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女神のさぶらい 〜逃げた勇者共に代わり武士を召喚してやった〜  作者: サムハラ
第四章 魔王襲来編

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第2話 騎士隊VSゴーレム

 偵察隊からの報告を受けてシャルディは馬を走らせていた。

 坂を駆け上がると、そこには緑が美しい高原が広がっており、先にある丘に偵察にやった部下が手を上げていた。


「モンスターはどこだ!?」


 彼が受けた報告は、大型の未確認モンスターがこちらに向かっているという情報だった。いや正しくは「生き物なのか分からない大型の未確認モンスター」だ。

 シャルディは部下に指し示された方向に目をやる。そしてそこには見たこともないモンスターがいた。


「何だあれは? アラクネ、なのか?」」


 確かにソレは動いていた。

 だがそれが生き物なのか分からない。


 先ずその姿に一番近いのはアラクネという人間の上半身に蜘蛛の身体を持ったモンスターだ。

 本来は洞窟や森などで巣を張り獲物を待ち受けるモンスターで、こんな開けた場所に出て来る事はない。

 通常のアラクネが精々馬くらいの大きさなのに対し、目の前のモンスターは家ほどの大きさがある。

 更に全身を灰色の鎧で覆われており、頭には一角を生やしていた。


「もしやゴーレムなのでは?」

「バカな。アラクネ型のゴーレムなんて聞いたことがありませんよ」


 部下達も困惑して各々で推測を述べる。

 だが彼らが言う通り、奴からは生き物の様な躍動感が無く、無機質な奇妙さを感じた。動かす脚は規則正しく、歩けば必ず上下するであろう身体も浮いている様に一定の高さを維持している。

 生き物の形をしているが生き物らしくない。


「隊長。如何しましょう?」


 騎士達は隊長であるシャルディの判断を仰ぐ。

 あれが魔王軍側の何かである事は確実なのだが正体が分からない。しかしだからと言ってこのまま素通りする訳にも行かない。

 シャルディもそんな部下達の気持ちを分かってか勇ましい顔で言った。


「たかが1体のゴーレムなど恐るに足りん! 先ずはヤツを仕留めるぞ! フレデリクの隊は丘を迂回しあれの側面を突け!」


 隊長の指揮の元、騎士達がすぐさま部隊展開を始める。

 ゴーレムは頑丈な体と重量を活かした攻撃が厄介なモンスターだ。

 だがその動きは遅く、また頑丈とは言っても自分達が放つ魔法で倒す事は十分可能だ。現に彼等はこれまでゴーレム討伐を何回も成功させている。

 統率の取れた血気盛んな騎士達が突撃陣形を整え、それぞれの配置に着く。

 その間もゴーレムはこちらに向かって前進を続けていた。


「配置完了しました」

「よし、ゴーレムが丘の下に来たタイミングで突撃を開始する」


 騎士達は丘の稜線に隠れてその時を待つ。

 彼等は魔王軍と戦う為にこの地にやって来た。

 だが急いで来てみればどこの馬の骨とも分からない者達が終わらせてしまっていたのだ。


(その悔しさをあのゴーレムで晴らす!)


 馬の嘶ぎと共にフレデリクの別働隊が動いた。


「早ったなフレデリク!」


 まだ予定地よりずっと手前なのにもう飛び出してしまった。

 だが特に問題はない。シャルディも遅れじと剣を掲げ号令を発しった。


「突撃開始! 早駆けに、進めぇ!」


 待ってましたと言うように騎士達は馬の腹を蹴って突撃を開始する。

 ここでようやく自分が狙われていると気付いたのか、ゴーレムは足を止めた。

 蜘蛛の胴体から黒い円柱状の何かがせり出し右手に装着される。それは幾本の筒が束ねられた物体で、騎士達はその正体が何なのか分からなかった。

 そしてゴーレムの腕に装着された()()()()()()が、早って飛び出したフレデリク隊に向けられた。


 ダッダッダッダッダッ!!


 銃口から無数の魔法弾が放たれる。

 その弾丸の雨を何の防御も無く受けた部隊は、先ず先頭のフレデリクが人馬諸共砕けた。

 雨は止まず、更に後続の騎士達を襲う。

 顔を撃たれてもんどり打って落馬する者、愛馬とと共に大地に沈む者、主の死を知らず死体を引きずって掛ける馬、圧倒的で無情の雨が騎士達から赤い血煙を昇らせて行く。


(何だ……あれは!?)


 シャルディはその光景に絶句しつつも味方へ叱咤する。


「止まるな止まるな!! 奴に飛び込め!!」


 彼我との距離200m。


(あれほど巨大な武器だ! 懐に入ってしまえば使えまい!)


 駈歩から襲歩へ。

 抜剣し鬨を上げて、目の前の影に刃を突き立てんと疾駆する。


 だがそれがどうしたと言わんばかりにゴーレムは、別働隊を塵肉にした兵器を次なる目標に狙いを定めた。


「させるか!! ディバインジャベリン!!」


 先陣を切るシャルディが魔力で作った投槍を投擲する。

 これは彼が得意とする上級魔法。そこら辺のゴーレムなら2体を貫通させる程の威力がある。それを物語る様に魔法の槍は、流星の様な速さと一直線の軌道を描きゴーレムに直撃した。

 が、貫通させるどころか投槍の方が砕け散った。


「バカな!?」


 驚愕するシャルディにガトリング砲が向けられる。


「ッ!! 散れ!! 散るんだ!!」


 シャルディは剣を振って叫んだ。

 見た所あれは弓やボウガンと同じ正面の敵を攻撃する物だ。その手の武器の対処法は分かっている。ただ、


(逃げ切れるか!? あれほどの魔弾から! 今から!)


 やがてガトリング砲が彼等を殲滅すべく回転を始めた。

 騎士達は何とかあの暴風雨から逃れようと、自らの愛馬を死ぬ気で走らせた時、


 ヒュッ、ガンッ!!


 どこからか飛んで来た矢がゴーレムの砲身を弾いた。明後日の方向を向いた銃口から、魔弾が空に向けて放たれる。

 その刹那、天に響く大音声が辺りに木霊した。


「朝比奈三郎義秀!! 推参!!」


 恐れを知らぬ坂東武者がただ一騎。

 死地に馳せ参じた。

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多脚戦車は浪漫。
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