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第3話 逆ギレ勇者

 激怒した三郎を追い出したアルケー達は不屈の傷を癒してから質問を続けた。


「さて話しを続けましょうか」

「まずは今の暴行を謝罪して下さいよぉ?」


 だが不屈は全く反省の色の無い不遜な態度で謝罪を要求する。


「貴方、三郎が何で怒ったのか分からないの? 貴方の態度にも問題があるのよ?」

「どんな理由があったって暴力に訴えるのはダメでしょ? それとも女神様は暴力主義者なんですか?」

「必要とあらば女神だってグーで殴るわ」


 そう言ってアルケーは拳を見せる。

 さすがの彼女も不屈の態度には腹を立てていた。特に笑亜の前で好き勝手言ってくれた事が許せない。

 誰にでもフレンドリーなアンジェリカでさえ、


「チカチュウの村であんな事しといて、どの口が言ってるんだろうね」

「ね~」


 とミュンネイと一緒に冷たい視線を向けるくらいだ。

 だが不屈は態度を改める訳でもなく、むしろ一層人を舐めた態度を取る。


「言っときますけど、オレには並みの攻撃は通用しませんよ。オレの勇者スキル、フォルムチェンジは攻撃、防御、速さにステータスを特化する事が出来るスキルです。女神様のグーパン程度では全然効かないんですよ」

「さっきさぶちんの一撃でやられてたのに」

「ね~」

「そこうるさい! こんな枷だって簡単に壊せるんだ!」


 不屈はスキルを発動させ魔力を手足に集中させると、アンジェリカとミュンネイが作った物理と魔法の手枷足枷を簡単に壊してしまった。

 村での戦いを見ている限り、彼の言うフォルムチェンジと言うのはあの赤い魔力で行なっているのだろう。

 アタックフォルムが手と足のパワーリング、ディフェンスフォルムがマント、スピードフォルムがマフラーと言ったところか。何とも戦闘に特化したスキルだ。


「あぁ~分かった分かった! とりあえず魔王討伐の件は保留にするわ! 次の話に変えましょう」


 このまま檻まで破壊されたら菊子に弁償させられるとアルケーは頭を掻きながら仕方なしに話題を変える。

 何せ不屈に分かったと言わせるべき案件が魔王討伐の他にもう一つあったのだ。


「何でドラコフォンズの村を襲ったの? 聞いた所、ラミと何かあったみたいだけど?」


 そう、ラミへのストーカー行為だ。

 自分が力を与えた勇者がその力で人に迷惑をかけている。女神としてこれの責任を取らない訳にはいかない。

 ギルドに連れて来たのもまた村で暴れさせない為だった。


「人の家の事情に首を突っ込まないでくれませんか? プライベートの侵害ですよ?」

「他人を巻き込んだ時点で家の事情じゃ済まないのよ。って言うか貴方が勇者だから女神である私に面倒事が回って来たの」


 不屈はうざったそうに顔をしかめた。

 そして大きく溜め息を吐くやぼそぼそと語り出す。


「傭兵団をビビらせて、そんでラミを連れ帰るつもりでした」

「それで村を襲うってどうなの?」

「人は殺してないんだから良いでしょう!」

「良くないわよ」


 アルケーに言い返されて不屈は一層不満気な顔をする。


「ラミっちは帰りたくなさそうだったけど?」

「ゆっくり話し合えば分かってくれる!」

「いや無理っしょ」

「黙れ!!」


 ドンッと不屈は檻を叩き、自分達の事を何も分かっていない3人に怒鳴った。


「お前らに何が分かんだよ!? ラミはいつもいつもオレを励まして支えてくれたオレのヒロインだ! だからきっと帰って来てくれる! 俺達の絆を甘く見るな!」

「いやかっこいい事言ってるけど、さっき思いっ切りフラれてたじゃん!」

「うるさい!! 黙れ!!」


 ドンッとまた檻を殴り付ける。すると殴られた部分がへしゃげて人が通れる隙間が出来てしまった。

 そこから不屈は怒り狂って出てくると檻を殴る蹴ると八つ当たりとばかりにボコボコにする。


「あぁ~~!! どいつもこいつもうざったいなぁ!! オレのやる事に口出しすんなボケ!!」

「マズい! アンジェ、ミュンネイ!」


 アルケーはすぐにアーリーライフルを召喚する。

 アンジェリカも非殺傷弾入りの拳銃を手に取り、ミュンネイも影達で不屈を抑えに掛かった。

 だが勇者スキルでアタックフォルムとなった不屈は、ミュンネイの影を腕の一振りで消し去り、アルケーとアンジェリカの銃撃もディフェンスフォルムのマントで容易く防いでしまった。


「ふん! 女神って言っても大した事ないな!」


 不屈はマントで攻撃ガードしつつ3人に体当たりして吹っ飛ばす。

 やはり戦闘特化型のスキルだけあって、アルケーとアンジェリカ達だけでは手に負えない。


「この! 大人しく――、え!?」


 尻もちを着きながらもアーリーライフルを構えるアルケー。だが、体当たりされてから武器を構えるその一瞬に、不屈の姿は消えていた。

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