。
「貴族の子弟だからといって、学院の規律を乱していいわけではありません」
一拍置く。
「次はありません」
「再び騒動を起こした場合は、私自ら前線実習へ同行させます」
「異獣は、身分では人を選びません」
三人の表情が固まった。
背筋を冷たいものが走り、額へ一筋の汗が伝う。
「…………」
誰一人、言葉を返せなかった。
レイヴァンはそれ以上何も言わず、学院術士と共に解析室を後にした。
解析室の扉が、ゴトンと鈍い音を響かせ、完全に閉じる。
残された学生たちの間には、まだ張り詰めた空気が残っていた。
ライステラはその様子を見回すと、いつもの柔らかな笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ」
「レイヴァン副教授が向かったなら、きっとすぐ状況を確認してくれます」
ジャスとエフィチは互いに顔を見合わせる。
不安は消えない。
それでも、二人は小さく頷いた。
彼女は静かに顕影台へ視線を戻す。
「では、こちらも続けましょう」
そして学生たちの中から、一人へ視線を向けた。
「次はーー」
「エフィチさん、お願いします」
「…………」
けれど、エフィチは反応しなかった。
隣のジャスと小さな声で話したまま、どこか上の空になっている。
「エフィチさん?」
「……あ、ごめん」
ようやく呼ばれていたことに気付き、エフィチは顔を上げた。
それから隣のジャスへ視線を向ける。
「リクトもリプレイトも、きっと大丈夫だ」
「心配するな」
ジャスは一瞬黙り込み、やがて小さく頷いた。
「……ああ」
ライステラは二人の様子を見て、少しだけ目元を和らげた。
「焦らなくて大丈夫ですよ」
「ここは私がちゃんと見ていますから」
軽くそう告げると、彼女は顕影台へ手をかざす。
先ほどジャスの解析を終えた星環が、再び静かな光を帯び始めた。
「では、エフィチさん」
「顕影台へどうぞ」
エフィチは短く頷き、ゆっくりと前へ進んだ。
ジャスはその背中を見送る。
不安はまだ消えない。
リプレイトの名も、リクトの右目のことも、胸の奥に重く残ったままだ。
それでも今は、目の前の仲間を見届けるしかなかった。
エフィチは顕影台の前で足を止め、腰側へ手を伸ばす。
固定具から外された土属性徽環が、掌の上で鈍い黄土色の光を宿した。
炎属性徽環のような揺らめきはない。
だがその光は驚くほど落ち着いていて、小さな石片が幾重にも重なり合うように静かに輪郭を保っていた。
エフィチはそれを顕影台の中央へ置く。
コトッ。
低く乾いた音が、純白の台座へ沈み込む。
次の瞬間ーー
七つの星環の回転がわずかに鈍った。
速くなるのではない。
まるで重さを測るように、一つ一つの軌道が深く安定した動きへ変わっていく。
ライステラの表情から、先ほどまでの軽さが少しだけ消えた。
「……これは」
彼女は術式盤へ視線を落とし、すぐに指先を走らせる。
光は広がるというより、地面へ根を下ろすようにゆっくりと沈み込んでいった。
ドクンーー
胸の奥で能脈が脈打つ。
その鼓動に合わせて、エフィチの足元から幾筋もの光が立ち上がった。
黄土色の粒子。
岩の欠片のように重なり、崩れず、乱れず、ただ静かに積み上がっていく。
やがてその中心から、鈍い金茶色の地脈紋が細く浮かび上がった。
土の光よりは弱い。
けれど、風や水のような微細な反応よりも、はっきりと深い場所から伸びている。
ライステラは思わず小さく息を呑んだ。
「主能脈は土」
「適性は非常に高いです」
術式盤に《土》の文字が大きく浮かび上がる。
続いて、その下へもう一つの文字が静かに現れた。
《大地》
ジャスが目を見開く。
「大地……?」
ライステラは頷きながら、慎重に光の流れを追った。
「現時点では、まだ主属性とは呼べません」
「でも、他の微細属性より明らかに強い反応があります」
エフィチは表情を変えず、ただ静かに聞いていた。
彼女は術式盤を見つめたまま、少しだけ声を落とす。
