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第4話 オレに意見する奴みんな死ね

 日が落ちかけている街を不屈は風の様に赤い魔力のマフラーをなびかせ走る。

 彼の通った後は疾風が起こり、砂埃や婦人のスカートを巻き上げていく。それなのに誰も彼の姿を捉えることは出来ない。 


「クソ、クソぉ! あいつら何なんだよ!」


 不屈は自分とラミの関係を何も分かってないのに、好き勝手言って来た女神達に激しい憤りを感じていた。

 ラミが出会ったのは、彼がまだ勇者スキルに浮かれて魔王軍と戦っていた頃だ。

 人付き合いと言うものが嫌いだった不屈はソロで魔王軍と戦い、勇者スキルのお陰で幾人もの魔人やモンスターを倒し、魔王城に迫っていた。

 そんなある日、彼はヴァンパイア族が住む陽の光が差さない街へと辿り着く。そこで出会ったのがラミだった。

 彼女はヴァンパイア族でありながら光に憧れていた。あの見えなくなった目も幼い時に太陽を直視して焼けてしまったらしい。

 そんな彼女が不屈を見て最初に言ったのだ 


「なんてギラギラした人……」


 それから彼女と共に何体もの魔人を倒した。

 元の世界でずっとボッチだった不屈に出来た始めて気の許せる他人。それも異性だ。

 それまで乾いていた心が満たされて、ラミとならどこでも何だって全ての事が上手く行けるような気がした。そして――、


(よし! 魔王討伐なんて辞めて、ラミとまったりスローライフして暮らそう!)


 と、彼は魔王討伐から降りたのである。


「クソぉ! オレに意見する奴みんな死ね!!」


 自分にあれこれ言ってくる奴らに怒りを爆発させて一気に跳躍した。目指すは勿論、ラミが居るドラコフォンズの村だ。

 土塁を飛び越えもう一回跳躍する。高く高く跳んで不屈は再びドラコフォンズの村へと足を踏み入れた。

 無論、周囲に居た傭兵達はまた出たと慌てふためく。敵襲の鐘がなりたちまち不屈を取り囲んだ。


「ふん。ザコ共が何回同じ事を――」

「待て!! 者ども退けぃ!!」


 だがそこに大鎧を纏った親衡が精霊達を連れてやって来る。勿論、側にはラミの姿もあった。


「ラミもういいだろ! 帰るぞ!」

「だ・か・ら! アナタには愛想が尽きたの!」


 まだわがままを言うラミに不屈はムッとして顔を怒らせる。こうなったら無理矢理にでも連れ帰ろうとした時、間に親衡が立ち塞がった。


「ここに居ると言うことはアルケー殿の説得は失敗したと言うことですね。どうです? ここいらで決着を付けると言うのは? 一騎討ちに貴方が勝てばラミを連れて行ってよろしい」

「は? 何言ってんだ? 昼間オレに攻撃を弾かれてたじゃねえか」

「ならば貴方の勝ちは揺るがない。悪い話ではないでしょう?」


 不屈はこの戦国武将みたいな格好の野郎は何を考えているのかと睨みつけた。

 昼間の戦闘で親衡の攻撃がどの程度か分かっている。ディフェンスフォルムのマントに矢を立たせる程度には強力な一撃を放てるようだが所詮その程度だ。何も恐れる事はない。

 そして魔法も無しでアタックフォルムの攻撃力、スピードフォルムの速度には敵わないだろう。

 だから不屈からしたら単に格好つけて無謀な戦いを仕掛けて来るバカに見えたし、もしくは自分の面子を守る為に、とりあえず勝負してラミを手放す口実でも作ってるんじゃないかと勘繰ったくらいだ。

 親衡はマリリンが差し出した長刀(ながたな)の柄を握ると、


「オン ハラ レイキャ ゴズデイバ セイガン ズイキ エンメイ ソワカ」


 何かの呪文を唱えて鞘から解き放った。


「今の何だ?」

「私が信ずる牛頭天王への祈りですよ。貴方も神仏にも祈る時間を与えましょう」

「生憎とオレは神頼みなんて無駄な事はしない主義なんだ。速攻で終わらせてやる」


 不屈はスピードフォルムにチェンジし親衡に肉薄する。

 さすがの親衡も不屈のスピードについて行けず、繰り出された蹴りをもろに受けるが、それを大鎧で難なく受け止めた。


(やはり、素早い時の一撃は人並み程度)


 親衡はラミからフォルムチェンジの弱点を聞いていた。

 フォルムチェンジの弱点――、それはそれぞれの能力を強化している間は、それ以外の能力は不屈の基礎能力そのままだと言う事。

 だからスピードフォルムで攻撃したところで、重装鎧である大鎧の前ではまるで効かないのだ。


「だったら!」


 次に不屈はアタックフォルムとなって襲い掛かった。このフォルムで放つ魔法なら鎧なんて簡単に穿つ事が出来る。

 だがそれによってスピードがガクッと落ちた。

 人並み程度の身体使いであれば親衡にとって躱す事は造作もない。それどころか同時に長刀を構えてカウンターを仕掛けた。


「チィッ!」


 ならばと今度はディフェンスフォルムにチェンジする。実はこのフォルムが不屈にとって一番使いやすい戦い方だ。

 高い防御力に任せて敵に近付き攻撃する。例え攻撃力が並大抵でもこっちにダメージが入らないなら長期戦でこちらがゴリ押せるからだ。しかし――、


 ザシュッ――!


 次の瞬間、そのディフェンスフォルムのマントが布の様に裂かれて、不屈の右腕を斬り落としていた。


「え? あぁ、ぎゃぁぁーー!!」


 一瞬の思考停止の後に不屈は悲鳴を上げてひっくり返り、血を流しながら地面をのたうち回る。


「ほう、一か八かでしたがこれは中々……」


 だが親衡は追撃をせずディフェンスフォルムを破った自らの長刀を驚いた表情で感心していた。

 その間に不屈は傷口に魔力を集中させて新たな腕を生やす。だが再生したばかりの腕はまだ神経が通っていないのか力なく垂れ下がってしまう。

 不屈はもう完全に戦意を失い、顔をぐしゃぐしゃにしながら這うように後退る。さっきまでの威勢も失いか細い声で「いやだ。助けて」と命乞いまでしだした。

 そんな彼の前に出たラミは、腰を下ろして彼を見下す形で吐き捨てる。


「もうアタシの前に現れないで」


 そのアンタなんてどうなったって良いと言う様な冷めたい顔に不屈の中で信じていた柱がポッキリ折れた。

 口をジンベエザメの様に横に伸ばし、みっともない泣き顔を晒す。

 その哀れな不屈に親衡もまた冷たい視線を向けた。


「次に相見えた時は首を頂きます。さっさと立ち去りなさい」


 これ以上お前なんかに構ってやる価値は無いと言うのだろう。

 不屈は恐怖に強張った身体を自らの涙と悲鳴で溶かしてみっともなく逃げ出した。

 周りから嘲笑されようと今の彼には何も聞こえない。どうやって逃げたか、途中何度転んだか知れないが、とにかく気が付いた時には人気のない路地でうずくまっていた。


「ああぁ! あ~! あーあーあーッ!!」


 地面を殴り周りにある物を蹴飛ばして不屈は慟哭する。


「クソぉ!! ムカつく奴らみんな死ねぇッ!!」

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不屈くんさん女神のチートで異世界ハーレムも異世界スローライフも人望なくてビタイチ実現してないのオモロ 特にスローライフする気のないちぃさまが異世界ハーレムやってて対比がエッグい サブちゃんですら師匠と…
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