「このまま鍛錬を重ねれば、将来、土属性から大地属性へ主能脈そのものが移行する可能性があります」
解析室がわずかにざわついた。
ライステラはその空気を感じ取ると、ふっといつもの笑みを戻す。
「すごいですよ、エフィチさん」
「本当に大地属性まで育ったら、将来、カイクラ教授の後を継ぐ人になるかもしれませんね♪」
「……考えたことはありません」
エフィチは短く答える。
その反応があまりにも普段通りで、周囲の学生たちから小さな笑いが漏れた。
ライステラも楽しそうに笑う。
「でしょうね」
「そういうところも、ちょっと教授向きかもしれませんよ?」
エフィチは少しだけ困ったように目を伏せる。
ジャスもようやく、小さく笑みを浮かべた。
その直後、顕影台の星環がさらに深く沈むように回転を変える。
黄土色の光が幾重にも重なり、エフィチの周囲へ盾のような紋を描き出した。
重なった盾紋。
地面へ打ち込まれる杭紋。
そして、わずかに広がる鈍い金茶色の地脈紋。
ライステラは術式盤へ視線を向け、結果を確認する。
「役割傾向は、防壁と固定が中心ですね」
「支える力、守る力、そして場を崩さない力」
彼女は少しだけ微笑む。
「エフィチさんらしい結果です」
「……そうですか」
エフィチは短く答えた。
その表情に大きな変化はない。
けれど、ジャスには分かる。
エフィチの肩から、ほんの少しだけ力が抜けたことを。
やがて、七つの星環がゆっくりと光を落としていく。
術式盤に《解析完了》の文字が浮かび上がった。
「はい、これでエフィチさんの天賦解析も完了ですよ」
ライステラは明るく手を叩く。
「ジャスさん、エフィチさん」
「お二人はこのあと、指示どおり顕影武具庫へ向かってください」
「そこで今回の解析結果に合わせた、臨時魔導武具の確認を行います」
ジャスは腰側へ炎属性徽環を戻しながら、静かに頷いた。
「……分かりました」
エフィチも土属性徽環を固定具へ戻す。
「行こう」
「ああ」
二人は解析台から離れ、出口へ向かって歩き出した。
その途中、ジャスは一度だけ振り返る。
レイヴァンが出ていった扉。
その向こうにいるはずのリプレイト。
そして、まだ右目に異変を抱えたままのリクト。
胸の奥が、重く締めつけられる。
「……」
小さく漏れた声に、エフィチが隣で答える。
「大丈夫だ」
「リプレイトも、リクトも」
「簡単には折れない」
ジャスは少しだけ目を伏せ、やがて小さく息を吐いた。
「……だな」
二人はそのまま、顕影武具庫へ続く通路へ足を踏み出す。
背後では、次の学生が顕影台へ呼ばれていた。
ブゥンーー
七つの星環が、再び光を帯びて回り始める。
「はいはい、そんなに固くならないでくださいね~♪」
ライステラの明るい声が、解析室の中へ響く。
また一度ーー
ブゥンーー
そして、また一度ーー
ブゥンーー
星環が起動するたび、白金色の光が通路の奥へ淡く漏れていく。
その光と共に、ライステラの弾むような笑い声が、二人の背中を静かに追いかけてきた。
>第73話を最後まで読んでいただき、
ありがとうございますーー!
今回はようやく、
ジャスとエフィチの天賦解析まで進みました
ジャスは炎と土、
そして本当に僅かな風
一方のエフィチは土を中心に、
そのさらに先へ繋がる可能性も少し見えてきました
こういう解析を書く時、
単純に「このキャラクターはこの属性です」で終わらせるのではなく、
今までの行動や性格、
そしてこれからどう力を使っていくのかまで、
少しずつ繋がって見えるようにしたいと思っています
そして今回は、
解析だけで静かに終わるはずもなく......
途中では色々ありましたねw
リプレイトのことも、
リクトの右目のことも、
まだ何一つ解決したわけではありません
それでも学院では、
一人、また一人と星環の前へ進み、
それぞれの力と向き合い始めています
ブゥンーー
ブゥンーー
きっと今日の解析室では、
まだまだこの音が鳴り続けていマウスw
♪ \(^ω^\ )




